抗悪性腫瘍剤
| 一般名 |
アファチニブマレイン酸塩
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|---|---|
| 製造/販売 | 日本ベーリンガーインゲルハイム |
| 剤形/規格 |
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1.1 本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、添付文書を参照して、適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、服用中の注意事項、死亡に至った症例があること等に関する情報)を十分に説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。[8.1、9.1.1、11.1.1参照]
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
通常、成人にはアファチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回50mgまで増量できる。
8.1 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)等の検査を行うこと。[1.2、9.1.1、11.1.1参照]
8.2 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[9.3.1、11.1.4参照]
8.3 重篤な心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率の変動を含む)を十分に観察すること。[9.1.2、9.1.3、11.1.5参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患が増悪し、死亡に至る可能性がある。[1.2、8.1、11.1.1参照]
9.1.2 心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者
症状が悪化するおそれがある。[8.3、11.1.5参照]
9.1.3 左室駆出率が低下している患者
症状が悪化するおそれがある。[8.3、11.1.5参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害のある患者
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。[8.2、11.1.4、16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性に対しては、投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で黄体数、着床数及び生存胎児数の減少並びに着床後胚損失の増加(ラット)、胎児体重の減少、矮小児、四肢の弯曲、大動脈弓及び右又は左頚動脈における過剰血管並びに矮小精巣等の変異(ウサギ)が認められている。[9.4参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験で乳汁中へ移行することが認められている(ラット)。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること。[20.参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
細菌を用いた復帰突然変異試験において、陽性が認められているが、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験、Mutaマウスを用いた遺伝子突然変異試験並びにラットを用いた小核試験及びコメットアッセイでは陰性であった。
本剤は湿気と光に不安定なため、未使用の場合はアルミピロー包装のまま保存し、開封後は湿気と光を避けて保存すること。[14.1.2参照]
本剤はP-糖蛋白(P-gp)の基質である。また、
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| P-gp阻害剤リトナビル、イトラコナゾール、ベラパミル等[16.7.1参照] | 本剤の血中濃度が上昇し、副作用の発現頻度及び重症度が高まるおそれがあることから、P-gp阻害剤と併用する場合は、本剤投与と同時又は本剤投与後に投与すること。 | 本剤はP-gpの基質であり、本剤服用前にP-gp阻害剤を投与すると、併用により本剤の血中濃度が上昇することがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| P-gp誘導剤リファンピシン、カルバマゼピン、セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort)等[16.7.2参照] | 本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤はP-gpの基質であり、併用により本剤の血中濃度が低下することがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺疾患(1.3%)
間質性肺疾患(間質性肺炎、肺浸潤、肺臓炎、急性呼吸窮迫症候群、アレルギー性胞隔炎等)があらわれることがあり、死亡に至った症例も報告されている。異常が認められた場合には投与を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。[1.2、7.1、8.1、9.1.1参照]
11.1.2 重度の下痢(14.4%)
重度の下痢に伴って脱水症状をきたし、急性腎不全に至った症例も報告されている。止瀉薬(ロペラミド等)の投与、補液等の適切な処置を行うこと。[7.1参照]
11.1.3 重度の皮膚障害(16.6%)
重度の発疹、ざ瘡等があらわれることがある。必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること。[7.1参照]
11.1.4 肝不全(頻度不明)、肝機能障害(2.2%)
ALT、AST、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあり、肝不全により死亡に至った症例も報告されている。[7.1、8.2、9.3.1参照]
11.1.5 心障害(0.4%)
左室駆出率低下があらわれ、心不全等の重篤な心障害があらわれることがある。[7.1、8.3、9.1.2、9.1.3参照]
11.1.6 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(頻度不明)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑等の重篤な水疱性・剥脱性の皮膚障害があらわれることがある。[7.1参照]
11.1.7 消化管潰瘍(0.4%)、消化管出血(頻度不明)
異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行うこと。[7.1参照]
11.1.8 急性膵炎(頻度不明)
腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等の異常が認められた場合には投与を中止すること。[7.1参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 1%以上10%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
| 皮膚及び皮下組織障害注1) | 全身性発疹・斑状丘疹性及び紅斑性皮疹(55.5%)、爪囲炎(56.8%)、皮膚乾燥(29.3%)、ざ瘡(20.5%)、そう痒症(19.2%)、ざ瘡様皮膚炎(13.1%)、脱毛症(10.0%) | 爪の障害、手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚剥脱、皮膚亀裂、皮膚色素過剰、皮膚潰瘍、多毛症、紅斑 | 過角化、ひび・あかぎれ、膿痂疹、嵌入爪、色素沈着障害 | 脂漏性皮膚炎、後天性魚鱗癬 |
| 筋骨格系及び結合組織障害 | 筋痙縮、背部痛、筋肉痛 | 筋力低下、シェーグレン症候群、開口障害 | 肋骨痛、肩痛 | |
| 神経系障害 | 味覚異常、頭痛、感覚鈍麻 | 末梢性感覚ニューロパチー、振戦 | ||
| 眼障害注2) | 結膜炎、眼乾燥、角膜炎、眼瞼炎、霧視、眼脂、白内障 | 眼瞼障害、睫毛乱生、硝子体剥離、結膜出血、角膜びらん、後天性涙腺炎、虹彩毛様体炎、網膜変性 | 眼痛 | |
| 耳及び迷路障害 | 耳鳴 | |||
| 精神障害 | 不眠症 | 激越 | 不安 | |
| 胃腸障害 | 下痢(80.8%)、口内炎(38.4%)、悪心(17.9%)、嘔吐(17.0%)、口唇炎(12.2%) | 口内乾燥、消化不良、腹痛、便秘、胃炎、腹部膨満、上腹部痛、肛門周囲痛、腹部不快感 | 歯肉炎、口唇乾燥、肛門の炎症、痔核、心窩部不快感、舌炎、口唇症 | 口唇腫脹、食道炎、腸炎、小腸炎、大腸炎、肛門周囲炎 |
| 生殖系及び乳房障害 | 萎縮性外陰腟炎 | |||
| 代謝及び栄養障害 | 食欲減退(20.5%) | 低カリウム血症、脱水 | 低ナトリウム血症、高尿酸血症 | |
| 心臓障害 | 上室性期外収縮 | |||
| 血管障害 | 高血圧 | ほてり | 低血圧、血栓症 | |
| 呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | 鼻出血(13.1%) | 鼻の炎症、鼻漏、鼻乾燥、口腔咽頭痛 | 発声障害、鼻閉、湿性咳嗽、しゃっくり | 口腔咽頭不快感 |
| 腎及び尿路障害 | 蛋白尿 | 血尿、尿中血陽性 | 腎機能障害、排尿困難 | |
| 感染症及び寄生虫症 | 感染症(皮膚、尿路、鼻、咽頭、気管支、耳、爪)、毛包炎、膀胱炎、蜂巣炎、真菌感染症(皮膚、足部)、帯状疱疹 | ウイルス感染、鼓膜炎、敗血症 | ||
| 血液及びリンパ系障害 | 貧血、白血球減少症、好中球減少症 | リンパ球減少症、鉄欠乏性貧血 | 好酸球増加症 | |
| 一般・全身障害及び投与部位の状態 | 粘膜の炎症(28.8%)、疲労(13.5%) | 発熱、末梢性浮腫、浮腫 | 炎症、顔面浮腫、胸部不快感、倦怠感、粘膜乾燥、粘膜障害 | 悪寒 |
| 臨床検査 | 肝機能検査値異常(AST、ALT上昇等)(14.0%)、体重減少(10.5%) | 血中アルカリホスファターゼ増加 | 血中クレアチニン増加、アミラーゼ増加、CK上昇、血中ビリルビン増加、トロポニンT増加、総蛋白減少、血中アルブミン減少、心電図T波逆転 | 尿中白血球陽性、血中尿素増加、血中乳酸脱水素酵素増加、CK-MB上昇 |
| 傷害、中毒及び処置合併 | 挫傷 | 創し開 |
注1)必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること。
注2)直ちに眼科的検査を行うなど適切な処置を行うこと。
ジオトリフ錠20mg 4470.5円/錠
ジオトリフ錠30mg 6563円/錠
ジオトリフ錠40mg 8629.2円/錠
ジオトリフ錠50mg
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副作用の頻度
投稿日: 2015/03/11 参考率: 100%(3人/3人)
内科/40代/処方経験あり