レクサプロ錠10mg

選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)

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リスト同薬効薬剤
一般名 エスシタロプラムシュウ酸塩
製造/販売 持田製薬 / 田辺三菱製薬
剤形/規格
  • レクサプロ錠10mg

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禁忌

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  • モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後14日間以内の患者(「相互作用」の項参照)

  • ピモジドを投与中の患者(「相互作用」の項参照)

  • QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)[心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心電図QT間隔の過度な延長を起こすことがある。]

効能・効果

  • うつ病・うつ状態、社会不安障害

用法・容量

  • 通常、成人にはエスシタロプラムとして10mgを1日1回夕食後に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行い、1日最高用量は20mgを超えないこととする。

注意事項

重要な基本的注意

  • うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。

  • 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。

  • 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。

  • 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。

  • 眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。

  • 投与中止(突然の中止)により、不安、焦燥、興奮、浮動性めまい、錯感覚、頭痛及び悪心等があらわれることが報告されている。投与を中止する場合には、突然の中止を避け、患者の状態を観察しながら徐々に減量すること。

  • 本剤投与によりQT延長がみられていることから、心血管系障害を有する患者に対しては、本剤の投与を開始する前に心血管系の状態に注意を払うこと。

慎重投与

  • 著明な徐脈等の不整脈又はその既往歴のある患者、QT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者、うっ血性心不全、低カリウム血症の患者[本剤の投与によりQTが延長する可能性がある。](「重要な基本的注意」の項参照)

  • 肝機能障害のある患者[本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそれがある。](「薬物動態」の項参照)

  • 高度の腎機能障害のある患者[本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそれがある。](「薬物動態」の項参照)

  • 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]

  • 躁うつ病患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]

  • 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状が増悪することがある。]

  • 衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状が増悪することがある。]

  • てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣発作を起こすことがある。]

  • 出血の危険性を高める薬剤を併用している患者、出血傾向又は出血性素因のある患者[出血傾向が増強するおそれがある。]

  • 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

  • 小児(「小児等への投与」の項参照)

過量投与

  • 徴候・症状

    海外において、本剤1000mgを超える過量投与が報告されている。また、本剤を過量投与した患者において、死亡例が海外で報告されている。主な症状として、中枢神経障害(めまい、振戦、不安、焦燥、興奮、セロトニン症候群、痙攣、昏睡)、胃腸障害(悪心・嘔吐等)、心血管障害(低血圧、頻脈、QT延長、不整脈)、電解質及び水分バランス異常(低カリウム血症、低ナトリウム血症)等が報告されている。

  • 処置

    特異的な解毒剤は知られていない。必要に応じて気道確保、酸素吸入等を行い、胃洗浄、活性炭投与等の適切な処置を行うこと。一般的な対症療法とともに心・呼吸機能のモニターを行うことが望ましい。

適用上の注意

  • 薬剤交付時

    PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

その他の注意

  • 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。

  • 主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。

  • 海外で実施された臨床試験において、本剤を含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤が精子特性を変化させ、受精率に影響を与える可能性が報告されている。

  • ラット反復投与毒性試験において、本剤投与後に、心毒性(心筋炎に基づくうっ血性心不全)による死亡が認められている。心毒性は本剤のCmaxに依存して発現するものと考えられ、発現の閾値におけるラット及びヒト曝露量の乖離は約8倍と推察されている。

  • ラット反復投与毒性試験において、本剤投与後に、肺、精巣上体及び副腎にリン脂質症に関連する所見(光顕的に認められる泡沫状肺胞マクロファージの集簇及び細胞の空胞化)が認められ、これらの所見はヒトにおける曝露量よりも低い曝露量より認められた。休薬により、リン脂質症に関連する所見は回復した。

相互作用

相互作用序文

  • 本剤は主に肝代謝酵素CYP2C19で代謝され、CYP2D6及びCYP3A4も代謝に関与している。(「薬物動態」の項参照)

薬物代謝酵素用語

CYP2C19

薬物代謝酵素用語

CYP2D6

薬物代謝酵素用語

CYP3A4

併用禁忌

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤セレギリン塩酸塩エフピー ラサギリンメシル酸塩 アジレクト セロトニン症候群があらわれることがある。MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後14日間以内の患者には投与しないこと。また、本剤投与後にMAO阻害剤を投与する場合には、14日間以上の間隔をあけること。 セロトニンの分解が阻害され、脳内セロトニン濃度が高まると考えられる。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ピモジドオーラップ 本剤のラセミ体であるシタロプラムとピモジドとの併用により、QT延長が発現したとの報告がある。(「薬物動態」の項参照) 機序不明

併用注意

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
セロトニン作用薬トリプタン系薬剤スマトリプタン等選択的セロトニン再取り込み阻害剤セロトニン前駆物質(L-トリプトファン)含有製剤又は食品等トラマドール塩酸塩リネゾリド炭酸リチウムセイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等 セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。これらの薬物を併用する際には観察を十分に行うこと。(「重大な副作用」の項参照) 本剤はセロトニン再取り込み阻害作用を有するため、併用により、セロトニン作用が増強することがある。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー) セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。これらの薬物を併用する際には観察を十分に行うこと。(「重大な副作用」の項参照) メチルチオニニウム塩化物水和物はMAO阻害作用を有するため、セロトニン作用が増強される。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
三環系抗うつ剤イミプラミン塩酸塩クロミプラミン塩酸塩ノルトリプチリン塩酸塩等フェノチアジン系抗精神病剤リスペリドンブチロフェノン系抗精神病剤ハロペリドール抗不整脈剤フレカイニド酢酸塩プロパフェノン塩酸塩 これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、これらの薬剤を減量するなど注意すること。(「薬物動態」の項参照) 本剤がこれらの薬剤の代謝酵素であるCYP2D6を阻害することによると考えられる。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
β遮断剤メトプロロール酒石酸塩 メトプロロールの血中濃度が上昇するおそれがあるので、メトプロロールを減量するなど注意すること。(「薬物動態」の項参照) 本剤がこれらの薬剤の代謝酵素であるCYP2D6を阻害することによると考えられる。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
シメチジン 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤を減量するなど注意すること。(「薬物動態」の項参照) シメチジンが本剤の代謝酵素を阻害することによると考えられる。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
オメプラゾールランソプラゾールチクロピジン塩酸塩 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤を減量するなど注意すること。(「薬物動態」の項参照) これらの薬剤が本剤の代謝酵素であるCYP2C19を阻害することによると考えられる。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ワルファリン 本剤のラセミ体であるシタロプラムとワルファリンとの併用により、ワルファリンのプロトロンビン時間が軽度延長(約5%)したとの報告がある。本剤の投与を開始もしくは中止する場合は、プロトロンビン時間を慎重にモニターすること。(「薬物動態」の項参照) 機序不明
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
出血傾向が増強する薬剤非定型抗精神病剤フェノチアジン系抗精神病剤三環系抗うつ剤アスピリン等の非ステロイド系抗炎症剤ワルファリン等 出血傾向が増強することがある。 SSRIの投与により血小板凝集能が阻害され、これらの薬剤との併用により出血傾向が増強することがある。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アルコール(飲酒) 本剤服用中は飲酒を避けることが望ましい。 他の抗うつ剤で作用の増強が報告されている。

副作用

副作用発現状況の概要

  • 大うつ病性障害患者を対象とした国内臨床試験(4試験)及び社会不安障害患者を対象とした国内臨床試験(2試験)において、総症例1099例中、717例(65.2%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。その主なものは傾眠248例(22.6%)、悪心228例(20.7%)、浮動性めまい93例(8.5%)、頭痛90例(8.2%)、口渇69例(6.3%)、倦怠感63例(5.7%)等であった。(承認時)

  • うつ病・うつ状態患者における製造販売後調査において、3703例中584例(15.8%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。その主なものは悪心178例(4.8%)、傾眠101例(2.7%)、倦怠感36例(1.0%)等であった。(第6回安全性定期報告時)

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

  • 痙攣(1%未満)

    • 痙攣があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)

    • 低ナトリウム血症、頭痛、集中力の欠如、記憶障害、錯乱、幻覚、痙攣、失神等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。

  • セロトニン症候群(頻度不明)

    • 不安、焦燥、興奮、振戦、ミオクローヌス、高熱等のセロトニン症候群があらわれることがある。セロトニン作用薬との併用時に発現する可能性が高くなるため、特に注意すること(「相互作用」の項参照)。異常が認められた場合には投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。

  • QT延長(頻度不明)、心室頻拍(torsades de pointesを含む)(頻度不明)

    • QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

  • 以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。

5%以上 1〜5%未満 1%未満 頻度不明注2)
全身症状 倦怠感 異常感 無力症、浮腫、熱感、発熱、悪寒、疲労、体重増加、体重減少
過敏症注1) 発疹、湿疹、蕁麻疹、そう アナフィラキシー反応、血管浮腫
精神神経系 頭痛、傾眠、浮動性めまい あくび、不眠症、体位性めまい、感覚鈍麻、易刺激性(いらいら感、焦燥) アカシジア、睡眠障害、異常夢(悪夢を含む)、激越、不安、錯乱状態、躁病、落ち着きのなさ、錯感覚(ピリピリ感等)、振戦、リビドー減退、歯ぎしり パニック発作、精神運動不穏、失神、幻覚、神経過敏、離人症、ジスキネジー、運動障害、無オルガズム症
消化器 悪心、口渇 腹部不快感、下痢、食欲減退、腹痛、嘔吐、便秘 腹部膨満、胃炎、食欲亢進、消化不良
循環器 動悸 起立性低血圧、QT延長 頻脈、徐脈
血液 赤血球減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、白血球増加、血小板増加、血小板減少、鼻出血 出血傾向(斑状出血、消化管出血等)
肝臓 AST(GOT)・ALT(GPT)・Al-P・γ-GTP・ビリルビンの上昇等の肝機能検査値異常 肝炎
筋骨格系 関節痛、筋肉痛、肩こり、こわばり
泌尿器・生殖器 排尿困難、尿蛋白陽性、射精障害 頻尿、尿閉、不正出血、勃起不全、射精遅延 持続勃起症、月経過多
その他 回転性めまい、耳鳴、多汗症 副鼻腔炎、味覚異常、脱毛、コレステロール上昇、血中ナトリウム低下、乳汁漏出、胸部不快感、寝汗、羞明、霧視、過換気、尿糖陽性 視覚異常、散瞳
  • 発現頻度は、承認時(うつ病・うつ状態及び社会不安障害)までの臨床試験の結果を合わせて算出した。

  • 注1)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。

  • 注2)製造販売後の自発報告等又は海外での報告のため頻度不明

薬価

レクサプロ錠10mg 202.3円/錠

評価サマリー

もっとも参考になった評価コメント

効果の強さ

投稿日: 2015/12/31 参考率: 100%(16人/16人)

精神・神経科/50代/処方経験あり

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