本剤を注射しないこと。[静脈内に誤って注入すると、血液を凝固させ致死的な結果をまねくおそれがある。また、アナフィラキシーを起こすおそれがあるので、静脈内はもちろん皮下・筋肉内にも注射しないこと。]
凝血促進剤(ヘモコアグラーゼ)、抗プラスミン剤(イプシロンアミノカプロン酸、トラネキサム酸)、アプロチニン製剤を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
通常の結紮によって止血困難な小血管、毛細血管及び実質臓器からの出血(例えば、外傷に伴う出血、手術中の出血、骨性出血、膀胱出血、抜歯後の出血、鼻出血及び上部消化管からの出血など)。
通常、出血局所に、生理食塩液に溶かした溶液(トロンビンとして50〜1,000単位/mL)を噴霧もしくは灌注するか、又は粉末のまま撒布する。上部消化管出血の場合には、適当な緩衝剤に溶かした溶液(トロンビンとして200〜400単位/mL)を経口投与する。尚、出血の部位及び程度により適宜増減する。
[患者への説明]
本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際しては感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているものの、ヒトの血液を原材料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、その理解を得るよう努めること。
本剤の原材料となる献血者の血液については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体及び抗HTLV-I抗体陰性で、かつALT(GPT)値でスクリーニングを実施している。さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV、HCV、HAV及びヒトパルボウイルスB19について核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。その後の製造工程でウイルス除去・不活化のためにウイルス除去膜処理、65℃96時間の乾燥加熱処理を施した製剤であるが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。
血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。
肝炎ウイルス等のウイルス感染の危険性については完全には否定できないので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
重篤な肝障害、汎発性血管内凝固症候群(DIC)等網内系活性の低下が考えられる病態を有する患者[微量のトロンビンの血管内流入により、血管内血栓を形成するおそれがある。]
溶血性・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。]
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。]
投与時
溶液として局所に使用する場合には、血管内に入らないように注意すること。(血液を凝固させ、また、アナフィラキシーを起こすおそれがある。)
上部消化管出血に用いる場合には、事前に緩衝液等により胃酸を中和させること。例えば、本剤を経口投与する前にリン酸緩衝液(又は牛乳)を約50mL与え、5分後本剤10,000〜20,000単位を約50mLのリン酸緩衝液(又は牛乳)に溶かして経口投与する。なお、アジ化ナトリウム等の防腐剤を含有しているリン酸緩衝液は使用しないこと。
調製時
溶解後は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存する場合は冷蔵庫内で保存し、速やかに使用すること。
溶解時に微濁があっても酵素活性に差はない。
その他
本剤の至適pHは7付近であり、強酸、強アルカリ、重金属塩及び熱により酵素活性が阻害されるので注意すること。
外国において、ウシ由来トロンビン投与により後天性凝固因子阻害物質が産生され、凝固時間が延長されたとの報告がある。
[記録の保存]
本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を使用した場合は、医薬品名(販売名)、その製造番号又は製造記号(ロット番号)、使用年月日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ヘモコアグラーゼ(レプチラーゼ)イプシロンアミノカプロン酸(イプシロン)トラネキサム酸(トランサミン) | 血栓形成傾向があらわれるおそれがある。 | 凝血促進剤、抗プラスミン剤は血栓形成を促進する薬剤であり、併用により血栓形成傾向が相加的に増大する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アプロチニン(トラジロール) | 血栓形成傾向があらわれるおそれがある。 | アプロチニンは抗線溶作用を有するため、併用により血栓形成傾向が増大する。 |
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。(再審査対象外)
ショック
ショック(頻度不明)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、呼吸障害、胸部不快感、血圧降下、昏迷等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。
頻度不明 | |
過敏症 注) | 発疹、発赤 |
その他 | 発熱、嘔気、嘔吐、頭痛 |
注)このような場合には投与を中止すること。
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