本剤の成分並びに他のアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者
<適応菌種>
本剤に感性の大腸菌,クレブシエラ属,エンテロバクター属,プロテウス属,モルガネラ・モルガニー,プロビデンシア属,緑膿菌
<適応症>
敗血症,深在性皮膚感染症,慢性膿皮症,外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染,膀胱炎,腎盂腎炎,腹膜炎
成人
通常,トブラマイシンとして,膀胱炎および腎盂腎炎には,1日120mg(力価)を2回に,その他の感染症には,1日180mg(力価)を2〜3回に,それぞれ分割して,筋肉内注射または点滴静注する。
点滴静注においては30分〜2時間かけて注入する。
1回90mg投与の場合には,1時間以上かけて注入することが望ましい。
なお,年齢,体重,症状により適宜増減する。
小児
トブラマイシンとして,1日3mg(力価)/kgを2〜3回に分割して,筋肉内注射または点滴静注する。
点滴静注においては30分〜2時間かけて注入する。
なお,年齢,体重,症状により適宜増減する。
本剤によるショック,アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知できる方法がないので,次の措置をとること。
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお,抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
投与に際しては,必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
投与開始から投与終了後まで,患者を安静の状態に保たせ,十分な観察を行うこと。特に,投与開始直後は注意深く観察すること。
があらわれることがあるので慎重に投与すること。
特に腎機能障害患者,高齢者,長期間投与患者及び大量投与患者等では血中濃度が高くなりやすく,聴力障害の危険性がより大きくなるので,
聴力検査を実施することが望ましい。アミノグリコシド系抗生物質の聴力障害は,高周波音に始まり低周波音へと波及するので,障害の早期発見のために,聴力検査の最高周波数である8KHzでの検査が有用である。
があらわれることがあるので慎重に投与すること。
腎障害のある患者[高い血中濃度が持続し,腎障害が悪化するおそれがあり,また,第8脳神経障害等の副作用が強くあらわれるおそれがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)]
肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある。]
重症筋無力症の患者[神経筋遮断作用がある。]
高齢者[「5.高齢者への投与」の項参照]
低出生体重児,新生児[「7.小児等への投与」の項参照]
経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者,全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。]
徴候,症状
腎障害,聴覚障害,前庭障害,神経筋遮断症状,呼吸麻痺があらわれることがある。
処置
血液透析,腹膜透析による薬剤の除去を行う。神経筋遮断症状,呼吸麻痺に対してはコリンエステラーゼ阻害剤,カルシウム製剤の投与又は機械的呼吸補助を行う。
アンプルカット時
アンプルカット時に異物の混入を避けるため,アンプルの首部の周りをエタノール綿等で清拭しカットすること。
調製時
点滴静注にあたって本剤の希釈には,通常「日局」生理食塩液,5%ブドウ糖注射液を用いる。なお,5%ブドウ糖注射液と配合後はなるべく速やかに使用すること。
20%マンニトールとは配合変化を起こすので,本剤とは混注しないこと。
カルベニシリン,スルベニシリン,チカルシリン,ピペラシリンと混合すると,両剤の反応によりアミドを形成し,本剤の活性低下を来すので,それぞれ別経路で投与すること。
筋肉内注射時
筋肉内注射にあたっては,組織,神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。
同一部位への反復注射はなるべく行わないこと。
また,低出生体重児,新生児,乳児,幼児,小児には特に注意すること。
神経走行部位を避けるよう注意すること。
なお,注射針を刺入したとき,神経に当たったと思われるような激痛を訴えた場合は,直ちに針を抜き,部位をかえて注射すること。
注射器の内筒を軽くひき,血液の逆流がないことを確かめて注射すること。
硬結を来すことがあるので,注射直後は,局所を十分にもむこと。
クエン酸水和物で抗凝固処理した血液を大量輸血された患者にアミノグリコシド系抗生物質を投与すると,投与経路にかかわらず,神経筋遮断症状,呼吸麻痺があらわれることがある。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
腎障害を起こすおそれのある血液代用剤デキストランヒドロキシエチルデンプン等 | 腎障害が発現,悪化することがあるので,併用は避けることが望ましい。腎障害が発生した場合には投与を中止し,透析療法等適切な処置を行うこと。 | 機序は明確ではないが,併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中への蓄積,近位尿細管上皮の空胞変性が生じるという報告がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ループ利尿剤エタクリン酸フロセミド(特に静注)アゾセミド等 | 腎障害及び聴器障害が発現,悪化するおそれがあるので,併用は避けることが望ましい。 | 機序は明確ではないが,併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中濃度の上昇,腎への蓄積が起こるという報告がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤バンコマイシンエンビオマイシン白金含有抗悪性腫瘍剤(シスプラチン,カルボプラチン,ネダプラチン)等 | 腎障害及び聴器障害が発現,悪化するおそれがあるので,併用は避けることが望ましい。 | 機序は不明両薬剤共に腎毒性,聴器毒性を有する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
麻酔剤筋弛緩剤ツボクラリンパンクロニウム臭化物ベクロニウム臭化物トルペリゾンA型ボツリヌス毒素等 | 呼吸抑制があらわれるおそれがある。呼吸抑制があらわれた場合には,必要に応じ,コリンエステラーゼ阻害剤,カルシウム製剤の投与等の適切な処置を行うこと。 | 両薬剤共に神経筋接合部の遮断作用を有し,併用によりその作用が増強される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
腎毒性を有する薬剤シクロスポリンアムホテリシンB等 | 腎障害が発現,悪化するおそれがある。 | 機序は不明両薬剤共に腎毒性を有する。 |
筋注
承認時における安全性評価対象例983例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は,75例(7.6%)に認められ,承認後(1976年8月〜1980年4月)における安全性評価対象例77619例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は,1058例(1.36%)に認められた。
点滴静注
承認時における安全性評価対象例494例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は,34例(6.9%)に認められた。
筋注及び点滴静注
再審査終了時における安全性評価対象例10472例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は,112例(1.07%)に認められた。
ショック(0.1%未満)
ショックを起こすことがあるので,観察を十分に行い,症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
急性腎不全(0.1%未満)
急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し適切な処置を行うこと。
第8脳神経障害(0.1〜5%未満)
眩暈,耳鳴,難聴等の第8脳神経障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような症状があらわれた場合には投与を中止することが望ましいが,やむを得ず投与を続ける必要がある場合には慎重に投与すること。
5%以上又は頻度不明 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | |
過敏症注1 | 発疹,そう痒,紅斑,発熱等 | ||
腎臓 | 腎機能障害 注1 (BUN上昇,クレアチニン上昇) | 浮腫,蛋白尿,血尿,尿円柱,カリウム等電解質の異常 | |
肝臓注1 | 肝障害,黄疸 | ||
神経 | 耳痛 注2,耳閉塞感 注2,口唇・四肢等のしびれ感 注2 | 頭痛,頭重,譫妄,見当識障害等 | |
血液 | 貧血(赤血球減少,ヘモグロビン減少,ヘマトクリット減少),白血球減少,血小板減少等 | ||
消化器 | 下痢,悪心,嘔吐,食欲不振,口内炎等 | ||
ビタミン欠乏症 | ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症,出血傾向等),ビタミンB群欠乏症状(舌炎,口内炎,食欲不振,神経炎等) | ||
注射部位 | 注射局所の疼痛又は硬結(筋注時) |
注1:症状(異常)が認められた場合には投与を中止すること。
注2:症状があらわれた場合には投与を中止することが望ましいが,やむを得ず投与を続ける必要がある場合には慎重に投与すること。
トブラシン注60mg 425円/管
トブラシン注90mg 607円/管
トブラシン注小児用10mg 99円/管
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