慢性腎不全における透析型人工腎臓の灌流液として、以下の要因を持つものに用いる。
○重炭酸濃度の高い重炭酸型透析液では、過度のアルカローシスを起こすおそれのある場合
○無糖の透析液では、血糖値管理の困難な場合
○他の重炭酸型透析液では、高カリウム血症、高マグネシウム血症の改善が不十分な場合、あるいは高カルシウム血症を起こすおそれのある場合
通常、A剤を水に溶かし9Lとする(A液)。別にB剤を水に溶かし、11.34Lとする(B液)。
このA液及びB液を、A液:B液:水=1:1.26:32.74の比率で希釈・調製する重炭酸型透析液供給装置を用いて血液透析を行う灌流液とする。
用量は透析時間により異なるが、通常、灌流液として150〜300Lを用いる。
8.1 本剤の使用に際しては、定期的に血液検査(電解質、酸・塩基平衡、BUN、クレアチニン、尿酸、血糖等)を行うことが望ましい。[5.1参照]
8.2 長期使用する場合には、骨代謝異常があらわれることがあるので、定期的に臨床検査(生化学検査、X線検査等)を行い、活性型ビタミンD3製剤投与等の適切な処置を行うこと。[5.1参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高度の肝障害又は重症糖尿病等による酢酸代謝障害のある患者
酢酸による末梢血管拡張作用、心機能抑制作用により、血圧低下等があらわれるおそれがある。
9.1.2 アルミニウム骨症の患者
骨塩量を定期的に測定し、低下する場合はカルシウム濃度の高い透析液を用いること。骨塩量が低下することがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 透析用水の水質は、(一社)日本透析医学会が定める最新の透析液水質基準を参照すること。
14.1.2 調製時には、以下の点に注意すること。
・A剤(電解質・ブドウ糖)及びB剤(炭酸水素ナトリウム)は、各々単独では使用しないこと。
・A剤とB剤は、直接混合し溶解しないこと。
・溶解したA剤(A液)及びB剤(B液)は、濃厚液の状態で混合しないこと。
・A剤及びB剤は、各々1瓶単位で使用し、分割使用しないこと。
14.1.3 定められた希釈液として調製すること。希釈濃度が不正確な場合は、以下のような症状を起こすことがあるので注意すること。
・濃度が高すぎた場合
意識障害、血圧上昇、動悸、頭痛
・濃度が低すぎた場合
意識障害、急激な血圧低下、胸内苦悶、全身倦怠、四肢のしびれ感
14.1.4 使用前に透析液の電解質濃度を測定し、それらが適正であることを確認すること。
14.1.5 透析液の浸透圧比が0.9〜1.0の範囲にあることを確認すること。浸透圧比は生理食塩液の浸透圧(286mOsm)に対する透析液の浸透圧測定値の比から求める。
14.1.6 透析液のpHは透析用水等の影響で若干の変動があり得るので、使用前にpH7.2〜7.4の範囲にあることを確認すること。
14.1.7 本剤は用時調製用の製剤であり、希釈調製後の透析液は速やかに使用すること。
14.1.8 残液は使用しないこと。
14.2 薬剤使用時の注意
14.2.1 本剤は、注射又は腹膜灌流に用いないこと。
14.2.2 血清浸透圧と透析液浸透圧とのバランスを保つこと。
14.2.3 透析液中の沈殿の有無を透析器前の透析液回路で確認し、沈殿を生じた透析液は使用しないこと。
20.1 粉漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2 容器から粉末が漏れている場合は使用しないこと。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジギタリス強心配糖体ジゴキシンメチルジゴキシン等 | ジギタリス中毒を起こすおそれがある。 | 本剤を使用した透析により、血清カリウム値が低下する可能性がある。 |
透析療法により次の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には症状に応じて適切な処置を行うこと。
| 症状 | |
| 循環器 | 血圧低下、ショック症状(循環血液量の急激な減少による。)、血圧上昇 |
| カルシウム代謝異常 | 骨粗鬆症、骨軟化症、線維性骨炎などの骨代謝異常、異所性石灰沈着症 |
| 血糖 | 低血糖、高血糖 |
| 体重・血圧 | 体重増加、血圧上昇傾向(口渇感増強などによる水分摂取増加) |
| 不均衡症候群 | 頭痛、悪心、嘔吐、筋痙攣、意識混濁、気分不快、倦怠等 |
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