中枢性尿崩症
小児
通常デスモプレシン酢酸塩水和物として1回2.5μg〜5μg(0.025〜0.05mL)を1日1〜2回鼻腔内に投与する。
成人
通常デスモプレシン酢酸塩水和物として1回5μg〜10μg(0.05〜0.1mL)を1日1〜2回鼻腔内に投与する。
投与量は患者の飲水量、尿量、尿比重、尿浸透圧により適宜増減する。
(鼻腔内投与法)
「適用上の注意」の項参照
多飲・多尿・低比重尿を示す疾患として中枢性尿崩症(バソプレシン感受性尿崩症)・心因性多飲症・腎性尿崩症・高カルシウム血症に基づく多尿症がある。これら各種疾患に基づく多尿を鑑別し、バソプレシン欠乏による尿崩症のみに使用すること。
渇中枢異常を伴う症候性尿崩症の患者では水出納のバランスがくずれやすいので、本剤投与中は血清ナトリウム値に十分注意すること。
本剤投与中に水中毒症状を来すことがあるので、次の点に注意すること。
過度の飲水を避け、点滴・輸液による水分摂取にも注意すること。
適正な飲水量、適正な用法の習得並びに維持量を決定するまで、入院するなど必要な処置をとることが望ましい。
本剤投与中は患者の状態を観察し、水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)の発現に十分注意すること。
水中毒の発現を予防するために患者及びその家族に次の点について十分説明・指導すること。
指示された飲水量、用法・用量を厳守すること。
過度に飲水してしまった場合は本剤の投与を行わないこと。発熱、喘息等の飲水が増加する疾患を合併している場合は特に注意すること。
水中毒を示唆する症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等)があらわれた場合には直ちに投与を中断し、速やかに医師に連絡すること。
他院や他科を受診する際には、本剤投与中である旨を担当医師に報告すること。
尿量が自然に減少する患者がいるので観察を十分にし漫然と投与しないこと。
高血圧を伴う循環器疾患、高度動脈硬化症、冠動脈血栓症、狭心症の患者[血圧上昇により症状を悪化させるおそれがある。]
下垂体前葉不全を伴う患者[病状が不安定なため、水中毒等が発現しやすい。]
アレルギー性鼻炎を起こしたことのある患者
鼻疾患を有する患者[鼻腔内投与のため吸収が安定しないおそれがある。]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
症状
水分貯留並びに低ナトリウム血症のリスクが高まり、頭痛、冷感、嘔気、痙攣、意識喪失等があらわれることがある。
処置
投与を中止し、水分を制限する。症状がある場合は等張若しくは高張食塩水の注入、フロセミドの投与等適切な処置を行う。
投与時
投与前には吸収を安定させるため鼻をかむなどの注意をすること。
目盛付点鼻チューブによる鼻腔内投与法
瓶の中央にあるプラスチック製のつまみを引っぱり保護シールを切り(図[1]参照)、プラスチック製の保護キャップを外す。
[1]
瓶上部のチートに薬液がたまっていないことを確認し、瓶先端の中ぶた[A]をひねって取る。(図[2]参照)
[2]
目盛付点鼻チューブを片手に持ち、もう片方の手で瓶をさかさにして、その先端を点鼻チューブの矢印のついた入口に軽く押しあてる程度に固定する。これだけで薬液はチューブ内にゆっくりと自動的に入っていくので必要な目盛まで薬液がチューブ内に入ったら、チートをチューブから離す。(図[3]参照)
注意
チューブは目盛を手前側にし、目盛が見やすいように水平に持つ。点鼻チューブに入れるのが難しければ、糖尿病用・ツベルクリン用注射器を用いて用量を吸い取り点鼻チューブに移すとよい。
[3]
点鼻チューブの端から1.5〜2cmのところを指でつまみ、鼻孔内に差し込む。点鼻チューブのもう一端を口にくわえ、息を止め、頭をそらし、短く強く薬液を吹き込む。こうすれば薬は鼻腔内だけに限られ、咽頭にたれてくることはない。(図[4]参照)
[4]
使用後は必ずチートに薬液がたまっていないことを確認してから予備キャップ(液漏れ防止用)をかぶせ、次いで茶色の保護キャップをする。点鼻チューブは水で洗ってからよく振って水が残らないようにし、また次の投与時に使う。
製品に同封されている「デスモプレシン点鼻液0.01%協和・投与方法と取扱い上の留意点」の説明文書もご参照ください。
保管
本剤は冷蔵庫に保管する。なお、旅行等で携行する場合は極力温度差の少ない場所に保管する。
注意
ポケット等、体温が直接伝わるところに入れて携帯すると液漏れを起こすおそれがある。
動物実験(ラット)で泌乳低下(母乳の出が悪くなる)の可能性が示唆されている。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 三環系抗うつ剤 イミプラミン塩酸塩等 | 低ナトリウム血症性の痙攣発作の報告があるので、血清Na、血漿浸透圧等をモニターすること。 | 左記薬剤は抗利尿ホルモンを分泌し、水分貯留のリスクを増すことがある。 |
本剤の承認時までの調査及び1982年4月までの市販後の副作用頻度調査、デスモプレシン・スプレー2.5協和の承認時までの調査において1,305例中、副作用の発現例は159例(発現率12.2%)、237件であった。主な副作用は、頭痛66件(5.1%)、嘔気・嘔吐41件(3.1%)、浮腫25件(1.9%)、鼻粘膜刺激21件(1.6%)、水中毒〔低ナトリウム血症〕20件(1.5%)等であった。
また、本剤と同一成分であるデスモプレシン・スプレー10協和の承認時までの調査及び市販後の使用成績調査においては1,015例中、副作用及び臨床検査値異常の発現例は36例(発現率3.6%)、60件であった。主な副作用は頭痛6件(0.6%)、ヘモグロビン減少5件(0.5%)、食欲不振、嘔気各4件(0.4%)、顔面浮腫3件(0.3%)、嘔吐、腹痛、鼻出血、発熱、不眠、傾眠、鼻部不快感、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、BUN上昇、ヘマトクリット減少、尿蛋白陽性化各2件(0.2%)等であった。(スプレー10再審査終了時)
脳浮腫、昏睡、痙攣等を伴う重篤な水中毒があらわれることがあるので、過量な水分の摂取には十分注意し、異常が認められた場合には投与を中止し、高張食塩水の注入、フロセミドの投与等の適切な処置を行うこと。(頻度不明:国外報告、国内自発報告に基づく)
次のような副作用(点鼻液、スプレー2.5、スプレー10)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
| 0.5〜5%未満 | 0.5%未満 | |
| 代謝 | 浮腫、低ナトリウム血症 | |
| 精神神経系 | 頭痛 | 強直性痙攣、眠気、めまい、不眠 |
| 過敏症 | 全身 |
|
| 消化器 | 嘔気・嘔吐 | 食欲不振、腹痛 |
| 循環器 | 顔面蒼白、のぼせ | |
| その他 | 鼻粘膜刺激 | 鼻炎、発汗、全身倦怠感、鼻出血、発熱 |
デスモプレシン点鼻液0.01%協和 5253.5円/瓶
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