ヒト成長ホルモン(遺伝子組換え)製剤
一般名 |
ソマトロピン(遺伝子組換え)
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製造/販売 | ノボノルディスクファーマ |
剤形/規格 |
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悪性腫瘍のある患者[成長ホルモンが細胞増殖作用を有するため。][9.1.2、9.1.3参照]
妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
○骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症
○骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長
○骨端線閉鎖を伴わない軟骨異栄養症における低身長
○成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)
○骨端線閉鎖を伴わないSGA(small-for-gestational age)性低身長症
○骨端線閉鎖を伴わないヌーナン症候群における低身長
効能又は効果 | 用法及び用量 |
骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症 | 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.175mgを6〜7回に分けて皮下に注射する。 |
骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長 | 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.35mgを6〜7回に分けて皮下に注射する。 |
骨端線閉鎖を伴わない軟骨異栄養症における低身長 | 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.35mgを6〜7回に分けて皮下に注射する。 |
成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る) | 通常開始用量として、1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.021mgを6〜7回に分けて皮下に注射する。患者の臨床症状に応じて1週間に体重kg当たり0.084mgを上限として漸増し、1週間に6〜7回に分けて皮下に注射する。なお、投与量は臨床症状及び血清インスリン様成長因子-I(IGF-I)濃度等の検査所見に応じて適宜増減する。ただし、1日量として1mgを超えないこと。 |
骨端線閉鎖を伴わないSGA(small-for-gestational age)性低身長症 | 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.23mgを6〜7回に分けて皮下に注射する。なお、効果不十分な場合は1週間に体重kg当たり0.47mgまで増量し、6〜7回に分けて皮下に注射する。 |
骨端線閉鎖を伴わないヌーナン症候群における低身長 | 通常1週間に体重kg当たり、ソマトロピン(遺伝子組換え)として0.23mgを6〜7回に分けて皮下に注射する。なお、効果不十分な場合は1週間に体重kg当たり0.47mgまで増量し、6〜7回に分けて皮下に注射する。 |
<効能共通>
成長ホルモンは、インスリン感受性を低下させるため、本剤の投与により血糖値、HbA1cの上昇があらわれることがある。定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、異常が認められた場合は、投与量の減量又は一時的な投与中止等、適切な処置を行うこと。特にターナー症候群においては、耐糖能の低下を合併することがあり、経過を注意深く観察すること。[9.1.1、11.1.5参照]
甲状腺機能低下症があらわれ又は悪化し、本剤による治療効果が低下することがある。甲状腺機能を定期的に検査し、必要に応じて、適切な治療を行うこと。[11.2参照]
<成人成長ホルモン分泌不全症>
本剤の投与中は、血清IGF-I濃度が基準範囲上限を超えないよう、定期的に検査を実施すること。[7.1、7.2参照]
本剤と本剤以外のホルモン剤を併用する場合には、併用するホルモン剤が血清IGF-I濃度に影響を及ぼすことがあるため、慎重に血清IGF-I濃度をモニタリングすること。[10.2参照]
本剤の投与により浮腫、関節痛等があらわれることがあるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与量の減量あるいは投与中止を考慮すること。
本剤の治療は、内分泌専門医もしくはその指導の下で行うこと。
<SGA性低身長症>
治療前及び治療中には、IGF-Iを3ヵ月〜6ヵ月に1回、HbA1c、空腹時又は随時血糖、TSH、fT4、骨年齢を6ヵ月〜1年に1回測定すること。異常が認められた場合には投与中止を考慮すること。
本剤の治療は、小児内分泌専門医等の本疾患に関する専門家もしくはその指導の下で行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 糖尿病患者、耐糖能異常のある患者又は糖尿病の危険因子を持つ患者
糖尿病患者では、投与開始前に血糖(血糖値、HbA1c等)及び糖尿病合併症(糖尿病網膜症等)の病勢をコントロールしておくこと。投与開始後は定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、また、糖尿病合併症(糖尿病網膜症等)を含め、患者の状態を注意深く観察すること。必要に応じて、糖尿病用薬の投与量の調整を行うこと。投与開始後に糖尿病の症状の顕在化又は悪化が認められた場合は、本剤の投与量の減量又は一時的な投与中止等、適切な処置を行うこと。
耐糖能異常のある患者又は糖尿病の危険因子を持つ患者(肥満、家族歴に糖尿病を持つ患者等)では、慎重に観察すること。糖尿病が顕在化することがある。[8.1、10.2、11.1.5参照]
9.1.2 脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、下垂体腺腫、松果体腫等)による成長ホルモン分泌不全性低身長症又は成人成長ホルモン分泌不全症の患者
脳腫瘍の進行や再発の観察を十分に行うこと。成長ホルモンは細胞増殖作用を有する。[2.1参照]
9.1.3 脳腫瘍の既往のある患者
定期的に画像診断を実施し、脳腫瘍の発現や再発の有無を注意深く観察すること。成人成長ホルモン分泌不全症の患者では脳腫瘍の既往のある患者が多く含まれており、国内及び海外臨床試験において、成長ホルモン投与後に脳腫瘍の再発が報告されている。[2.1参照]
9.1.4 心疾患のある患者
ときに一過性の浮腫があらわれることがある。
9.1.5 大孔狭窄のある軟骨異栄養症の患者
低身長改善の利益が大孔狭窄悪化の不利益を上回ると判断される場合のみ投与を考慮すること。大孔から上部頸椎のMRI等による定期的観察を十分に行い、大孔狭窄の悪化がみられた場合には本剤の投与を中止すること。本剤により症状の悪化を助長する可能性がある。
9.2 腎機能障害患者
ときに一過性の浮腫があらわれることがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[2.2参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
投与量の減量あるいは投与中止も考慮に入れて、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。また、外国において、成人成長ホルモン分泌不全症患者における成長ホルモン維持用量は加齢に伴い減少することが報告されている。
過量投与により最初は血糖低下が、次いで血糖上昇が認められることがある。長期の過量投与により先端巨大症の症状が認められることがある。
14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 投与時
(1)本剤の使用にあたっては必ず添付の取扱説明書を読むこと。また本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。本剤はA型専用注射針との適合性の確認をペンニードルで行っている。
(2)1本の本剤を複数の患者に使用しないこと。
(3)使用済みの本剤を再使用したり、他剤の投与に使用しないこと。
(4)使用中に液が変色した場合は使用しないこと。
(5)カートリッジにひびが入っている場合は使用しないこと。
14.1.2 投与部位
皮下注射する場合には、注射部位を上腕、大腿、腹部、臀部等広範に求め、順序よく移動し、同一部位に短期間内に繰り返し注射しないこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
ヒト成長ホルモンと白血病の因果関係は明らかではないが、ヒト成長ホルモンの投与を受けた患者に白血病があらわれたとの報告があるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。白血病、悪性腫瘍を発生しやすい先天異常、免疫不全症候群等の基礎疾患のある患者、脳腫瘍などによる放射線治療歴のある患者、抗がん薬や免疫抑制薬の投与歴のある患者、治療開始時の血液像に異常がある患者に投与する場合には、特に患者の状態を観察すること。
ヒト成長ホルモンの投与を受けた患者に脳腫瘍が再発したとの報告がある。
小児がんの既往を有する患者にヒト成長ホルモンを投与した場合、二次性腫瘍の発現リスクが上昇するとの報告がある。
連続投与した場合、ヒト成長ホルモンに対する抗体が生じることがある。抗体の産生により効果の減弱がみられる場合には、投与を中止し、適宜他の治療法を考慮すること。
15.2 非臨床試験に基づく情報
ラットを用いた妊娠前、妊娠初期投与試験において、高投与量群で交尾率及び妊娠率の低下が報告されている。
<5mg及び10mg>
使用開始後は速やかに冷蔵庫に入れ、凍結を避けて保存し、35日以内に使用すること。
やむを得ず冷蔵庫外で保存する場合は、使用開始後の保存期間(35日)を超えない範囲で、以下の期間内に使用すること。冷蔵庫外で保存した場合、再び冷蔵庫に戻さないよう指導すること。
・25℃以下の場合、冷蔵庫外で保存した日から21日以内
・30℃以下の場合、冷蔵庫外で保存した日から14日以内
<15mg>
使用開始後は速やかに冷蔵庫に入れ、凍結を避けて保存し、35日以内に使用すること。
やむを得ず冷蔵庫外で保存する場合は、使用開始後の保存期間(35日)を超えない範囲で、25℃以下で保存した日から21日以内に使用すること。冷蔵庫外で保存した場合、再び冷蔵庫に戻さないよう指導すること。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
主にCYP3Aで代謝される薬剤性ホルモン製剤抗てんかん薬シクロスポリン 等 | これらの薬剤の血中濃度が低下し、作用が減弱することがあるので、これらの薬剤の用量に注意すること。 | 成長ホルモンがCYP3Aにより代謝される化合物のクリアランスを増加させる可能性があるため。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
糖質コルチコイド | 成長ホルモンの成長促進作用が抑制されることがある。 | 糖質コルチコイドが成長抑制作用を有するため。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
糖質コルチコイド | 血清コルチゾール濃度が低下することがあるので、糖質コルチコイドの用量に注意すること。 | 成長ホルモンが11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β-HSD-1)を抑制することにより、コルチゾンからコルチゾールへの変換を減少させるため。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
経口エストロゲン[8.4参照] | 成長ホルモンの作用が抑制されることがある。成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の患者では本剤の増量を検討すること。 | エストロゲンがIGF-I産生を抑制するため。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
糖尿病用薬インスリン製剤ビグアナイド系薬剤スルホニルウレア剤速効型インスリン分泌促進薬α-グルコシダーゼ阻害剤チアゾリジン系薬剤DPP-4阻害剤GLP-1受容体作動薬SGLT2阻害剤 等[9.1.1参照] | 本剤投与により、血糖値が上昇することがある。定期的に血糖値、HbA1c等を測定し、これらの薬剤の投与量の調整を行うこと。 | 成長ホルモンがインスリン感受性を低下させるため。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
甲状腺ホルモン[8.2参照] | 本剤投与により甲状腺機能低下が顕在化又は悪化することがあるので、甲状腺ホルモンの用量に注意すること。 | 成長ホルモンの投与により、中枢性(二次性)甲状腺機能低下症があらわれることがあるため。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 O脚の悪化(頻度不明)
O脚を合併した軟骨異栄養症患者に本剤を投与した場合に、O脚が悪化し、手術を受けた症例が報告されている。
(頻度不明)
(頻度不明)
11.1.4 ネフローゼ症候群(頻度不明)
ネフローゼ症候群(浮腫、尿蛋白、低蛋白血症)があらわれることがある。
11.1.5 糖尿病(頻度不明)
耐糖能低下があらわれ、糖尿病を発症することがある。[8.1、9.1.1参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
過敏症 | そう痒(症)、発疹(じん麻疹、紅斑等) | |||
内分泌 | TSH上昇及び低下、耐糖能低下 | T3値の増加及び減少、T4値の増加及び減少、甲状腺機能低下症注) | ||
肝臓 | ALT上昇 | AST上昇、γ-GTP上昇 | ||
消化器 | 嘔気、嘔吐、腹痛 | |||
筋・骨格系 | 関節痛・下肢痛等の成長痛 | 筋痛、四肢痛、背部痛 | 踵骨骨端炎、筋痙縮、筋骨格硬直 | 大腿骨骨頭壊死、有痛性外脛骨、外骨腫、大腿骨骨頭辷り症、周期性四肢麻痺、側弯症等の脊柱変形の進行、関節硬直 |
投与部位 | 注射部位反応(熱感・疼痛・発赤・硬結) | 皮下脂肪の消失 | ||
神経系 | 倦怠感、頭痛、感覚障害(しびれ、錯感覚、感覚鈍麻等) | 手根管症候群 | 頭蓋内圧亢進に伴う乳頭浮腫・視覚異常・頭痛・悪心・嘔吐 | |
その他 | 浮腫 | ALP上昇 | LDH上昇、血清P上昇、蛋白尿、白血球数上昇、遊離脂肪酸上昇、尿潜血・顕微鏡的血尿、好酸球増多 | CK(CPK)上昇、ミオグロビン上昇 |
注)[8.2参照]
ノルディトロピンフレックスプロ注5mg 33174円/キット
ノルディトロピンフレックスプロ注10mg 57431円/キット
ノルディトロピンフレックスプロ注15mg 94697円/キット
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