1.1 本剤とペントスタチンを併用しないこと。外国においてシクロホスファミドとペントスタチンとの併用により、心毒性が発現し死亡した症例が報告されている
1.2 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の電子添文を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.3 治療抵抗性のリウマチ性疾患に本剤を投与する場合には、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と治療抵抗性のリウマチ性疾患治療の経験を持つ医師のもとで行うこと。
1.4 ネフローゼ症候群に本剤を投与する場合には、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識とネフローゼ症候群治療の経験を持つ医師のもとで行うこと。
2.1 ペントスタチンを投与中の患者
2.2 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.3 重症感染症を合併している患者
○下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(ホジキン病、リンパ肉腫、細網肉腫)、乳癌
急性白血病、真性多血症、肺癌、神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)、骨腫瘍
ただし、下記の疾患については、他の抗腫瘍剤と併用することが必要である。
慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭癌、胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、睾丸腫瘍、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、横紋筋肉腫、悪性黒色腫
○治療抵抗性の下記リウマチ性疾患
全身性エリテマトーデス、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患
○ネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤による適切な治療を行っても十分な効果がみられない場合に限る。)
<自覚的並びに他覚的症状の緩解>
(1)単独で使用する場合
本剤を溶解し、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日100〜200mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(2)他の抗腫瘍剤と併用する場合
単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。
<治療抵抗性のリウマチ性疾患>
本剤を溶解し、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50〜100mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<ネフローゼ症候群>
本剤を溶解し、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日50〜100mgを8〜12週間経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
本剤を溶解し、通常、小児にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日2〜3mg/kgを8〜12週間経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、通常1日100mgまでとする。原則として、総投与量は300mg/kgまでとする。
8.1 骨髄抑制、出血性膀胱炎等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、尿検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。出血性膀胱炎の防止のため尿量の増加を図ること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。[9.1.1、11.1.2、11.1.3、11.1.9、11.1.10参照]
8.2 感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。[9.1.2参照]
8.3 二次性悪性腫瘍(急性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、膀胱腫瘍、腎盂・尿管腫瘍等)が発生したとの報告があるため、本剤の投与終了後も長期間経過を観察するなど十分注意すること。なお、シクロホスファミドの総投与量の増加により、発癌のリスクが増加するとの報告がある
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 骨髄抑制のある患者
骨髄抑制が増強するおそれがある。[8.1、11.1.2参照]
9.1.2 感染症を合併している患者
骨髄抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。[8.2参照]
9.1.3 水痘患者
致命的な全身障害があらわれることがある。
9.2 腎機能障害患者
腎障害が増悪するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
肝障害が増悪するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。なお、シクロホスファミドの総投与量の増加により、男女とも性腺障害のリスクが増加するとの報告がある
9.4.2 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること。[9.5参照]
9.4.3 パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること。本剤5.1mg/kgを投与した雄ラットを、本剤を投与しない雌ラットと交配させたところ、胎児の死亡増加及び奇形を認めたとの報告がある
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。妊娠中に本剤を使用するか、本剤を使用中に妊娠した場合は、胎児に異常が生じる可能性があることを患者に説明すること。催奇形性を疑う症例報告があり、動物試験では、本剤2.5mg/kgを投与した雌ラットで胚・胎児の死亡及び催奇形作用が報告されている
9.6 授乳婦
9.6.1 授乳を避けさせること。乳汁中に分泌されることが報告されている。
9.6.2 授乳中の女性にシクロホスファミドを静脈内投与したときに、新生児、乳児に好中球減少症、血小板減少症、ヘモグロビン減少があらわれたとの報告がある
9.7 小児等
9.7.1 副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
9.7.2 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
用量並びに投与間隔に留意すること。生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。
13.1 処置
本剤は血液透析により除去されるとの報告がある
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 経口液剤の調製法
シクロホスファミド(無水物換算)100mg(1瓶)あたり5mLの精製水等を、シリンジを用いてバイアル内に注入し、薬剤を溶解させる。シリンジを用いて薬液を回収し、投薬瓶に移した後、単シロップで10mLに調製する。
14.1.2 本剤の曝露を最小限とするため、慎重に本剤の液剤調製を行うこと。本剤は、細胞毒性を有するため、調製時には手袋等を着用し、安全キャビネット内で実施することが望ましい。皮膚及び粘膜に薬液が付着した場合には、直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
14.1.3 本剤はバイアル入りの散剤である。調製する際は、バイアルを開栓せずに溶解すること。
14.1.4 バイアルに精製水等を注入する際及び溶解時は、できる限り泡立たないように注意すること。
14.1.5 経口液剤に調製後、速やかに交付すること。
14.2 薬剤交付時の注意
14.2.1 時間とともに有効成分の含量が低下するおそれがあるので、経口液剤は冷蔵庫で保管するよう指導すること。また、調製後4週間以内に服用させること。
14.2.2 経口液剤が皮膚及び粘膜等についた場合は、流水でよく洗い流すよう指導すること。
本剤は、主に肝代謝酵素CYP2B6で代謝され、活性化される。また、CYP2C8、2C9、3A4、2A6も本剤の代謝に関与していることが報告されている。[16.4.1参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ペントスタチンコホリン[1.1、2.1参照] | 骨髄移植の患者で、本剤投与中にペントスタチンを単回投与したところ、錯乱、呼吸困難、低血圧、肺水腫等が認められ、心毒性により死亡したとの報告がある。また、動物試験(マウス)においてペントスタチン(臨床用量の10倍相当量)とシクロホスファミド(LD50前後)又はその類縁薬であるイホスファミド(LD50前後)を同時期に単回投与したとき、それぞれを単独投与したときに比べて死亡率の増加が認められた。 | 明らかな機序は不明である。本剤は用量依存性の心毒性があり、ペントスタチンは心筋細胞に影響を及ぼすATPの代謝を阻害する。両剤の併用により心毒性が増強すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 他の抗悪性腫瘍剤アロプリノール放射線照射 | 骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。 | 共に骨髄抑制作用を有する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェノバルビタール | 本剤の作用が増強することがある。 | フェノバルビタールの酵素誘導により本剤の活性型への変換が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 副腎皮質ホルモンクロラムフェニコール | 本剤の作用が減弱することがある。 | 副腎皮質ホルモン、クロラムフェニコールは肝における本剤の代謝を競合的に阻害し、活性化を抑制する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| インスリン | 血糖降下作用が増強されることがある。 | 本剤がインスリン抗体の生成を阻害するため、遊離のインスリン量が多くなり、血糖降下作用が増強される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| オキシトシン | オキシトシンの作用が増強されることがある。 | 機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| バソプレシン | バソプレシンの作用が減弱されることがある。 | 本剤がバソプレシンの排泄を増加させる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アントラサイクリン系薬剤ドキソルビシン塩酸塩、エピルビシン塩酸塩等 | 心筋障害が増強されるおそれがある。また、これらの薬剤との併用療法終了後に遅発性心毒性が発現したとの報告があるため、治療終了後も長期間経過を観察するなど十分注意すること。 | 明らかな機序は不明であるが、共に心筋障害を有する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 脱分極性筋弛緩剤スキサメトニウム等 | 脱分極性筋弛緩剤の作用が増強され、遷延性無呼吸を起こすおそれがある。 | 本剤がコリンエステラーゼによる脱分極性筋弛緩剤の分解を阻害すると考えられている。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
血圧低下、呼吸困難、喘鳴、蕁麻疹、不快感等があらわれることがある。
11.1.2 骨髄抑制(頻度不明)
汎血球減少、貧血、白血球減少、血小板減少、出血があらわれることがあるので、本剤投与期間中には末梢血液の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与間隔の延長、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。[8.1、9.1.1参照]
11.1.3 出血性膀胱炎、排尿障害(いずれも頻度不明)[8.1参照]
11.1.4 イレウス、胃腸出血(0.1〜5%未満)
11.1.5 間質性肺炎、肺線維症(0.1〜5%未満)
11.1.6 心筋障害、心不全(0.1〜5%未満)
11.1.7 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
11.1.8 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
11.1.9 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)[8.1参照]
11.1.10 急性腎障害(頻度不明)
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.11 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
注)発現頻度は再評価結果に基づく。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上又は頻度不明 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | |
| 肝臓 | 肝障害、黄疸、コリンエステラーゼ値の低下等 | ||
| 腎臓 | 乏尿による尿浸透圧の上昇、蛋白尿、浮腫等 | ||
| 消化器 | 悪心・嘔吐 | 食欲不振、味覚異常、口渇、潰瘍性口内炎、胸やけ、おくび、腹部膨満感、腹痛、便秘、下痢等 | |
| 過敏症 | 発疹等 | ||
| 皮膚 | 脱毛、皮膚炎、色素沈着、爪の変形・変色等 | ||
| 精神神経系 | 倦怠感 | 頭痛、眩暈、不眠 | 運動失調等 |
| 呼吸器 | 肺水腫等 | ||
| 循環器 | 心電図異常、心悸亢進、低血圧等 | ||
| 内分泌 | 副腎皮質機能不全、甲状腺機能亢進等 | ||
| 性腺 | 無精子症、卵巣機能不全、無月経等 | ||
| その他 | 低ナトリウム血症 | 発熱、創傷の治癒遅延、高血糖、CK上昇 |
注)発現頻度は再評価結果に基づく。
経口用エンドキサン原末100mg 320.6円/瓶
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