2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
2.3 重症筋無力症の患者[重症筋無力症の症状を悪化させるおそれがある。]
全身麻酔の導入
局所麻酔時の鎮静
本剤は用時注射用蒸留水にて2倍以上に希釈調製し、できるだけ緩徐に(フルニトラゼパムとして1mgを1分以上かけて)静脈内に注射する。
用量は通常成人に対し全身麻酔の導入としてはフルニトラゼパムとして体重1kgあたり0.02〜0.03mg、局所麻酔時の鎮静としてはフルニトラゼパムとして体重1kgあたり0.01〜0.03mgとし、必要に応じて初回量の半量ないし同量を追加投与する。
なお、患者の年齢、感受性、全身状態、手術術式、麻酔方法などに応じて適宜増減する。
8.1 麻酔を行う際には原則としてあらかじめ絶食をさせておくこと。
8.2 麻酔を行う際には原則として麻酔前投薬を行うこと。
8.3 麻酔・鎮静の深度は、手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。
8.4 本剤投与前に、酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具及び昇圧剤等の救急蘇生剤を手もとに準備しておくこと。また、必要に応じてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を手もとに準備しておくこと。[13.2参照]
8.5 本剤投与中は、気道に注意して呼吸・循環に対する観察を怠らないこと。観察を行う際には、パルスオキシメーターや血圧計等を用いて、継続的に患者の呼吸及び循環動態を観察すること。[11.1.1参照]
8.6 術後引き続き鎮静及び前向性健忘が認められることがあるので注射後24時間は観察下におくこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心障害のある患者
呼吸抑制があらわれやすい。[11.1.1参照]
9.1.2 脳に器質的障害のある患者
作用が強くあらわれやすい。
9.1.3 衰弱患者
作用が強くあらわれる。
9.1.4 高度重症患者、呼吸予備力の制限されている患者
無呼吸、心停止がおこりやすい。
9.2 腎機能障害患者
本剤の排泄が遅延するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
本剤の排泄が遅延するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.1 妊娠動物(ラット)に経口投与した実験で、50mg/kgの用量で催奇形作用が認められる。
9.5.2 妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム、クロルジアゼポキシド等)を服用していた患者が出産した新生児において、口唇裂、口蓋裂等が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
9.5.3 ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
9.5.4 分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系化合物で報告されている。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。
9.6.1 ヒト母乳中へ移行することが報告されており、また、新生児の黄疸を増強する可能性がある。
9.6.2 ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されている。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 低出生体重児、新生児に投与する場合には十分注意すること。
本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している。外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99〜234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。
9.8 高齢者
運動失調等の副作用が発現しやすい。
13.1 症状
昏睡等の中枢神経抑制作用に基づく症状
13.2 処置
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。[8.4参照]
14.1 薬剤調整時の注意
14.1.1 希釈調製後は速やかに使用すること。
14.1.2 他の注射剤と配合した場合は、経時的に変化することがあるので注意すること。
14.1.3 アルカリ性薬剤との配合には注意する(黄変化を起こすことがある)。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 急速に静脈内に注射した場合、あるいは細い静脈内に注射した場合には血栓性静脈炎を起こすおそれがあるので、なるべく太い静脈を選んで投与すること。
14.2.2 動脈内に注射した場合には、末梢の壊死を起こすおそれがあるので動脈内には絶対に注射しないこと。
14.2.3 筋肉内に注射した場合には、局所障害を起こすおそれがあるので筋肉内には注射しないこと。
14.2.4 静脈内注射時に血管痛がみられることがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 本剤は鎮痛作用を有しないので、必要ならば鎮痛剤を併用すること。
15.1.2 投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがある。
外箱開封後は、遮光して保存すること。本剤は、光により含量が低下する。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アルコール(飲酒) | 中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。アルコールとの併用は避けることが望ましい。 | ともに中枢神経抑制作用を有するため、相互に作用を増強するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 中枢神経抑制剤フェノチアジン誘導体バルビツール酸誘導体鎮痛薬麻酔薬 等 | 中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。アルコールとの併用は避けることが望ましい。 | ともに中枢神経抑制作用を有するため、相互に作用を増強するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| モノアミン酸化酵素阻害剤 | クロルジアゼポキシドで舞踏病が発現したとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| シメチジン | 本剤の中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。 | シメチジンが肝薬物代謝酵素(CYP3A4)を阻害するため本剤の血中濃度が上昇する。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 無呼吸、呼吸抑制、舌根沈下(各0.1〜5%未満)
重篤な転帰をたどることがあるので観察を十分に行うこと。このような場合には、気道を確保し、換気をはかるなど適切な処置を行うこと。[8.5、9.1.1参照]
11.1.2 錯乱(0.1%未満)
注)発現頻度は製造販売後調査を含む。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1%以上 | 0.1〜1%未満 | 0.1%未満 | |
| 精神神経系 | 覚醒困難、興奮、多弁 | 麻酔後睡眠 | |
| 肝臓 | AST上昇 | ALT上昇 | |
| 呼吸器 | しゃっくり | 咳 | |
| 循環器 | 血圧低下 | 徐脈 | 頻脈 |
| 消化器 | 嘔吐 | ||
| 過敏症 | 発疹 | ||
| その他 | 体動 | 尿閉、乏尿 |
注)発現頻度は製造販売後調査を含む。
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使いやすさ
投稿日: 2015/02/28 参考率: 67%(2人/3人)
麻酔科/60代/処方経験あり