HMG-CoA還元酵素阻害剤
| 一般名 |
シンバスタチン
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|---|---|
| 製造/販売 | キョーリンリメディオ / 杏林製薬 |
| 剤形/規格 |
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本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
重篤な肝障害のある患者[本剤は主に肝臓において代謝され、作用するので肝障害を悪化させるおそれがある。]
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
イトラコナゾール、ミコナゾール、アタザナビル、サキナビルメシル酸塩、テラプレビル、コビシスタットを含有する製剤を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
高脂血症、家族性高コレステロール血症
通常、成人にはシンバスタチンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、LDL-コレステロール値の低下が不十分な場合は1日20mgまで増量できる。
本剤の適用にあたっては、次の点に十分に留意すること。
適用の前に十分な検査を実施し、高脂血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
本剤は高コレステロール血症が主な異常である高脂血症によく反応する。
投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
近位筋脱力、CK(CPK)高値、炎症を伴わない筋線維の壊死、抗HMG-CoA還元酵素(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある。(「重大な副作用」の項参照)
アルコール中毒者、肝障害又はその既往歴のある患者[本剤は主に肝臓において代謝され、作用するので肝障害を悪化させるおそれがある。また、アルコール中毒者では横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。(「重大な副作用」の項参照)]
腎障害又はその既往歴のある患者[横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能の悪化が認められている。]
甲状腺機能低下症の患者、遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者、薬剤性の筋障害の既往歴のある患者[横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。(「重大な副作用」の項参照)]
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
海外において、本剤を含むHMG-CoA還元酵素阻害剤投与中の患者では、糖尿病発症のリスクが高かったとの報告がある。
安定性試験
最終包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6ヵ月)の結果、シンバスタチン錠5mg「杏林」、シンバスタチン錠10mg「杏林」及びシンバスタチン錠20mg「杏林」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
本剤は、主に肝代謝酵素チトクロームP4503A4(CYP3A4)により代謝される。本剤の活性代謝物であるオープンアシド体はOATP1B1の基質である。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| イトラコナゾールイトリゾールミコナゾールフロリード | 急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。 | これらの薬剤はCYP3A4を阻害し、本剤の代謝が抑制される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アタザナビルレイアタッツサキナビルメシル酸塩インビラーゼテラプレビルテラビックコビシスタットを含有する製剤スタリビルド | 横紋筋融解症を含むミオパチー等の重篤な副作用が起きるおそれがある。 | これらの薬剤はCYP3A4を阻害し、本剤の代謝が抑制される。 |
腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者では原則として併用しないこととするが、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ慎重に併用すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フィブラート系薬剤ベザフィブラート等 | 急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、本剤の投与量は10mg/日を超えないこと。[自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。] | 危険因子:腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クマリン系抗凝血剤ワルファリンカリウム | 抗凝血作用がわずかに増強する。クマリン系抗凝血剤を併用する場合はプロトロンビン時間をモニターし抗凝血剤の量を調節すること。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フィブラート系薬剤ベザフィブラート等 | 急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。併用を必要とする場合には、本剤の投与量は10mg/日を超えないこと。[自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。] | これらの薬剤も横紋筋融解症が知られている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ダナゾール | 急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。併用を必要とする場合には、本剤の投与量は10mg/日を超えないこと。[自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。] | 腎障害のある患者には特に注意すること。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| シクロスポリン | 急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。併用を必要とする場合には、本剤の投与量は10mg/日を超えないこと。[自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。] | シクロスポリンはCYP3A4を阻害し、併用により本剤の代謝が抑制されるおそれがある。シクロスポリンのOATP1B1阻害作用により、本剤のオープンアシド体の肝取り込みが抑制され、血漿中濃度が上昇するおそれがある。腎障害のある患者には特に注意すること。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エリスロマイシンクラリスロマイシンテリスロマイシンHIVプロテアーゼ阻害剤リトナビル等 | 急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。[自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。] | これらの薬剤はCYP3A4を阻害し、併用により本剤の代謝が抑制されるおそれがある。腎障害のある患者には特に注意すること。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ニコチン酸 | 急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。[自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。] | 腎障害のある患者には特に注意すること。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エファビレンツ | 併用により本剤の血漿中濃度が低下したとの報告がある。 | エファビレンツのCYP3A4誘導作用により本剤の代謝が促進されるおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アミオダロンアムロジピンベラパミル | 併用により本剤のAUCが上昇し、横紋筋融解症又はミオパチーが起きるおそれがある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジルチアゼム | 併用により本剤のAUCが上昇し、横紋筋融解症又はミオパチーが起きるおそれがある。 | ジルチアゼムによりCYP3A4を介する本剤の代謝が抑制されるおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| グレープフルーツジュース | 併用により本剤のAUCが上昇したとの報告がある。本剤の投与中はグレープフルーツジュースの摂取は避けること。 | グレープフルーツジュースはCYP3A4を阻害し、本剤の代謝が抑制されるおそれがある。 |
本剤は、使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
(頻度不明)
横紋筋融解症、ミオパチー
筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、これに伴って急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがある。また、ミオパチーがあらわれることがあるので、広範な筋肉痛、筋肉圧痛や著明なCK(CPK)上昇などに注意すること。異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
免疫性壊死性ミオパチー
免疫性壊死性ミオパチーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝炎、肝機能障害、黄疸
肝炎、黄疸等の肝機能障害があらわれることがある。また、まれに肝不全に至ることがあるので、定期的に肝機能検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
末梢神経障害
四肢の感覚鈍麻、しびれ感・冷感等の感覚障害、あるいは筋力低下等の末梢神経障害があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
血小板減少
血小板減少があらわれることがあるので、血液検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
過敏症候群
ループス様症候群、血管炎等を含む過敏症候群が報告されているので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
間質性肺炎
間質性肺炎があらわれることがあるので、長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
次のような症状又は異常があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | |
| 消化器 | 膵炎、腹痛、嘔気、下痢、消化不良、嘔吐、食欲不振、便秘、鼓腸放屁、腹部膨満感、口内炎、舌炎 |
| 肝臓 | AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、総ビリルビン値上昇 |
| 皮膚 | 光線過敏、 |
| 筋肉 | CK(CPK)上昇、ミオグロビン上昇、筋肉痛、筋痙攣 |
| 血液 | 貧血、白血球減少 |
| 精神神経系 | 認知機能障害(記憶障害、混乱等)、抑うつ、頭痛、不眠、めまい、しびれ |
| その他 | 心悸亢進、頻尿、テストステロン低下、勃起不全、HbA1c上昇、血糖値上昇、倦怠感、BUN上昇、浮腫、口渇、関節痛、耳鳴、発熱、ほてり、胸痛、味覚異常 |
シンバスタチン錠5mg「杏林」
シンバスタチン錠10mg「杏林」
シンバスタチン錠20mg「杏林」
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