本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
重度の肝機能障害のある患者[使用経験がなく、ラコサミドの血中濃度が上昇するおそれがある。]
一時的に経口投与ができない患者における、下記の治療に対するラコサミド経口製剤の代替療法
てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
ラコサミドの経口投与から本剤に切り替える場合
通常、ラコサミド経口投与と同じ1日用量及び投与回数にて、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。
ラコサミドの経口投与に先立ち本剤を投与する場合
成人
通常、成人にはラコサミドとして1日100mgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて増量し、維持用量を1日200mgとするが、いずれも1日2回に分け、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。
小児
通常、4歳以上の小児にはラコサミドとして1日2mg/kgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kgずつ増量し、維持用量を体重30kg未満の小児には1日6mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児には1日4mg/kgとする。いずれも1日2回に分け、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ用法・用量を用いること。
いずれの場合においても、症状により適宜増減できるが、1日最高投与量及び増量方法は以下のとおりとすること。
成人
成人では1日最高投与量は400mgを超えないこととし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として100mg以下ずつ行う。
小児
4歳以上の小児のうち体重30kg未満の小児では1日12mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児では1日8mg/kgを超えないこととし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kg以下ずつ行う。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ1日最高投与量及び増量方法とすること。
連用中における投与量の急激な減量ないし投与中止により、てんかん発作の増悪又はてんかん重積状態があらわれることがあるので、ラコサミドの投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量するなど慎重に行うこと。
浮動性めまい、霧視、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
PR間隔の延長があらわれることがあるので、本剤の投与中は第二度以上の房室ブロック等に関連する症状(頻脈、脈拍数減少、脈拍不整、頭部ふらふら感、失神、動悸、息切れ等)の発現に注意すること。本剤の投与中にそのような症状があらわれた場合には、医師の診察を受けるよう患者及びその家族等に指導すること。心伝導障害や重度の心疾患(心筋梗塞又は心不全等)の既往のある患者、ナトリウムチャネル異常(ブルガダ症候群等)のある患者、PR間隔の延長を起こすおそれのある薬剤を併用している患者等では、本剤投与開始時及び本剤投与中は心電図検査を行うなど、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
易刺激性、興奮、攻撃性等の精神症状があらわれ、自殺企図に至ることもあるので、本剤投与中は患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
患者及びその家族等に攻撃性、自殺企図等の精神症状発現の可能性について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
複視、霧視等の眼障害が生じる可能性があるので、診察時に、眼障害について問診を行う等注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。(「その他の注意」の項参照)
重度腎機能障害のある患者又は末期腎機能障害のある患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)
肝機能障害のある患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)
心伝導障害や重度の心疾患(心筋梗塞又は心不全等)の既往のある患者、ナトリウムチャネル異常(ブルガダ症候群等)のある患者、PR間隔の延長を起こすおそれのある薬剤を併用している患者(本剤のPR間隔延長作用により房室ブロック等が発現するおそれがある。「重要な基本的注意」の項参照)
高齢者(「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照)
症状
過量投与(最大12000mg)により認められた主な症状は、浮動性めまい、悪心、発作(全般性強直間代発作、てんかん重積状態)、心伝導障害、ショック及び昏睡であった。また、ラコサミド7000mgを一度に服用した例で死亡が報告されている。
処置
本剤は血液透析により除去可能であり、発現している症状の程度に応じて血液透析の実施を考慮すること。(「薬物動態」の項参照)
本剤は点滴静脈内投与のみとすること。
調整方法
本剤は希釈なしで投与できる。希釈する場合は生理食塩液、5%ブドウ糖注射液又は乳酸リンゲル液で希釈すること。希釈後は、速やかに使用すること。
希釈後、変色又は溶液中に異物を認める場合は使用しないこと。
本剤の残液は廃棄すること。
海外で実施された複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されている。
非臨床薬物動態試験において、ラコサミドはラットの水晶体に投与後35日目まで分布したが、ラットの26週間及び104週間反復投与毒性試験で眼に異常は認められず、イヌの52週間反復投与毒性試験において水晶体の変化は認められなかった。複視、霧視等の眼に関する副作用の発現率はプラセボ群より高く、16週間投与の日中共同第III相試験のプラセボ群では1.6%に対し、ラコサミド200mg/日群で4.9%、400mg/日群で12.2%、長期投与では5.5%であり、海外第III相試験(併合成績)のプラセボ群では4.4%に対し、ラコサミド200mg/日群で8.9%、400mg/日群で18.0%、600mg/日群で30.5%であった。
欠神発作モデルであるWAG/Rijラット(3、10及び30mg/kgを腹腔内投与)及びストラスブール遺伝性欠神てんかんラット(15.6及び31.2mg/kgを腹腔内投与)において、欠神発作の増悪が認められた。
<注射剤における試験成績>
[併用療法]
成人
他の抗てんかん剤と併用してラコサミドを経口投与している部分発作を有する16歳以上のてんかん患者9例を対象に、ラコサミドの経口投与から30分間点滴静脈内投与(5日間)に切り替えた。2例(22.2%)に副作用が認められた。1例に嘔吐と処置による頭痛、もう1例に注射部位紅斑(11.1%)が認められた。
<経口剤における試験成績>
[単剤療法]
成人
承認時までの、ラコサミドとして200mg/日から600mg/日
注1)が投与された国際共同第III相試験及びそれに続く長期継続投与試験における安全性解析対象例444例(日本人症例7例含む)のうち、181例(40.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、浮動性めまい(8.3%)、疲労(5.6%)、傾眠(5.0%)、頭痛(4.1%)、悪心(4.1%)等であった。また、主な臨床検査値異常(副作用)は、γ-GTP増加(1.6%)であった。
注1)本剤の承認された1日最高用量は400mg/日である。
[併用療法]
成人
承認時までに日本及び中国で実施したプラセボ対照比較試験及びそれに続く長期継続投与試験における安全性解析対象例527例(日本人139例を含む)のうち、313例(59.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、浮動性めまい(27.5%)、傾眠(10.4%)、頭痛(5.9%)、嘔吐(5.9%)、悪心(5.5%)等であった。また、主な臨床検査値異常(副作用)は、白血球数減少(3.4%)であった。
小児
承認時までにラコサミドとして12mg/kg/日又は600mg/日
注2)のいずれか低い用量まで投与された国際共同第II相長期継続投与試験に直接登録された患者における安全性解析対象症例137例(日本人46例を含む)のうち、77例(56.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、浮動性めまい(20.4%)、傾眠(19.7%)、振戦(8.0%)、嘔吐(6.6%)、疲労(6.6%)、悪心(5.8%)、複視(5.1%)、霧視(5.1%)等であった。
注2)本剤の承認された1日最高用量は、成人及び体重50kg以上の小児には400mg、体重30kg以上50kg未満の小児には8mg/kg、体重30kg未満の小児には12mg/kgである。
房室ブロック(1%未満)、徐脈(1%未満)、失神(1.1%)
本剤はPR間隔の延長を起こすおそれがあり、房室ブロック、徐脈、失神があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明注3))
観察を十分に行い、発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒、咽頭痛、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬剤性過敏症症候群
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
無顆粒球症(頻度不明注3))
無顆粒球症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注3)外国の臨床試験成績及び市販後の自発報告に基づく記載のため頻度不明とした。
次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
3%以上 | 1〜3%未満 | 1%未満 | 頻度不明 注3) | |
精神神経系 | 浮動性めまい、頭痛、傾眠、振戦、眼振、嗜眠、異常行動 | 不眠症、記憶障害、構語障害、協調運動異常、注意力障害、平衡障害、錯乱状態 | うつ病、幻覚、攻撃性、激越、感覚鈍麻、錯感覚、認知障害 | 精神病性障害、多幸気分 |
眼 | 複視、霧視 | |||
血液 | 白血球数減少 | |||
消化器 | 悪心、嘔吐 | 下痢、便秘 | 消化不良、口内乾燥、鼓腸 | |
循環器 | 心房細動 | 心房粗動 | ||
肝臓 | 肝機能異常 | |||
代謝及び栄養 | 食欲減退 | |||
皮膚 | そう痒症 | 発疹、蕁麻疹 | 血管浮腫 | |
免疫系 | 薬物過敏症 | |||
筋骨格系 | 筋痙縮 | |||
感覚器 | 回転性めまい、耳鳴 | |||
その他 | 疲労、注射部位紅斑注4) | 歩行障害、無力症、易刺激性 | 転倒、挫傷、裂傷、鼻咽頭炎、発熱 | 酩酊感、咽頭炎、注射部位疼痛、注射部位不快感、注射部位刺激感 |
注3)外国の臨床試験成績及び市販後の自発報告に基づく記載のため頻度不明とした。
注4)国内臨床試験(経口剤から注射剤への切り替え試験)で認められた副作用
ビムパット点滴静注200mg 4330円/瓶
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