メトヘモグロビン血症のある患者[代謝産物のオルト−トルイジンがメトヘモグロビンを産生し症状が悪化する。]
本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者
歯科・口腔外科領域の手術・処置における浸潤、伝達麻酔
一般に成人に対して1回1管(1.8mL:プロピトカイン塩酸塩として54mg、フェリプレシンとして0.054単位)を注射する。
ただし、麻酔部位、麻酔手技、手術術式、年齢等により用量を適宜増減する。
まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。
本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
患者の全身状態の観察を十分に行うこと。
できるだけ必要最少量にとどめること。
血管の多い部位(顔面等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。
注射針が、血管に入っていないことを確かめること。
注射の速度はできるだけ遅くすること。
前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、これらの薬剤を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい。なお、高齢者、小児、全身状態が不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと。[9.1.1、9.7、9.8参照]
注射針が適切に位置していないなどにより、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。
本剤の投与により、誤嚥・口腔内咬傷の危険性を増加させるおそれがあるので注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 全身状態が不良な患者
生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。[8.2.6参照]
9.1.2 心刺激伝導障害のある患者
症状を悪化させることがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重症の腎機能障害のある患者
中毒症状が発現しやすくなる。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重症の肝機能障害のある患者
中毒症状が発現しやすくなる。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[8.2.6参照]
9.8 高齢者
患者の全身状態の観察を十分に行いながら慎重に投与すること。一般に生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している。[8.2.6参照]
局所麻酔薬の血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に誤って血管内に投与した場合には、数分以内に発現することがある。その症状は、主に中枢神経系及び心血管系の症状としてあらわれる。[11.1.2参照]
13.1 症状
13.1.1 中枢神経系の症状
初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲の知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。
13.1.2 心血管系の症状
血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。
13.2 処置
振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。
14.1 使用回数
本品は一回限り使用のディスポーザブル製剤であるので、再度の使用は避けること。
14.2 薬剤投与時の注意
使用前にカートリッジの頭部(アルミキャップ)メンブランをアルコールで軽く消毒すること。
本剤は、金属を侵す性質があるので、長時間注射針に接触させないことが望ましい。
強圧をかけずにできるだけゆっくり注射すること。骨膜下への強圧注射は組織の損傷又はガラスチューブの破折
注)につながるおそれがある。
注)注射器のプランジャーを20kgの力で押すと構造上約55kg/cm2の内圧がガラスチューブに加わる。本品は使用に際して20kg以上の力が加わると、ガラスチューブが破損したりあるいは液もれを生じることがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
動物実験(ラット・マウス)でプロピトカイン塩酸塩の代謝産物であるオルト−トルイジンの長期大量投与により肝、皮下、膀胱等に腫瘍が発生したとの報告がある。
凍結するとゴム栓の飛び出し又はカートリッジの破損が起こることがあるので注意すること。
外箱開封後は遮光して保存すること。
廃棄の際は感染防止に配慮すること。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
クラスIII抗不整脈薬 アミオダロン等 | 心機能抑制作用が増強するおそれがある。 | 作用が増強することが考えられる。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック (頻度不明)
徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告がある。
11.1.2 意識障害、振戦、痙攣 (いずれも頻度不明)
意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[13.参照]
11.1.3 メトヘモグロビン血症 (頻度不明)
チアノーゼ等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.4 異常感覚、知覚・運動障害 (いずれも頻度不明)
注射針の留置時に神経に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害等の神経学的疾患があらわれることがある。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
頻度不明 | |
中枢神経 注) | 眠気、不安、興奮、霧視、眩暈等 |
消化器 注) | 悪心・嘔吐等 |
過敏症 | 蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等 |
注)このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがあるので、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。
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