重症敗血症等の重症患者管理における相対的な循環血液量低下で本剤を使用した場合には、患者の状態を悪化させるおそれがあるため、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること(「11.その他の注意」の項参照)。
肺水腫、うっ血性心不全など水分過負荷のある患者[循環血液量を増加させるため症状を悪化させるおそれがある。]
乏尿あるいは無尿を伴う腎不全の患者[腎不全の患者では本剤の排泄が遅れるおそれがある。]
透析治療を受けている患者[本剤の排泄が遅れるおそれがある。]
頭蓋内出血中の患者[頭蓋内出血を悪化させるおそれがある。]
重度の高ナトリウム血症あるいは重度の高クロール血症を有する患者[本剤は塩化ナトリウムを含有するため症状を悪化させるおそれがある。]
本剤及び本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
循環血液量の維持
持続的に静脈内投与する。投与量及び投与速度は、症状に応じ適宜調節するが、1日50mL/kgを上限とする。
アナフィラキシーが起こることがあるため、最初の10〜20mLは患者をよく観察しながらゆっくりと投与すること。
組織残留性を考慮して投与は必要最小限にとどめること。
本剤の高用量投与により、凝固因子及びその他の血漿蛋白などの血液成分の希釈が起きることがある。さらに、血液成分の希釈のみによらない凝固異常が生じることがあることから、患者の状態に応じて本剤の用量を適宜調節した上で、必要に応じて血液製剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
腎機能及び体液バランスについてモニタリングするなど、患者の状態を十分に観察しながら適切な量を投与すること。
急性腎不全等の腎機能障害があらわれ腎代替療法が必要となるおそれがあるので、腎機能を定期的に観察すること。
血清電解質をモニターすること。
心不全のある患者[水分過負荷となるおそれがある。]
重度の腎機能障害のある患者[水分過負荷となるおそれ及び腎機能が悪化するおそれがある。]
出血性素因のある患者[出血傾向が助長されるおそれがある。]
外傷性大出血の患者[本剤の高用量投与により血液成分の過度の希釈が起こり出血を助長するおそれがある。(「2.重要な基本的注意」の項参照)]
循環器系の過負荷の原因となるため、肺水腫等が認められた場合は投与を中止し、必要に応じ利尿剤を投与すること。
投与前
開封後直ちに使用し、残液は決して使用しないこと。
投与期間
投与期間は、循環血液量減少、血行動態及び血液希釈の程度に応じて調節すること。
海外臨床試験において、重症敗血症患者にHES製剤を使用した場合、酢酸リンゲル液を使用した場合と比較して投与後90日時点での死亡のリスクが増加し腎代替療法を要した患者の割合が高かったとの報告がある。
また、敗血症患者を含むICUの入院患者にHES製剤を使用した場合、生理食塩液を使用した場合と比較して投与後90日までの死亡のリスクは増加しなかったが、腎代替療法を要した患者の割合が高かったとの報告がある(「警告」の項参照)。
海外臨床試験において、成人の人工心肺を使用した心臓手術時の輸液管理にHES製剤を使用した場合、アルブミンを使用した場合と比較して輸血が必要となる術後出血及び出血による再手術のリスクが高かったとの報告がある。
(使用前の注意)
薬液が漏出したり、混濁・浮遊物などの異物が認められるもの、あるいは包装内に水滴が認められるものは使用しないこと。
(調製時の注意)
通気針(エアー針)は不要である(軟らかいfreeflex IVバッグなので、大気圧で自然に輸液剤が排出される)。
注射針は無菌的操作により、ゴム栓部にまっすぐ刺すこと。斜めに刺すと注射針が容器頸部を貫通し、液漏れの原因となることがある。
なお、輸液セットのびん針は青いポート(排出口)の「↓」に、薬剤添加時(混注時)には針は白いポート(薬液注入口)の「↑」に刺すこと。
薬剤添加後はよく転倒混和して速やかに使用し、貯蔵は避けること。
ソフトバッグ製品は、原則として連結管を用いたタンデム方式による投与はできない。
容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
(個包装袋及びバッグの取扱い上の注意)
軟らかいポリオレフィン製のバッグなので、鋭利なもの等で傷をつけないこと(液漏れの原因となる)。
個包装袋を開封したまま保管すると、内容液が蒸散することがあるので、速やかに使用すること。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アミノ糖系抗生物質カナマイシンゲンタマイシン等 | 併用薬の腎毒性を増強させるおそれがある。腎障害が発生した場合には、適切な処置を行うこと。 | 機序不明 |
国内の臨床試験と外国の臨床試験(米国及びフランスの比較対照試験)を合わせて、整形外科手術あるいは外科大手術を受ける152例の患者に本剤が投与された。152例中25例(16.4%)に36件の副作用が認められた。主な副作用として、血清アミラーゼ増加16例(10.5%)、血中クロール増加5例(3.3%)、血中ナトリウム増加4例(2.6%)などが認められた。
ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
腎機能障害(頻度不明)
急性腎不全等の腎機能障害があらわれ腎代替療法が必要となるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
10%以上 | 1〜10%未満 | 1%未満 | |
血液 | 貧血、赤血球減少 | ||
臨床検査 | 血清アミラーゼ増加 | 血中クロール増加、血中ナトリウム増加 | 活性化部分トロンボプラスチン時間延長、プロトロンビン時間延長、血中ナトリウム減少、血中カリウム減少、血中クレアチニン増加 |
皮膚 | そう痒症 | ||
呼吸器 | 呼吸不全 | ||
その他 | 処置後出血、創傷出血 |
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