本剤又は他のキサンチン系薬剤に対し重篤な副作用の既往歴のある患者
気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)における呼吸困難、肺性心、うっ血性心不全、心臓喘息(発作予防)
アミノフィリン水和物として、通常成人1日300〜400mgを、3〜4回分割経口投与する。
小児には、1回2〜4mg/kgを1日3〜4回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<効能共通>
テオフィリンによる副作用の発現は、テオフィリン血中濃度の上昇に起因する場合が多いことから、血中濃度のモニタリングを適切に行い、患者個々人に適した投与計画を設定することが望ましい。[16.8.1参照]
<うっ血性心不全>
テオフィリン血中濃度が上昇することがあるので注意して使用すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 てんかんの患者
中枢刺激作用によって発作を起こすことがある。
9.1.2 甲状腺機能亢進症の患者
甲状腺機能亢進に伴う代謝亢進、カテコールアミンの作用を増強することがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 急性腎炎の患者
腎臓に対する負荷を高め、尿蛋白が増加するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
血中濃度測定等の結果により減量すること。
テオフィリンクリアランスが低下し、テオフィリン血中濃度が上昇することがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
動物実験(マウス、ラット、ウサギ)で催奇形作用等の生殖毒性が報告されている。また、ヒトで胎盤を通過して胎児に移行し、新生児に嘔吐、神経過敏等の症状があらわれることがある。
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。
ヒト母乳中に移行し、乳児に神経過敏を起こすことがある。
9.7 小児等
9.7.1 小児、幼児、乳児
(1)テオフィリン血中濃度のモニタリングを行うなど慎重に投与すること
小児、特に乳幼児は成人に比べて痙攣を惹起しやすく、また、テオフィリンクリアランスが変動しやすい。
なお、次の小児にはより慎重に投与すること。
・てんかん及び痙攣の既往歴のある小児
痙攣を誘発することがある。
・発熱している小児
テオフィリン血中濃度の上昇や痙攣等の症状があらわれることがある。
・6カ月未満の乳児
乳児期にはテオフィリンクリアランスが一定していない。テオフィリンクリアランスが低く、テオフィリン血中濃度が上昇することがある。
(2)小児、特に乳幼児に投与する場合には、保護者等に対し、発熱時には一時減量あるいは中止するなどの対応を、あらかじめ指導しておくことが望ましい。
(3)本剤の投与に際しては、保護者等に対し、患児の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には速やかに主治医に連絡するなどの適切な対応をするように注意を与えること。
小児では一般に自覚症状を訴える能力が劣る。
9.7.2 低出生体重児、新生児
低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。
非高齢者に比べ最高血中濃度の上昇及びAUCの増加が認められたとの報告がある。
13.1 症状
テオフィリン血中濃度が高値になると、血中濃度の上昇に伴い、消化器症状(特に悪心、嘔吐)や精神神経症状(頭痛、不眠、不安、興奮、痙攣、せん妄、意識障害、昏睡等)、心・血管症状(頻脈、心室頻拍、心房細動、血圧低下等)、低カリウム血症その他の電解質異常、呼吸促進、横紋筋融解症等の中毒症状が発現しやすくなる。なお、軽微な症状から順次発現することなしに重篤な症状が発現することがある。[10.2、16.8.1参照]
13.2 処置
過量投与時の処置には、テオフィリンの除去、出現している中毒症状に対する対症療法がある。消化管内に残存するテオフィリンの除去として催吐、胃洗浄、下剤の投与、活性炭の経口投与等があり、血中テオフィリンの除去として輸液による排泄促進、活性炭の経口投与、活性炭を吸着剤とした血液灌流、血液透析等がある。なお、テオフィリン血中濃度が低下しても、組織に分布したテオフィリンにより血中濃度が再度上昇することがある。
13.2.1 痙攣、不整脈の発現がない場合
(1)服用後短時間しか経過していないと思われる場合、嘔吐を起こさせることが有効である。
服用後1時間以内の患者では特に有効である。
(2)下剤を投与する。ただし、体液、電解質の異常に注意すること。
(3)活性炭を反復投与し、テオフィリン血中濃度をモニターする。
(4)痙攣の発現が予測されるようなら、フェノバルビタール等の投与を考慮する。ただし、フェノバルビタールは呼吸抑制作用を示すことがあるので、使用に際しては注意すること。
13.2.2 痙攣の発現がある場合
(1)気道を確保する。
(2)酸素を供給する。
(3)痙攣治療のためにジアゼパム静注等を行う。痙攣がおさまらない場合には全身麻酔薬投与を考慮する。
(4)バイタルサインをモニターする。血圧の維持及び十分な水分補給を行う。
13.2.3 痙攣後に昏睡が残った場合
(1)気道を確保し、酸素吸入を行う。
(2)大口径の胃洗浄チューブを通じて下剤及び活性炭の投与を行う。
(3)テオフィリン血中濃度が低下するまでICU管理を継続し、十分な水分補給を続ける。活性炭を反復経口投与しても血中濃度が下がらない場合には、活性炭による血液灌流、血液透析も考慮する。
13.2.4 不整脈の発現がある場合
(1)不整脈治療としてペーシング、直流除細動、抗不整脈薬の投与等適切な処置を行う。
(2)バイタルサインをモニターする。血圧の維持及び十分な水分補給を行う。また、電解質異常がある場合はその補正を行う。
14.1 薬剤調製時の注意
本剤は配合変化が多いので配合しないことが望ましい。
開栓後は遮光し、湿気を避けて保存すること(変色することがある)。
本剤は主として肝薬物代謝酵素CYP1A2で代謝される。[16.4参照]
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アデノシン(アデノスキャン)[2.2参照] | 本剤によりアデノシンによる冠血流速度の増加及び冠血管抵抗の減少を抑制し、虚血診断に影響を及ぼすことがある。アデノシン(アデノスキャン)を投与する場合は12時間以上の間隔をあけること。 | 本剤はアデノシン受容体に拮抗するため、アデノシンの作用を減弱させる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
他のキサンチン系薬剤テオフィリンジプロフィリンカフェイン水和物等中枢神経興奮薬エフェドリン塩酸塩マオウ等[13.1参照] | 過度の中枢神経刺激作用があらわれることがある。異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 併用により中枢神経刺激作用が増強される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
交感神経刺激剤(β刺激剤)イソプレナリン塩酸塩クレンブテロール塩酸塩ツロブテロール塩酸塩テルブタリン硫酸塩プロカテロール塩酸塩水和物等 | 低カリウム血症、心・血管症状(頻脈、不整脈等)等のβ刺激剤の副作用症状を増強させることがある。異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 心刺激作用をともに有しており、β刺激剤の作用を増強するためと考えられる。低カリウム血症の増強についての機序は不明である。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ハロタン | 不整脈等の副作用が増強することがある。また、連続併用によりテオフィリン血中濃度が上昇することがある。異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | テオフィリンとハロタンの心臓に対する作用の相加又は相乗効果と考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ケタミン塩酸塩 | 痙攣があらわれることがある。痙攣の発現に注意し、異常が認められた場合には抗痙攣剤の投与など適切な処置を行うこと。 | 痙攣閾値が低下するためと考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
シメチジンメキシレチン塩酸塩プロパフェノン塩酸塩アミオダロン塩酸塩エノキサシン水和物ピペミド酸水和物シプロフロキサシン塩酸塩ノルフロキサシントスフロキサシントシル酸塩水和物パズフロキサシンメシル酸塩プルリフロキサシンエリスロマイシンクラリスロマイシンロキシスロマイシンチアベンダゾールチクロピジン塩酸塩ベラパミル塩酸塩ジルチアゼム塩酸塩フルボキサミンマレイン酸塩フルコナゾールジスルフィラムデフェラシロクス[13.1、16.8.1参照] | テオフィリンの中毒症状があらわれることがある。異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 肝薬物代謝酵素が阻害され、テオフィリンクリアランスが低下するため、テオフィリン血中濃度が上昇すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アシクロビルバラシクロビル塩酸塩インターフェロンイプリフラボンシクロスポリンアロプリノール[13.1、16.8.1参照] | テオフィリンの中毒症状があらわれることがある。異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | テオフィリン血中濃度の上昇によると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
リファンピシンフェノバルビタールランソプラゾールリトナビル | テオフィリンの効果が減弱することがある。テオフィリン血中濃度が低下することがあるので、適切な処置を行うこと。 | 肝薬物代謝酵素の誘導によりテオフィリンクリアランスが上昇するため、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
フェニトインカルバマゼピン | テオフィリン及び相手薬の効果が減弱することがある。テオフィリン血中濃度が低下することがあるので、適切な処置を行うこと。また、相手薬の効果減弱や血中濃度の低下に注意すること。 | 肝薬物代謝酵素の誘導によりテオフィリンクリアランスが上昇するため、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジピリダモール | ジピリダモールの作用を減弱させることがある。 | アデノシン拮抗作用による。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ラマトロバン | ラマトロバンの血中濃度が上昇することがある。 | ラマトロバンの血中濃度上昇についての機序は不明である。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
リルゾール | リルゾールの作用を増強(副作用発現)するおそれがある。 | in vitro試験でリルゾールの代謝を阻害することが示唆されている。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
タバコ[13.1、16.8.1参照] | 禁煙(禁煙補助剤であるニコチン製剤使用時を含む)によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある。異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 喫煙により肝薬物代謝酵素が誘導され、テオフィリンクリアランスが上昇し、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。また、禁煙により血中濃度が上昇すると考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 | セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、副作用が発現した場合には減量又は投与を中止し、テオフィリン血中濃度を測定することが望ましい。
11.1.1 ショック、アナフィラキシーショック(いずれも頻度不明)
蕁麻疹、蒼白、発汗、血圧低下、呼吸困難等があらわれることがある。
11.1.2 痙攣、意識障害(いずれも頻度不明)
痙攣又はせん妄、昏睡等の意識障害があらわれることがあるので、抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと。
11.1.3 急性脳症(頻度不明)
痙攣、意識障害等に引き続き急性脳症に至ることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと。
11.1.4 横紋筋融解症(頻度不明)
脱力感、筋肉痛、CK上昇等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うとともに横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.5 消化管出血(頻度不明)
潰瘍等による消化管出血(吐血、下血等)があらわれることがある。
11.1.6 赤芽球癆(頻度不明)
貧血があらわれることがある。
11.1.7 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
肝機能障害(AST、ALTの上昇等)、黄疸があらわれることがある。
(いずれも頻度不明)
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、副作用が発現した場合には減量又は投与を中止し、テオフィリン血中濃度を測定することが望ましい。
頻度不明 | |
過敏症 | 発疹、 |
精神神経系 | 頭痛、不眠、神経過敏(興奮、不機嫌、いらいら感)、不安、めまい、耳鳴、振戦、しびれ、不随意運動、筋緊張亢進 |
循環器 | 顔面潮紅、動悸、頻脈、顔面蒼白、不整脈(心室性期外収縮等) |
消化器 | 悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢、腹部膨満感、消化不良(胸やけ等)、しゃっくり |
泌尿器 | 蛋白尿、頻尿 |
代謝異常 | 血清尿酸値、CKの上昇等 |
肝臓 | AST、ALT、Al-P、LDH、γ-GTPの上昇等 |
血液 | 貧血、好酸球増多 |
その他 | むくみ、倦怠感、関節痛、四肢痛、発汗、胸痛、低カリウム血症、鼻出血、しびれ(口、舌周囲) |
ネオフィリン錠100mg 6.1円/錠
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