完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤
| 一般名 |
エタネルセプト(遺伝子組換え)
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|---|---|
| 製造/販売 | ファイザー / 武田薬品工業 |
| 剤形/規格 |
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本剤投与により、結核、敗血症を含む重篤な感染症及び脱髄疾患の悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
また、本剤の投与において、重篤な副作用により、致命的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師が使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。
感染症
重篤な感染症
敗血症、真菌感染症を含む日和見感染症等の致死的な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。
結核
播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(胸膜、リンパ節等)を含む結核が発症し、死亡例も報告されている。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。
また、結核の既感染者には、抗結核薬の投与をした上で、本剤を投与すること。
ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告されている。
脱髄疾患の臨床症状・画像診断上の悪化が、本剤を含むTNF抑制作用を有する薬剤でみられたとの報告がある。脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者には投与しないこととし、脱髄疾患を疑う患者や家族歴を有する患者に投与する場合には、適宜画像診断等の検査を実施するなど、十分な観察を行うこと。
本剤の治療を行う前に、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使用すること。
敗血症の患者又はそのリスクを有する患者[敗血症患者を対象とした臨床試験において、本剤投与群では用量の増加に伴い死亡率が上昇した。「その他の注意」の項参照]
重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者[症状の再燃及び悪化のおそれがある。]
うっ血性心不全の患者[症状を悪化させるおそれがある。「その他の注意」の項参照]
既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
本剤を、通常、成人にはエタネルセプト(遺伝子組換え)として10〜25mgを1日1回、週に2回、又は25〜50mgを1日1回、週に1回、皮下注射する。
本剤は、細胞性免疫反応を調整するTNFの生理活性を抑制するので、感染症に対する宿主側防御に影響を及ぼすことがある。そのため本剤投与に際しては、十分な観察を行い感染症の発現や増悪に注意すること。他の生物製剤との切替えの際も注意すること。また、患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること。
本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与すること。
胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者
結核患者との濃厚接触歴を有する患者
また、本剤投与中も、胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明すること。なお、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与しないこと。
本剤を含む抗TNF製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者
本剤投与中は、生ワクチン接種により感染するおそれがあるので、生ワクチン接種は行わないこと。[「その他の注意」の項参照]
本剤を含む抗TNF療法において、新たな自己抗体の発現が報告されている。[「副作用」の「その他の副作用」の項参照]
本剤を含む抗TNF療法において、中枢神経系(多発性硬化症、視神経炎、横断性脊髄炎等)及び末梢神経系(ギラン・バレー症候群等)の脱髄疾患の発現や悪化が報告されている。そのため脱髄疾患及びその既往歴のある患者へは本剤を投与しないこと。脱髄疾患が疑われる患者については、神経学的評価や画像診断等の検査を行い、慎重に危険性と有益性を評価した上で本剤適用の妥当性を検討し、投与後は十分に観察を行うこと。
本剤に関連したアレルギー反応が報告されている。重篤なアレルギー又はアナフィラキシー反応が発現した場合は、速やかに投与を中止し適切な処置を行うこと。[「副作用」の「重大な副作用」の項参照]
また、重篤な症状以外でも、本剤投与時には、注射部位に紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒等の注射部位反応あるいは注射部位出血等が多数認められているので、本剤を慎重に投与するとともに、発現に注意し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
本剤ペン先端部のキャップは、ラテックスを含有しているため、ラテックス過敏症の既往歴あるいは可能性のある場合、キャップへの接触あるいは本剤の投与により、過敏反応がおこることがあるので注意すること。
臨床試験及びその後5年間の長期試験で、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍の発現が報告されている。一般に、慢性炎症性疾患のある患者に免疫抑制剤を長期間投与した場合、感染症や悪性リンパ腫の発現の危険性が高まることが報告されている。また、本剤を含む抗TNF製剤を使用した小児や若年成人においても、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍が報告されている。本剤に起因するか明らかでないが、悪性腫瘍等の発現には注意すること。[「臨床成績」の項参照]
本剤投与後にループス様症候群が発現し、さらに抗dsDNA抗体陽性となった場合は、投与を中止すること(本剤投与により抗dsDNA抗体の陽性化及びループス様症候群を疑わせる症状が発現することがある)。[「その他の注意」の項参照]
自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、適用後、感染症等本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。
使用済みのペンを再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底すること。全ての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、ペンを廃棄する容器を提供すること。
本剤投与により乾癬が発現又は悪化することが報告されている。重症な場合には本剤投与の中止を考慮すること。
本剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用は行わないこと。海外で実施したプラセボを対照とした臨床試験において、本剤を含む抗TNF製剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用療法を受けた患者では併用による効果の増強は示されておらず、感染症及び重篤な感染症の発現率が本剤を含む抗TNF製剤のみによる治療を受けた患者での発現率と比べて高かった。また、本剤と他の生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。
感染症の患者又は感染症が疑われる患者[本剤は免疫反応を減弱する作用を有し、正常な免疫応答に影響を与える可能性があるので、適切な処置と十分な観察が必要である。「重要な基本的注意」の項参照]
結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)[結核を活動化させるおそれがあるので、胸部レントゲン検査等を定期的に行うなど、結核症状の発現に十分注意すること。「重要な基本的注意」の項参照]
易感染性の状態にある患者[感染症を誘発するおそれがある。]
脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者及び家族歴のある患者[脱髄疾患発現のおそれがあるため、適宜画像診断等の検査を実施し、十分注意すること。「重要な基本的注意」の項参照]
重篤な血液疾患(汎血球減少、再生不良性貧血等)の患者又はその既往を有する患者[症状が悪化するおそれがある。「副作用」の「重大な副作用」の項参照]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
間質性肺炎の既往歴のある患者[間質性肺炎が増悪又は再発することがある。「重大な副作用」の項参照]
ヒトにおける本剤の最大忍容量は確立されていない。内毒素血症試験において、健康被験者に60mg/m2までを単回静脈内投与したところ、用量制限的な毒性はみられなかった。関節リウマチ患者における最高投与量は、初回投与量32mg/m2の静脈内投与〔その後は皮下投与16mg/m2(〜25mg)を1週間に2回投与〕であった。
本剤の解毒薬は知られていない。
投与経路
皮下にのみ投与すること。
投与前
投与約15〜30分前に室温に戻しておくこと。室温に戻るまでは、本剤ペン先端部のキャップを外さないこと。
投与前に、内容物を目視により確認すること。本剤は、白色の蛋白微粒子を認めることがあるが、本剤の投与にあたっては問題ない。なお、着色異物又は変色が認められる場合は、使用しないこと。
投与時
注射部位を大腿部、腹部、上腕部等に求め、順序良く移動し、短期間に同一部位への反復注射は行わないこと。新注射部位は、前回の注射部位から少なくとも3cm離すこと。
皮膚が敏感なところ、挫傷のあるところ、発赤又は硬結しているところへの注射は避けること。
その他
本剤は、1回使用の製剤であり、再使用しないこと。
本剤の臨床試験は、国内では52週間(長期試験の投与期間3週〜112週の中央値)まで、海外では5年間までの期間で実施されており、これらの期間を超えた本剤の長期投与時の安全性は確立していない。
比較臨床試験において、抗核抗体陽性化(ANA)(≧1:40)、抗dsDNA抗体陽性化及び抗カルジオリピン抗体陽性化が認められた本剤投与患者の割合は、プラセボ群と比較して増加した。
また、リウマトイド因子陽性の関節リウマチ患者を含めて、臨床症状発現及び生検により、亜急性皮膚ループス又は円板状ループスにみられる発疹及びループス様症候群を伴う新たな自己抗体を発現した患者が報告されている。
海外において、本剤投与中の乾癬性関節炎患者では、肺炎球菌多糖体ワクチンに対して有効なB細胞免疫応答を得ることができたとの報告がある。しかし本剤を投与していない患者と比較すると、全体的にみて抗体価がやや低く、抗体価が2倍に達した患者は少なかった。この臨床的意義は不明である。
本剤をマウス、ラット等のげっ歯類に投与すると、中和抗体陽性化と薬理学的活性の消失が認められ、十分な曝露量が得られない。このため、がん原性試験は実施されていない。
本邦において、本剤と他の抗リウマチ薬との併用について、有効性及び安全性は確立されていない。
海外で敗血症性ショックの患者141例を対象に、プラセボ又は本剤0.15、0.45、1.5mg/kgを単回静脈内投与するプラセボ対照無作為二重盲検試験が実施された。それによると、本剤の投与では疾患の進行を妨げることができず、本剤投与群で用量の増加に伴い死亡率の上昇がみられた。主要評価項目である28日間死亡率は、プラセボ群で30%(10/33例)、本剤0.15mg/kg群で30%(9/30例)、0.45mg/kg群で48%(14/29例)、1.5mg/kg群で53%(26/49例)であった
海外でうっ血性心不全患者(NYHA心機能分類II〜IV)を対象とした2つのプラセボ対照無作為二重盲検試験が実施されたが、いずれも有効性が認められないことから早期に中止された(追跡期間中の中央値はそれぞれ、12.7カ月、5.7カ月であった)。最初の試験では、本剤25mg週2回群(308例)及び本剤25mg週3回群(308例)のいずれも、プラセボ群(309例)と比較して心不全の悪化及び死亡率が高い傾向にあった。投与後24週の心不全の悪化は、本剤25mg週2回群が89例(29%)、25mg週3回群が83例(27%)、プラセボ群が62例(20%)であった。また最終死亡例数は、本剤25mg週2回群が55例(18%)、25mg週3回群61例(20%)、プラセボ群が44例(14%)であった。2番目の試験では、1123例が本剤25mg週1回群、本剤25mg週2回群、又はプラセボ投与群のいずれかに割り付けられたが、心不全の悪化及び死亡において、本剤投与群とプラセボ群の間で差はみられなかった
なお、他の抗TNF療法においては、心不全症状の悪化及び死亡が、プラセボ群よりも高率に認められたとの報告がある
手術前後の本剤の投与について、安全性は確立されていない。
光曝露を避けるため、本剤は外箱に入れて保存すること。
また、外箱開封後も光を遮り保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| サラゾスルファピリジン | サラゾスルファピリジン投与中の患者に本剤を追加投与したところ、各々の単独投与群と比較して、平均白血球数が統計学的に有意に減少したとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
<国内臨床試験成績>(凍結乾燥製剤のデータ)
本剤の10mg及び25mg、週2回投与ならびに本剤の25mg及び50mg週1回投与を検討した国内の臨床試験において、安全性評価対象660例中448例(67.9%)に副作用が認められ、その主なものは、感染症(注2)282例(42.7%)、注射部位反応(注3)156例(23.6%)、発疹(注4)106例(16.1%)、そう痒症26例(3.9%)、頭痛25例(3.8%)、浮動性めまい21例(3.2%)、下痢21例(3.2%)等であった。また臨床検査値異常変動は、ALT(GPT)上昇34例(5.2%)、AST(GOT)上昇25例(3.8%)等であった。(週2回投与 2008年5月集計時、一変承認時)
(注2)鼻咽頭炎、上気道感染、咽頭炎、膀胱炎、気管支炎、帯状疱疹、肺炎、口腔ヘルペス、歯周炎等
(注3)注射部位の紅斑、そう痒感、腫脹等
(注4)湿疹、皮膚炎、紅斑等
<国内使用成績調査結果(全例調査)>(凍結乾燥製剤のデータ)
市販後の一定期間に投与症例の全例を登録して実施した調査において、安全性評価対象13894例中3714例(26.7%)に副作用が認められ、その主なものは、感染症(注5)1207例(8.7%)、注射部位反応609例(4.4%)、発疹(注6)557例(4.0%)、鼻咽頭炎242例(1.7%)、肝機能異常228例(1.6%)、発熱222例(1.6%)等であった。(2008年4月集計時)
(注5)鼻咽頭炎、気管支炎、肺炎、帯状疱疹等
(注6)紅斑、湿疹、皮膚炎等
<海外臨床試験成績>(凍結乾燥製剤のデータ)
本剤の10mg及び25mg、週2回投与を検討した海外(米国)の第III相二重盲検比較試験において、安全性評価対象154例中、感染症88例(57.1%)、注射部位反応71例(46.1%)、その他118例(76.6%)の有害事象(注7)が認められた。感染症を除く有害事象のうち、本剤との因果関係が否定できないものは、注射部位反応70例(45.5%)、頭痛8例(5.2%)、発疹5例(3.2%)、咳嗽増加、鼻炎、そう痒症、脱毛症各4例(2.6%)等であった。(承認時)
(注7)本剤との因果関係の有無にかかわらず発現した事象
本剤の25mg週2回投与及び50mg週1回投与を検討した海外(米国及びカナダ)の第III相二重盲検比較試験において、安全性評価対象367例中166例(45.2%)に副作用が認められ、その主なものは、注射部位反応67例(18.3%)、頭痛21例(5.7%)、悪心20例(5.4%)、発疹17例(4.6%)等であった。(承認時)
敗血症(0.2%)、肺炎(ニューモシスティス肺炎を含む)(1.5%)、真菌感染症(0.2%)等の日和見感染症(2.6%)
このような症状があらわれることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。なお、感染症により死亡に至った症例が報告されている。
結核(0.1%未満)
本剤投与による結核の発症は、投与初期からあらわれる可能性があるため、結核の既感染者には、本剤投与後、問診及び胸部レントゲン検査等を定期的(投与開始後2カ月間は可能な限り1カ月に1回、以降は適宜必要に応じて)に行うことにより、結核症状の発現に十分に注意すること。また、肺外結核(胸膜、リンパ節等)も報告されていることから、その可能性も十分考慮した観察を行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤なアレルギー反応(0.5%)
血管浮腫、アナフィラキシー、気管支痙攣及び蕁麻疹等の重篤なアレルギー反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような反応が認められた場合には速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な血液障害(0.9%)
再生不良性貧血及び汎血球減少(致命的な転帰に至った例を含む)、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、血球貪食症候群があらわれることがある。患者に対し、本剤投与中に血液障害や感染症を疑う症状(発熱の持続、咽頭痛、挫傷、蒼白等)があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること。このような患者には、速やかに血液検査等を実施し、血液障害が認められた場合には、投与を中止すること。
脱髄疾患(頻度不明 (注8) )
脱髄疾患(多発性硬化症、視神経炎、横断性脊髄炎、ギラン・バレー症候群等)があらわれることがある。異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(0.7%)
間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部レントゲン検査、胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスティス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。なお、間質性肺炎の既往歴のある患者には、定期的に問診を行うなど、注意すること。
抗dsDNA抗体の陽性化を伴うループス様症候群(0.1%未満)
抗dsDNA抗体が陽性化し、関節痛、筋肉痛、皮疹等の症状があらわれることがある。このような場合には、投与を中止すること。
肝機能障害(3.1%)
AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明 (注8) )、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)、多形紅斑(0.1%未満)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性血管炎(頻度不明 (注8) )
抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性血管炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全(0.1%)、ネフローゼ症候群(0.1%未満)
急性腎不全、ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心不全(0.1%未満)
心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
(注8)自発報告あるいは海外からの報告
頻度は国内の臨床試験(関節リウマチ及び若年性特発性関節炎)及び国内使用成績調査結果(全例調査、関節リウマチ)の集計結果による。
次のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
| 1%以上 | 0.1〜1%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 (注8) | |
| 呼吸器 | 感冒、上気道感染、気管支炎 | 咳嗽、咽頭炎、鼻炎、副鼻腔炎、鼻漏、扁桃炎 | 喘息、喀痰、嗄声、鼻閉、血痰、気管狭窄、気管支拡張症、気管支肺異形成症、肺嚢胞、胸水 | |
| 皮膚 | 発疹(湿疹、皮膚炎、紅斑等)、そう痒症 | 蕁麻疹、白癬、脱毛、爪囲炎 | 膿痂疹、皮膚乾燥、爪感染、膿疱性乾癬、爪の異常、胼胝、光線過敏症、乾癬(悪化を含む)、凍瘡、化膿性汗腺炎、色素性母斑 | 乾癬様皮疹 |
| 消化器 | 胃腸炎、下痢・軟便、口内炎、腹痛、咽喉頭疼痛、悪心、嘔吐、便秘、歯周炎、食欲不振、歯肉炎、齲歯、胃部不快感、消化性潰瘍 | 咽頭不快感、口唇炎(口角炎等)、腹部膨満、歯痛、歯髄炎、口腔感染、歯の知覚過敏、歯肉腫脹、舌苔、膵炎 | ||
| 投与部位 | 注射部位反応(注9)(紅斑、出血斑、そう痒感、皮膚炎、疼痛、挫傷等) | |||
| 泌尿器 | 尿路感染(膀胱炎等)、腎盂腎炎、BUN増加、尿沈渣、血尿 | 蛋白尿、クレアチニン上昇、頻尿、尿糖、残尿感、腎結石 | ||
| 精神神経系 | 頭痛、浮動性めまい、感覚減退(しびれ感等)、不眠 | 錯感覚(ピリピリ感等)、眠気、味覚異常、手根管症候群、不安、嗅覚異常、四肢異常感覚 | ||
| 肝臓 | ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、ALP上昇、LDH上昇 | |||
| 循環器 | 高血圧、血圧上昇、動悸、潮紅 | 期外収縮、頻脈、血管炎(白血球破砕性血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病等) | ||
| 血液 | 白血球増加、貧血(鉄欠乏性を含む)、ヘモグロビン減少 | 好酸球増加、ヘマトクリット減少、赤血球減少、血小板増加、リンパ球増加、血沈亢進、好中球増加、赤血球形態異常、白血球分画異常、網状赤血球増加 | ||
| 眼 | 結膜炎、麦粒腫 | ブドウ膜炎、白内障、結膜充血、角膜潰瘍、眼精疲労、眼のちらつき、眼乾燥、眼痛、強膜炎、眼の異常感 | ||
| 筋・骨格系 | 化膿性関節炎、疼痛(四肢、腰、背部、臀部等) | 関節痛、筋痛、ループス様症候群(注10)、滑膜炎、肩こり、靭帯障害、関節脱臼、脊椎症 | ||
| 抵抗機構 | 帯状疱疹、蜂巣炎、インフルエンザ、膿瘍 | 創傷感染、化膿性リンパ節炎、サルコイドーシス | ||
| 生殖器 | 月経不順、乳腺炎 | |||
| その他 | 発熱 | 倦怠感、浮腫(局所性を含む)、出血、胸痛、中耳炎、胸部X線異常 | コレステロール上昇、胸部不快感、疲労、脱力感、アルブミン減少、口渇、自己抗体陽性(注10)、難聴、気分不良、CRP増加、体重減少、痙攣、外耳炎、四肢不快感、総蛋白増加、脱水、耳下腺腫脹、総蛋白減少 |
(注8)自発報告あるいは海外からの報告
(注9)注射部位反応は、投与開始から1カ月の間に高頻度で発現し、その後減少している。注射部位反応は、以前に注射した部位にもあらわれる可能性がある。
(注10)「その他の注意」参照のこと。
頻度は国内の臨床試験(関節リウマチ及び若年性特発性関節炎)及び国内使用成績調査結果(全例調査、関節リウマチ)の集計結果による。
エンブレル皮下注50mgペン1.0mL 31252円/キット
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効果の強さ
投稿日: 2017/09/15 参考率: 78%(7人/9人)
内科/50代/処方経験あり