インデラル

ベータ遮断性 不整脈・狭心症 治療剤

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リスト同薬効薬剤
一般名 プロプラノロール塩酸塩
製造/販売 太陽ファルマ
剤形/規格
  • インデラル注射液2mg

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禁忌

  • 2.1

     本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  • 2.2

     気管支喘息、気管支痙攣のおそれがある患者[気管支を収縮し、喘息症状が誘発又は悪化するおそれがある。]

  • 2.3

     糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]

  • 2.4

     高度又は症状を呈する徐脈、房室ブロック(II、III度)、洞房ブロック、洞不全症候群のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある。]

  • 2.5

     心原性ショックの患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]

  • 2.6

     肺高血圧による右心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]

  • 2.7

     うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]

  • 2.8

     低血圧症の患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]

  • 2.9

     長期間絶食状態の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクし、発見を遅らせる危険性がある。]

  • 2.10

     重度の末梢循環障害のある患者(壊疽等)[症状が悪化するおそれがある。]

  • 2.11

     未治療の褐色細胞腫

    又はパラガングリオーマ

    の患者[

    7.、9.1.7

    参照]

  • 2.12

     異型狭心症の患者[症状が悪化するおそれがある。]

  • 2.13

     リザトリプタン安息香酸塩を投与中の患者[10.1参照]

効能・効果

  • ○狭心症

  • ○期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍(上室性、心室性)、頻拍性心房細動(徐脈効果)、麻酔に伴う不整脈、新鮮心房細動、洞性頻脈

  • ○褐色細胞腫手術時

用法・容量

  • プロプラノロール塩酸塩として通常成人には1回2〜10mgを、麻酔時には1〜5mgを徐々に静脈内注射する。
    なお、年齢、症状により適宜増減する。

注意事項

重要な基本的注意

  • 8.1

     本剤の投与は緊急治療を要する場合にのみ適用を考慮すること。

  • 8.2

     本剤を投与する場合には心電図による監視、血圧の測定等の心機能検査を行いながら慎重に行うこと。本剤を必要に応じて生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し、緩徐(毎分1mg以下)に静脈内に投与し、症状の改善がみられれば投与を中止すること。(本剤の投与により高度伝導障害、心停止、心室細動のような危険な不整脈が突然発生することがあるので、QRS幅が増大したときなどには投与を中止すること。また、必要に応じアトロピンなどを使用すること。)

  • 8.3

     褐色細胞腫の手術時に使用する場合を除き、手術前24時間は投与しないことが望ましい。

  • 8.4

     めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期)には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

慎重投与

  • 9.1 合併症・既往歴等のある患者

    • 9.1.1 うっ血性心不全のおそれのある患者

      • ジギタリス剤を併用するなど、慎重に投与すること。心機能を抑制し、うっ血性心不全が発現するおそれがある。

    • 9.1.2 甲状腺中毒症の患者

      • 中毒症状をマスクするおそれがある。

    • 9.1.3 特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、絶食状態(手術前後等)の患者

      • 血糖値に注意すること。低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクしやすい。

    • 9.1.4 重度でない末梢循環障害のある患者(レイノー症候群、間欠性跛行症等)

      • 症状が悪化するおそれがある。

    • 9.1.5 徐脈のある患者

      • 徐脈が悪化するおそれがある。

    • 9.1.6 房室ブロック(I度)のある患者

      • 房室伝導時間が延長し、症状が悪化するおそれがある。

    • 9.1.7 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者

      • 本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがある。[2.11、7.参照]
  • 9.2 腎機能障害患者

    • 9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者

      • 薬物の代謝・排泄が影響をうける可能性がある。

  • 9.3 肝機能障害患者

    • 9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者

      • 薬物の代謝・排泄が影響をうける可能性がある。

  • 9.5 妊婦

    • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、緊急やむを得ない場合以外は投与しないことが望ましい。妊娠中の投与により新生児の発育遅延、血糖値低下、呼吸抑制が認められたとの報告があり、また、動物実験で胎仔に対して、母体より長時間β遮断作用を示すことが報告されている。

  • 9.6 授乳婦

    • 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。[16.3参照]

  • 9.7 小児等

    • 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

  • 9.8 高齢者

    • 少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では一般に過度の血圧降下、高度の徐脈がおきた場合には脳梗塞等が起こるおそれがあるとされている。

過量投与

  • 13.1 症状

    • 心血管系

      • 徐脈、低血圧、及び心原性ショックが発現することがある。QRS延長、1度から3度のAVブロック、心停止が発現することがある。

    • 中枢神経系

      • 眠気、発作、重症の場合は昏睡が生じることがある。

    • その他

      • 気管支痙攣、高カリウム血症、及び中枢神経系を介した呼吸抑制が生じるおそれがある。

  • 13.2 処置

    • 過度の徐脈をきたした場合には、まずアトロピン硫酸塩水和物(1〜2mg)を静注し、更に必要に応じてβ

      1

      刺激剤であるドブタミン(毎分2.5〜10μg/kgを静注)を投与する。グルカゴン(10mgを静注)が有効であったとの報告もある。

    • 気管支痙攣は高用量のβ

      2

      作動薬(静注及び吸入−患者の反応に応じて投与量を増減)により消失させることができる。アミノフィリン水和物(静注)、イプラトロピウム(吸入)も考慮すること。グルカゴン(1〜2mgを静注)が気管支拡張を促すという報告がある。重度である場合には、酸素又は人工換気が必要である。

その他の注意

  • 15.1 臨床使用に基づく情報

    • 15.1.1

       アナフィラキシーの既往歴のある患者で、本剤又は他のβ遮断剤投与中に発生したアナフィラキシー反応の増悪を示し、又、アドレナリンによる治療に抵抗性を示したとの報告がある。

    • 15.1.2

       他のβ遮断剤の投与により血清クレアチンホスホキナーゼ値の上昇がみられたとの報告がある。

取扱上の注意

  • しゃ光して室温保存すること。

相互作用

相互作用序文

  • 本剤は主として肝代謝酵素CYP2D6、CYP1A2、CYP2C19で代謝される。[16.4参照]

薬物代謝酵素用語

CYP2D6

薬物代謝酵素用語

CYP1A2

薬物代謝酵素用語

CYP2C19

併用禁忌

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
リザトリプタン安息香酸塩(マクサルト)[2.13参照] リザトリプタンの消失半減期が延長、AUCが増加し、作用が増強する可能性がある。本剤投与中あるいは本剤投与中止から24時間以内の患者にはリザトリプタンを投与しないこと。 相互作用のメカニズムは解明されていないが、本剤がリザトリプタンの代謝を阻害する可能性が示唆されている。

併用注意

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
麻酔剤セボフルラン等 反射性頻脈が弱まり、低血圧のリスクが増加することがある。陰性変力作用の小さい麻酔剤を選択すること。また、心筋抑制作用を有する麻酔剤との併用は出来るだけ避けること。 麻酔剤により低血圧が起こると反射性の頻脈が起こる。β遮断剤が併用されていると、反射性の頻脈を弱め、低血圧が強められる可能性がある。また、陰性変力作用を有する麻酔剤では、相互に作用を増強させる。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤レセルピン、β遮断剤(チモロール等の点眼剤を含む)等 交感神経系の過剰の抑制(徐脈、心不全等)をきたすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 相互に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
血糖降下剤インスリン、トルブタミド、アセトヘキサミド等 血糖降下作用が増強されることがある。また、低血糖症状(頻脈等)をマスクすることがあるので血糖値に注意すること。 血糖値が低下するとカテコールアミンが副腎から分泌され、肝でのグリコーゲンの分解を促し、血糖値を上昇させる。このとき、肝臓のβ受容体が遮断されていると、カテコールアミンによる血糖上昇作用が抑えられ、血糖降下作用が増強する可能性がある。また、カテコールアミンによる頻脈のような低血糖症状がマスクされると考えられている。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カルシウム拮抗剤ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン等 ベラパミル、ジルチアゼム等では、低血圧、徐脈、房室ブロック等の伝導障害、心不全が発現するおそれがあるので減量するなど注意すること。また、ジヒドロピリジン系薬剤でも、低血圧、心不全が発現するおそれがあるので注意すること。本剤、カルシウム拮抗剤ともに、他方を投与中止後48時間以内は静脈投与しないようにすること。 相互に作用(心収縮力や刺激伝導系の抑制作用、降圧作用等)を増強させる。薬物動態的な相互作用のメカニズムは解明されていないが、肝血流量の変化によって本剤の代謝が影響をうけると考えられている。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
クロニジン クロニジンの投与中止後のリバウンド現象(血圧上昇、頭痛、嘔気等)を増強する可能性がある。クロニジンを中止する場合には、本剤を先に中止し、その後数日間観察した後、クロニジンを中止すること。また、クロニジンから本剤へ投与を変更する場合にはクロニジンを中止した数日後から本剤を投与すること。 クロニジンを投与されている患者でクロニジンを中止すると、血中カテコールアミンが上昇し、血圧上昇をきたす。β遮断剤が投与されていると、カテコールアミンによるα刺激作用が優位になり、血管収縮がさらに増強される。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
クラスI抗不整脈剤ジソピラミド、プロカインアミド、アジマリン等クラスIII抗不整脈剤アミオダロン等 過度の心機能抑制(徐脈、心停止等)があらわれることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 抗不整脈剤は陰性変力作用及び陰性変時作用を有する。β遮断剤もカテコールアミンの作用を遮断することにより心機能を抑制するため、併用により心機能が過度に抑制される。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
交感神経刺激剤アドレナリン等 相互の薬剤の効果が減弱する。また、血管収縮、血圧上昇をきたすことがあるので注意すること。 非選択性のβ遮断剤により末梢血管のβ受容体が遮断された状態でアドレナリンなどの交感神経作動薬が投与されると、α受容体を介する血管収縮作用のみがあらわれる。また、徐脈は副交感神経の反射によるものである。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
リドカイン リドカインの代謝を遅延させ、血中濃度を上昇させることがあるので併用は避けること。 本剤が肝血流量を減らし、また肝の薬物代謝酵素を阻害するために、リドカインの代謝が遅れると考えられている。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ジギタリス製剤 房室伝導時間が延長し、徐脈、房室ブロック等が発現することがあるので注意すること。 ジギタリス、β遮断剤はともに房室結節伝導時間を延長させる。ジギタリス中毒時には特に注意を要する。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
シメチジン 本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 シメチジンが肝血流量を低下させ、また、肝の薬物代謝酵素を阻害することにより、肝での本剤の分解が低下し、血中濃度が上昇すると考えられている。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
クロルプロマジン 本剤とクロルプロマジンの作用がそれぞれに増強することがある。 本剤とクロルプロマジンが薬物代謝酵素を競合するために、本剤、クロルプロマジンともに血中濃度が上昇すると考えられている。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ヒドララジン 本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 ヒドララジンが肝血流量を増加させるためと考えられている。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
麦角アルカロイドエルゴタミン等 下肢の疼痛、冷感、チアノーゼ等が発現することがあるので注意すること。 麦角アルカロイドとβ遮断剤が相乗的に末梢灌流を低下させると考えられている。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
非ステロイド性抗炎症剤インドメタシン等 本剤の降圧作用が減弱することがある。 非ステロイド性抗炎症剤は血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成を阻害する。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アルコール 本剤の血中濃度の変動により、作用が減弱または増強する可能性があるので注意すること。 アルコールにより本剤の吸収、代謝が変動するためと考えられている。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
リファンピシン 本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱する可能性があるので注意すること。 リファンピシンが肝酵素を誘導し、本剤の代謝・消失を促進すると考えられている。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
キニジン、プロパフェノン 本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 本剤はチトクロームP450によって代謝をうける。このため、チトクロームP450によって代謝をうける薬剤との間で、血中濃度が影響をうける可能性がある。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ワルファリン ワルファリンの血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 相互作用のメカニズムは解明されていないが、本剤がワルファリンの肝代謝を阻害することが考えられている。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
フィンゴリモド フィンゴリモドの投与開始時に本剤を併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある。 共に徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある。

副作用

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

  • 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

  • 11.1.1 うっ血性心不全(又はその悪化)

    (頻度不明)

    、徐脈

    (1.6%)

    、末梢性虚血(レイノー様症状等)、房室ブロック、失神を伴う起立性低血圧

    (いずれも頻度不明)

  • 11.1.2 無顆粒球症、血小板減少症、紫斑病

    (いずれも頻度不明)

  • 11.1.3 気管支痙攣(1.0%)、呼吸困難(0.2%)、喘鳴(頻度不明)

    • このような症状があらわれた場合には、減量又は中止し、必要に応じてβ

      2

      作動薬を用いるなど適切な処置を行うこと。

  • 発現頻度については、インデラル錠の承認時までに得られた情報に基づく。

その他の副作用

  • 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.1〜5%未満 頻度不明
過敏症 発疹等
循環器 労作時息切れ 低血圧、胸内苦悶、胸部不快・不安感
精神神経系 頭痛、めまい、不眠、しびれ等 ふらふら感、眠気、幻覚、悪夢、錯乱、抑うつ、気分の変化、精神変調
注) 視力異常、霧視、涙液分泌減少
消化器 口渇、食欲不振、下痢等 悪心、嘔吐、上腹部不快感、腹部痙攣、便秘
肝臓 肝機能異常(AST、ALT、Al-Pの上昇等)
その他 脱力感、疲労感 筋肉痛、可逆的脱毛、LDH上昇、血中尿素上昇、血糖値低下、乾癬様皮疹、乾癬悪化、抗核抗体陽性化、重症筋無力様症状、重症筋無力症悪化
  • 注)角膜潰瘍等の重篤な合併症を防止するため、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。

  • 発現頻度については、インデラル錠の承認時までに得られた情報に基づく。

薬価

インデラル注射液2mg 134円/管

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