2.1 重度の肝障害のある患者[9.3.1参照]
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
肺動脈性肺高血圧症
成人
通常、成人にはアンブリセンタンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量する。
小児
通常、8歳以上の小児には、体重に応じアンブリセンタンとして下記の投与量を1日1回経口投与する。
20〜35kg未満
通常、2.5mgとし症状に応じて1日5mgを超えない範囲で適宜増量する。
35〜50kg未満
通常、5mgとし症状に応じて1日7.5mgを超えない範囲で適宜増量する。
50kg以上
通常、5mgとし症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量する。
8.1 エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)の投与時に肝酵素上昇が認められているため、本剤の投与開始前に必ず肝機能検査を実施し、投与中においては必要に応じて定期的に、肝機能検査を実施しモニターすること。本剤投与中に、臨床的に顕著なアミノトランスフェラーゼ(AST、ALT)上昇、肝障害の徴候を伴うアミノトランスフェラーゼ上昇、又は黄疸が発現した場合には本剤の投与を中止すること。
8.2 ヘモグロビン減少及びヘマトクリット減少が起こる可能性があり、貧血に至った症例があるため、投与開始前及び投与開始1ヵ月後に血液検査を実施すること。また、その後も定期的に検査を実施することが望ましい。[9.1.1、11.1.1参照]
8.3 本剤の投与により急性肺水腫の徴候が見られた場合は、肺静脈閉塞性疾患の可能性を考慮すること。[9.1.3参照]
8.4 特発性肺線維症(IPF)を対象とした海外臨床試験において、本剤投与によりIPFの病態増悪リスクの増加の可能性が示されている。肺の線維化を伴う肺動脈性肺高血圧症の患者に本剤を投与する際は、肺線維症の治療に精通した呼吸器科医に相談するなど、本剤投与によるリスクとベネフィットを考慮した上で、投与の可否を慎重に検討すること。[15.1参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 重度の貧血患者
貧血が悪化するおそれがある。[8.2、11.1.1参照]
9.1.2 間質性肺炎患者
間質性肺炎が増悪することがある。[11.1.4参照]
9.1.3 肺静脈閉塞性疾患を有する患者
本剤を投与しないことが望ましい。心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。[8.3参照]
9.1.4 出血の危険因子を有する患者
出血の危険性に注意すること。国内臨床試験において鼻出血など出血の副作用が認められている。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害のある患者
これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝障害のある患者
投与しないこと。類薬で重篤な肝障害を起こしたとの報告がある。[2.1、16.6.2参照]
9.3.2 中等度の肝障害のある患者
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.2参照]
9.3.3 投与開始前のアミノトランスフェラーゼ(AST、ALT)のいずれかが基準値上限の3倍を超える患者
肝機能障害を増悪させるおそれがある。[16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
本剤の投与に際し、妊娠する可能性のある女性には以下について
・妊娠中に本剤を服用した場合の胎児に及ぼす危険性。
・
・妊娠した場合若しくはその疑いがある場合には、医師に直ちに連絡すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラット及びウサギにおいて本剤の催奇形性(ラット及びウサギでは下顎・舌・口蓋の異常、さらにラットでは心室中隔欠損、動脈幹遺残、甲状腺及び胸腺の異常、底蝶形骨過剰骨化、左臍動脈)が認められている。[2.2、9.4参照]
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。母動物(ラット)に妊娠15日から分娩後20日まで経口投与した結果、出生児生存率の低下が認められている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児、8歳未満又は体重20kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に、生理機能が低下していることが多い。海外臨床試験において、末梢性浮腫の多くは軽度から中等度であったが、高齢者では発現する可能性が高く、重症例が多い傾向が示唆された。
13.1 症状
本剤50mg及び100mg(推奨最高用量の5倍から10倍)を健康成人に単回投与したところ、本剤との関連性が否定できない頭痛、潮紅、浮動性めまい、悪心及び鼻閉が発現した。
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 PTPシートからの取り出しは、裏のラベルを剥がした後、指の腹で押し出すこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
適応外であるが、海外で実施された特発性肺線維症(IPF)患者492例(うち二次性肺高血圧症患者54例)を対象としたプラセボ対照臨床試験の中間解析の結果、IPFの病態の悪化(呼吸器系の障害による入院を含む)又は死亡がプラセボ群と比較して本剤投与群で多くみられ(本剤投与群329例中90例(27%)、プラセボ群163例中28例(17%))、試験が中止された。[8.4参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 ラットでは精細管萎縮、精子形態異常、精子数減少、交尾率及び受胎率の低値が、イヌでも精細管萎縮、空胞化、拡張などが認められている。なお、ヒトの男性生殖能に対する影響は不明である。
15.2.2 ヒト末梢リンパ球を用いる染色体異常試験では高濃度で染色体の構造異常がみられたが、細菌を用いる復帰突然変異試験、ラットを用いる小核試験及び肝不定期DNA合成試験の結果は陰性であった。
15.2.3 ラットでは鼻腔の炎症及び鼻甲介骨過形成がみられ、イヌでは炎症のみが認められている。
15.2.4 幼若ラットの反復投与毒性試験において、生後7日から生後26日、36日又は62日まで1日1回経口投与した結果、異常呼吸音、無呼吸、低酸素血症及び脳重量の低値が認められている(ヒト小児推定AUCの2.3〜3.8倍)。なお、脳の病理組織学的変化は認められていない。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| シクロスポリン[7.、16.7.4参照] | シクロスポリンとの併用により本剤のAUCが約2倍になるとの報告がある。併用する場合には、本剤は成人及び50kg以上の小児は1日1回5mg、50kg未満の小児は1日1回2.5mgを上限として投与すること。 | 詳細な機序は不明であるが、シクロスポリンとの併用により、本剤の血中濃度が上昇する。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 貧血(7.6%)
ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少があらわれることがある。[8.2、9.1.1参照]
11.1.2 体液貯留(頻度不明)
異常が認められた場合には本剤に起因するものか、基礎疾患の心不全によるものか原因を確認し、本剤の投与中止、利尿剤の投与などの処置を行うこと。
11.1.3 心不全(1.5%)
体液貯留に関連し、心不全があらわれることがある。
11.1.4 間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎が発現又は増悪することがある。咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[9.1.2参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 10%未満 | 頻度不明 | |
| 過敏症 | 過敏症反応(血管性浮腫、発疹等) | ||
| 精神神経系 | 頭痛 | めまい | |
| 循環器 | 潮紅 | 動悸、低血圧 | |
| 呼吸器 | 鼻閉注1) | 鼻出血、喀血、呼吸困難注2)、副鼻腔炎、鼻咽頭炎 | |
| 消化器 | 便秘、悪心、腹痛、嘔吐 | ||
| 肝臓 | トランスアミナーゼ上昇 | ||
| 全身症状 | 末梢性浮腫 | 疲労 | 無力症 |
| 眼 | 視覚障害(霧視等)、眼窩周囲浮腫 | ||
| 血液 | 白血球減少 |
注1)用量依存的に発現する。
注2)海外の市販後において、本剤投与直後に発現した呼吸困難が報告されている。
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