本薬又は他のハロゲン化麻酔薬に対して過敏性のある患者
血族に悪性高熱がみられた患者〔悪性高熱があらわれやすいとの報告がある.〕
全身麻酔
導入
睡眠量の静脈麻酔薬を投与し,イソフルランと酸素もしくは酸素・亜酸化窒素混合ガスとで導入する.また,イソフルランと酸素もしくは酸素・亜酸化窒素混合ガスでも導入できる.本薬による導入では,最初0.5%から始めて徐々に濃度を上げ,手術に必要な濃度にすることが望ましい.
通常,4.0%以下の濃度で導入できる.
維持
患者の臨床徴候を観察しながら,酸素・亜酸化窒素と併用し,最小有効濃度で外科的麻酔状態を維持する.
通常,2.5%以下の濃度で維持できる.
本薬の使用に際しては,麻酔技術に熟練した医師が,専任で患者の全身状態を注意深く監視すること.
麻酔を行う際には,原則としてあらかじめ絶食をさせておくこと.
麻酔を行う際には,原則として麻酔前投薬を行うこと.
麻酔中は気道に注意して,呼吸・循環に対する観察を怠らないこと.
麻酔の深度は手術,検査に必要な最低の深さにとどめること.
麻酔の影響が完全に消失するまでは,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること.
肝・胆道疾患のある患者〔肝・胆道疾患が増悪するおそれがある.〕
腎機能障害のある患者〔腎機能がさらに悪化するおそれがある.〕
スキサメトニウム塩化物水和物の静注により筋強直がみられた患者〔悪性高熱があらわれることがある.〕
高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
アドレナリン含有製剤を投与中の患者〔併用により心筋のアドレナリンに対する感受性が亢進することが知られており,頻脈,不整脈等を起こすおそれがある(「相互作用」の項参照).〕
心疾患及び心電図異常のある患者〔QT延長,心室頻拍(torsades de pointesを含む),心室細動,完全房室ブロック等が出現し,心停止に至ることがある(「副作用」の項参照).〕
肝への影響
使用成績調査における肝臓・胆管系障害の副作用発現率は0.75%であった.患者背景別では,男性,MAC・hour(総投与量)の高い群,術中併用薬あり群でそれぞれ副作用発現率が高く,有意差がみられた.
※MAC:minimum alveolar concentration,最小肺胞内濃度
正確な濃度の気体を供給できるイソフルラン専用気化器を使用することが望ましい.
本剤の瓶頸部には,イソフルラン注入装置専用のカラー(紫色のリング状の気化器接続部分)を装着している.
類薬において,乾燥した二酸化炭素吸収剤を用いた場合に異常発熱を呈したとの報告がある.また,一酸化炭素が発生するおそれがあるため,二酸化炭素吸収剤が乾燥しないように定期的に新しい二酸化炭素吸収剤に交換し,二酸化炭素吸収装置の温度に注意すること.
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アドレナリン製剤 アドレナリン ノルアドレナリン等 | 頻脈,不整脈,場合によっては心停止を起こすことがある.本薬麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は6.7μg/kgと報告されている.この量は60kgのヒトの場合,20万倍希釈アドレナリン含有溶液80mLに相当する. | 本薬が心筋のアドレナリンに対する感受性を亢進することが知られている. |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 筋弛緩薬 ベクロニウム臭化物 スキサメトニウム塩化物水和物等 | 筋弛緩薬の作用を増強するため,本薬による麻酔中,筋弛緩薬を投与する場合には減量すること. | 相互に作用を増強させるためと考えられる. |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| Ca拮抗剤 | 低血圧,陰性変力作用等の副作用があらわれやすくなるおそれがある. | 相互に作用を増強させるためと考えられる. |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 中枢神経抑制作用を有する薬剤 オピオイド系薬剤 ベンゾジアゼピン系薬剤等 | 呼吸抑制等の副作用があらわれやすくなるおそれがある. | 相互に作用を増強させるためと考えられる. |
承認時及び承認後6年間(1990年1月〜1996年1月)の調査において,総症例11,917例中,手術中又は手術後の副作用は536例(4.5%)にみられた.主なものは,不整脈211件(1.8%),血圧変動193件(1.6%)であった.臨床検査値の変動としては,肝機能検査値の変動100例(0.8%)等がみられた.
悪性高熱(0.1%未満)
原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動,急激な体温上昇,筋強直,血液の暗赤色化(チアノーゼ),過呼吸,ソーダライムの異常過熱・急激な変色,発汗,アシドーシス,高カリウム血症,ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱があらわれることがある.本剤を使用中,もしくは使用後に悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は,直ちに投与を中止し,ダントロレンナトリウムの静脈内投与,全身冷却,純酸素での過換気,酸塩基平衡の是正など適切な処置を行うこと.また,本症は腎不全を続発することがあるので,尿量の維持を図ること.
呼吸抑制(0.1〜5%未満)
麻酔中,呼吸抑制(咳,喉頭痙攣,気管支痙攣等)があらわれることがある.
ショック,アナフィラキシー(頻度不明)
ショック,アナフィラキシーがあらわれることがあるので,観察を十分に行い,血圧低下,呼吸困難,血管浮腫(顔面浮腫,喉頭浮腫等),全身紅潮,蕁麻疹等の異常が認められた場合には,投与を中止し適切な処置を行うこと.
肝炎,肝機能障害(頻度不明)
肝炎,AST(GOT),ALT(GPT)等の著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと.なお,短期間内に反復投与した場合,その頻度が増すとの報告があるので,少なくとも3カ月以内の反復投与は避けることが望ましい.また,本剤と他のハロゲン化麻酔剤との間に交叉過敏性のあることが報告されている.
QT延長,心室頻拍(torsades de pointesを含む),心室細動,完全房室ブロック,心停止(いずれも頻度不明)
QT延長,心室頻拍(torsades de pointesを含む),心室細動,完全房室ブロック等が出現し,心停止に至ることがあるため,異常が認められた場合には,本剤を減量又は中止し,適切な処置を行うこと.
以下の副作用が認められた場合には,症状に応じて適切な処置を行うこと.
| 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
| 精神神経 | 激越,譫妄 | ||
| 循環器 | 不整脈(徐脈,頻脈を含む),血圧変動,ST低下,心電図異常 | ||
| 肝臓 | 肝機能異常,AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇 | ||
| 消化器 | 悪心,嘔吐 | ||
| その他 | シバリング,頭痛 | 覚醒困難 | 痙攣 |
フォーレン吸入麻酔液 64.1円/mL
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