ヒト型抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体
| 一般名 |
サリルマブ(遺伝子組換え)
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|---|---|
| 製造/販売 | サノフィ |
| 剤形/規格 |
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感染症
本剤投与により、敗血症、肺炎等の重篤な感染症があらわれ、致命的な経過をたどることがある。本剤はIL-6の作用を抑制し治療効果を得る薬剤である。IL-6は急性期反応(発熱、CRP増加等)を誘引するサイトカインであり、本剤投与によりこれらの反応は抑制されるため、感染症に伴う症状が抑制される。そのため感染症の発見が遅れ、重篤化することがあるので、本剤投与中は患者の状態を十分に観察し問診を行うこと。症状が軽微であり急性期反応が認められないときでも、白血球数、好中球数の変動に注意し、感染症が疑われる場合には、胸部X線、CT等の検査を実施し、適切な処置を行うこと。[「2.重要な基本的注意」及び「(1)重大な副作用」の項参照]
治療開始に際しては、重篤な感染症等の副作用があらわれることがあること及び本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含めて患者に十分説明し、理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤を投与すること。
本剤の治療を行う前に、関節リウマチの既存治療薬の使用を十分勘案すること。[<効能又は効果に関連する使用上の注意>の項参照]
本剤についての十分な知識と関節リウマチ治療の知識・経験をもつ医師が使用すること。
重篤な感染症を合併している患者[感染症が悪化するおそれがある。]
活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
既存治療で効果不十分な関節リウマチ
通常、成人にはサリルマブ(遺伝子組換え)として1回200mgを2週間隔で皮下投与する。なお、患者の状態により1回150mgに減量すること。
アナフィラキシーショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、適切な薬物治療(アドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬等)や緊急処置を直ちに実施できるようにしておくこと。異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること。
本剤投与により、投与時反応(発熱、悪寒、嘔気、嘔吐、頭痛、発疹等)が発現する可能性があるため、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は、適切な処置を行うこと。
本剤投与後、注射部位反応(紅斑、
感染症を合併している患者に本剤を投与することにより、感染症が重篤化するおそれがあるため、下記の点に留意すること。
投与開始に際しては、肺炎等の感染症の有無を確認すること。なお、関節リウマチの臨床症状(発熱、倦怠感、リンパ節腫脹等)は感染症の症状と類似しているため、鑑別を十分に行うこと。
易感染性の状態では、日和見感染が顕在化するおそれがあることから、投与を避けることが望ましい。なお、リンパ球数減少が遷延化した場合(目安として500/μL)は、投与を開始しないこと。
感染症を合併している場合は感染症の治療を優先すること。
本剤投与により、急性期反応(発熱、CRP増加等)、感染症状が抑制され、感染症発見が遅れる可能性があるため、急性期反応が認められないときでも、白血球数、好中球数を定期的に測定し、これらの変動及び喘鳴、咳嗽、咽頭痛等の症状から感染症が疑われる場合には、胸部X線、CT等の検査を実施し適切な処置を行うこと。また、呼吸器感染のみならず皮膚感染や尿路感染等の自他覚症状についても注意し、異常がみられる場合には、速やかに担当医師に相談するよう患者を指導すること。
抗リウマチ生物製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。B型肝炎ウイルスキャリアの患者及び既往感染者に本剤を投与する場合は、最新のB型肝炎治療ガイドラインを参考に肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。
本剤投与に先立って結核に関する十分な問診(結核の既往歴、結核患者との濃厚接触歴等)及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤の投与開始前に適切に抗結核薬を投与すること。
胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者
結核患者との濃厚接触歴を有する患者
本剤投与中は、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核症の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに担当医師に連絡するよう説明すること。なお、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与せず、結核の治療を優先すること。
本剤投与中は、生ワクチン接種により感染するおそれがあるので、生ワクチン接種は行わないこと。
肝障害を起こす可能性のある薬剤と併用する場合や活動性肝疾患又は肝障害の患者に投与する場合には、トランスアミナーゼ値上昇に注意するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
総コレステロール値、トリグリセリド値、LDLコレステロール値の増加等の脂質検査値異常があらわれることがあるので、投与開始3ヵ月後を目安に、以後は必要に応じて脂質検査を実施し、臨床上必要と認められた場合には、高脂血症治療薬の投与等の適切な処置を考慮すること。
本剤と他の抗リウマチ生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。また、他の抗リウマチ生物製剤から本剤に切り替える際には、感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること。
感染症を合併している患者又は感染症が疑われる患者[感染症が悪化するおそれがある。「2.重要な基本的注意」の項参照]
結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部X線上結核治癒所見のある患者)[結核を活動化させる可能性が否定できないので、胸部X線検査等を定期的に行うなど、結核症状の発現に十分注意すること。「2.重要な基本的注意」の項参照]
易感染性の状態にある患者[感染症を誘発するおそれがある。]
間質性肺炎の既往歴のある患者[間質性肺炎が増悪又は再発することがある。「(1)重大な副作用」の項参照]
腸管憩室のある患者[「(1)重大な副作用」の項参照]
白血球減少、好中球数減少又は血小板減少のある患者[白血球減少、好中球数減少、血小板減少が更に悪化するおそれがある。「(1)重大な副作用」の項参照]
高齢者[「5.高齢者への投与」の項参照]
投与経路
皮下にのみ投与すること。
投与前
投与に先立ち、室温に戻しておくこと。
溶液が白濁したり、着色したり、微粒子がみられた場合及びシリンジに損傷がみられた場合には本剤は使用しないこと。
投与直前まで本剤の注射針のキャップを外さないこと。キャップを外したら直ちに投与すること。
投与時
注射部位は、腹部、大腿部又は上腕部を選ぶこと。同一箇所へ繰り返し注射することは避け、新たな注射部位は前回の注射部位から少なくとも3cm離すこと。
皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位(傷、発疹、発赤、硬結等)には注射しないこと。
他の薬剤と混合しないこと。
本剤は1回使用の製剤であり、再使用しないこと。
国内のプラセボ対照第II/III相臨床試験では、投与開始後24週までに抗サリルマブ抗体は本剤200mg+メトトレキサート投与群、本剤150mg+メトトレキサート投与群及びプラセボ+メトトレキサート投与群でそれぞれ1.3%(1/80)、1.2%(1/81)、1.2%(1/81)で持続的に認められ、そのうち中和抗体は本剤200mg+メトトレキサート投与群1.3%(1/80)に認められた。海外試験併合安全性集団では、抗サリルマブ抗体は本剤200mg+DMARDs投与群、本剤150mg+DMARDs投与群及びプラセボ+DMARDs投与群でそれぞれ4.0%(24/607)、5.6%(34/607)、2.0%(12/608)で持続的に認められ、そのうち中和抗体はそれぞれ1.0%(6/607)、1.6%(10/607)、0.2%(1/608)に認められた。抗サリルマブ抗体形成は本剤の薬物動態に影響を及ぼす可能性が示唆された。
遮光のため、本剤は外箱に入れて保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4基質経口避妊薬シンバスタチンミダゾラム 等 | CYP3A4基質の薬剤の血中濃度が減少するおそれがある。 | リウマチ患者ではIL-6値の上昇に伴いCYP活性が下方制御を受け、CYPにより代謝を受ける薬剤の血中濃度が上昇する。本剤などのIL-6Rα受容体阻害剤によりIL-6シグナル伝達が抑制されると、CYP活性が非炎症状態のレベルに回復し、その結果、CYPにより代謝を受ける薬剤の血中濃度が減少する可能性がある。 |
国内における関節リウマチ患者を対象とした臨床試験における安全性解析対象症例325例中、副作用は217例(66.8%)に発現し、主な副作用は、鼻咽頭炎43例(13.2%)、好中球減少症40例(12.3%)、注射部位紅斑28例(8.6%)、口内炎17例(5.2%)等であった。(承認時)
感染症
蜂巣炎(1.2%)、肺炎(0.6%)等の日和見感染を含む重篤な感染症があらわれ、致命的な経過をたどることがある。本剤投与後は、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少症(1.8%)、好中球減少症(12.3%)、血小板減少症(2.8%)
無顆粒球症、白血球減少、好中球減少、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
腸管穿孔
消化管穿孔(頻度不明)が報告されている。本剤投与により、憩室炎等の急性腹症の症状(腹痛、発熱等)が抑制され、発見が遅れて穿孔に至る可能性があるため、異常が認められた場合には、腹部X線、CT等の検査を実施するなど十分に観察し、適切な処置を行うこと。
ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
血圧低下、呼吸困難、意識消失、めまい、嘔気、嘔吐、
間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部X線、CT及び血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β-D-グルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。なお、間質性肺炎の既往歴のある患者には、定期的に問診を行うなど、注意すること。
肝機能障害
AST(GOT)(1.2%)、ALT(GPT)(3.4%)の上昇等の肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
次のような副作用が認められた場合には、休薬・中止など適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | |
| 感染症 | 鼻咽頭炎 | 上気道感染、口腔ヘルペス | 尿路感染 |
| 代謝 | 高コレステロール血症 | 高トリグリセリド血症 | |
| 肝臓 | 肝機能異常、ALT増加 | ||
| 循環器 | 高血圧 | ||
| 消化器 | 口内炎 | ||
| その他 | 注射部位紅斑 | 注射部位 |
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