二次性副甲状腺機能亢進症治療剤
| 一般名 |
マキサカルシトール
|
|---|---|
| 製造/販売 | 富士製薬工業 |
| 剤形/規格 |
|
維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
通常、成人には、透析終了直前にマキサカルシトールとして、1回2.5〜10μgを週3回、透析回路静脈側に注入(静注)する。なお、血清副甲状腺ホルモン(PTH)の改善効果が得られない場合は、高カルシウム血症の発現等に注意しながら、1回20μgを上限に慎重に漸増する。
本剤は従来の経口活性型ビタミンD剤により効果が十分に得られない症例に対して経口活性型ビタミンD剤から切り換えて投与すること。また、本剤により改善、維持された場合には、経口活性型ビタミンD剤への切り換えも考慮すること。
本剤は血清カルシウム上昇作用を有するので、本剤投与中、血清カルシウム値を定期的(少なくとも2週に1回)に測定し、血清カルシウム値が11.5mg/dL(5.75mEq/L)を超えないよう投与量を調節すること。
また、目安として血清カルシウム値が11.0mg/dLを超えたときには、さらに測定頻度を高くし(週に1回以上)、減量あるいは中止すること。
低アルブミン血症(血清アルブミン量が4.0g/dL未満)の場合には補正値を指標に用いることが望ましい。
補正カルシウム値算出方法
補正カルシウム値(mg/dL)=血清カルシウム値(mg/dL)−血清アルブミン値(g/dL)+4.0
慢性腎不全における二次性副甲状腺機能亢進症においては、しばしば高度の高リン血症を呈し、これが増悪因子のひとつとなることがあるので、定期的に血清無機リン値を測定し、そのコントロールを行うこと。
本剤の長期投与により血清カルシウム値の上昇頻度が高くなることが認められている。これは、本剤の効果により血清PTHの低下に伴って骨代謝が正常化しやすくなることによると考えられる。
高カルシウム血症の患者[本剤の投与によりさらに血清カルシウムを上昇させるおそれがある。]
高齢者(「5.高齢者への投与」の項参照)
調製時
本剤を投与する場合は他剤との混注を行わないこと。
本剤はワンポイントカットアンプルであるが、アンプルのカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。
アンプルカット後速やかに使用し、残液は廃棄すること。
がん原性について、ラット(F344/DuCrj)に週1回24ヵ月間静脈内投与した結果、副腎においてF344ラットに好発する良性の褐色細胞腫の発現頻度が増加した。ラットでは血清カルシウム値の上昇に伴って発生が増加すると考えられている。マウスでは週1回18ヵ月間投与で発がん性は認められなかった。
他のマキサカルシトール製剤の承認時までの臨床試験において投与された維持透析患者977例中、34例(3.5%)、38件に心電図異常が認められた。その主なものは左室肥大15件、I度AV Block、T波異常の各6件、心室性期外収縮、心房細動の各3件であった。
透析患者では心疾患の合併がみられることが多く、また、透析時には体外循環及び除水などによる心機能への影響が大きいことなどから、心電図異常を発現しやすい。このため、本剤の投与に際しては心電図検査等の観察を十分に行うこと。
安定性試験
最終包装製品を用いた加速試験(25±2℃、相対湿度60±5%、6ヵ月)の結果、マキサカルシトール静注透析用2.5μg「F」、マキサカルシトール静注透析用5μg「F」及びマキサカルシトール静注透析用10μg「F」は規定条件の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アルファカルシドールカルシトリオール | 高カルシウム血症があらわれるおそれがある。 | 両剤ともに血清カルシウム値を上昇させる可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| PTH製剤 テリパラチド | 高カルシウム血症があらわれるおそれがある。 | 相加作用 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジギタリス製剤 ジゴキシン 等 | 不整脈があらわれるおそれがある。 | 本剤により高カルシウム血症が発症した場合、ジギタリス製剤の作用が増強することが考えられる。 |
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
(頻度不明)
高カルシウム血症(本剤には血清カルシウム上昇作用が認められる)
血清カルシウム値を定期的に測定し、11.5mg/dL(5.75mEq/L)を超えた場合には投与を中止(休薬)すること。また、高カルシウム血症によることが考えられる臨床症状(そう痒感、いらいら感など)の出現に注意すること。投与の再開については、血清カルシウム値が11.0mg/dL(5.5mEq/L)未満に回復したことを確認した後に投与量を減じて行うことが望ましい。
以下のような副作用が認められた場合は、減量・休薬など適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | |
| 皮膚 | そう痒症、発疹、脱毛症 |
| 精神神経系 | いらいら感、不眠症、頭痛、不穏、興奮、焦躁感 |
| 消化器 | 胃・腹部不快感、食欲不振 |
| 肝臓 | AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇 |
| 代謝異常 | CK(CPK)上昇、血中リン増加、血中ミオグロビン上昇、LDH上昇、Al-P上昇、総蛋白減少、血中尿酸増加、血中アルミニウム上昇 |
| 呼吸器 | 胸部X線異常 |
| 心・血管系 | 高血圧 |
| 血液 | 白血球分画異常(リンパ球、好酸球等)、白血球減少 |
| その他 | 四肢不快感、けん怠感 |
マキサカルシトール静注透析用2.5μg「F」
マキサカルシトール静注透析用5μg「F」
マキサカルシトール静注透析用10μg「F」
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。