遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤
| 一般名 |
ホリトロピンアルファ(遺伝子組換え)
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|---|---|
| 製造/販売 | メルクバイオファーマ |
| 剤形/規格 |
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血栓塞栓症を伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、用法・用量、使用上の注意に特に留意すること。予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。
本剤又は性腺刺激ホルモン製剤及び添加物に対する過敏症の既往歴のある患者
FSH濃度が高く、原発性性腺機能不全が示唆される患者
十分にコントロールされていない甲状腺又は副腎機能不全の患者[症状を悪化させることがある。]
エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
アンドロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、前立腺癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
視床下部、下垂体腫瘍等の頭蓋内器官の活動性の腫瘍がある患者[症状の悪化のおそれがある。]
診断の確定していない不正出血のある患者[悪性腫瘍の疑いがある。]
原因が特定されない卵巣腫大又は卵巣
妊娠又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
生殖補助医療における調節卵巣刺激
視床下部−下垂体機能障害又は多
低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導
調節卵巣刺激には、ホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)として通常150又は225IUを月経周期2日目又は3日目から1日1回皮下投与する。患者の反応に応じて1日450IUを超えない範囲で適宜用量を調節し、卵胞が十分に発育するまで継続する。本剤の最終投与後、卵胞最終成熟を誘発するためにhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)製剤を投与する。
排卵誘発には、ホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)として通常1回75IUを連日皮下投与する。卵胞の発育の程度を観察しながら適宜用量を調節し、主席卵胞の十分な発育が確認された後、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)製剤を投与し排卵を誘起する。
精子形成の誘導には、本剤はhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)製剤と併用投与する。
ホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)として1回150IUを1週3回皮下投与する。精子形成の誘導が認められない場合には、本剤の用量を1回に最大300IU、1週3回を限度として適宜増量する。
女性に使用する場合
本剤は不妊治療に十分な知識と経験のある医師が使用すること。本剤投与により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。
患者の選択
本剤の投与にあたっては、患者及び配偶者の検査を十分行い、妊娠に不適当な場合には使用しないこと。甲状腺機能低下、副腎機能低下、高プロラクチン血症及び下垂体又は視床下部腫瘍等が認められた場合、及びこれらに対する治療を受けている場合は対象から除外すること。また、妊娠不能な性器奇形、妊娠に不適切な子宮筋腫、又は原発性卵巣不全が認められる場合は本治療の対象から除外すること。
本剤を排卵誘発に使用する場合には、クロミフェン療法が奏効しない、自発月経を有するか又はプロゲステロン製剤投与により消退出血の認められる第1度無月経、無排卵周期症(希発及び頻発月経を含む)又は多
卵巣過剰刺激
卵胞発育を刺激する際に卵巣への刺激が過剰になることがある(「警告」、「重大な副作用」の項参照)。
次の点に留意し、卵巣過剰刺激症候群の発現が予想された場合は、本剤の投与を中断し、hCG製剤の投与を控えるとともに、少なくとも4日間は性交を控え、避妊するように指導すること。
患者の自覚症状の有無(初期の警告的な徴候として、重度の骨盤痛、悪心及び嘔吐)
急激な体重増加の有無(初期の警告的な徴候)
卵巣腫大の有無(内診の他、超音波検査、血清エストラジオール値検査等)
卵巣過剰刺激症候群は本剤投与終了後に発現し、急速に(24時間から数日以内)進行して重篤化することがあるため、投与後少なくとも2週間の経過観察が必要である。多くの場合、投与後7日から10日経過した時期に最も症状が重くなる。通常、月経開始とともに自然に解消するが、妊娠した場合には長期化し、より重度になる。重度の卵巣過剰刺激症候群が認められた場合は、治療を中止し、患者を入院させて適切な処置を行うこと。
血栓塞栓症
本人及び家族の既往歴等の一般に血栓塞栓症発現リスクが高いと認められる女性においては、ゴナドトロピンによる治療は発現リスクを増加させる。従って、これらの女性でのゴナドトロピン治療の必要性については、そのリスクを考慮して決定すること。なお、妊娠自体によっても血栓塞栓症のリスクは高くなることに留意すること。
流産
卵胞発育刺激を受けている女性では一般女性よりも流産率が高い。
子宮外妊娠
卵管疾患の既往のある女性では、不妊治療の有無にかかわらず子宮外妊娠のリスクが高くなる。また、体外受精・胚移植などの生殖補助医療を受ける不妊女性では、子宮外妊娠の可能性が高くなる。
多胎妊娠
卵胞発育刺激を受けた女性では、自然妊娠に比べて多胎妊娠の頻度が高くなる。多胎妊娠では単胎妊娠に比し、流・早産が多いこと、妊娠高血圧症候群などの合併症を起こしやすいこと、低出生体重児出生や奇形等のために周産期死亡率が高いことなどの異常が発生しやすいのでその旨をあらかじめ患者に説明すること。多胎妊娠のリスクを最小にするために、超音波検査及び血清中エストラジオール測定などによる卵巣反応の注意深いモニタリングを行うこと。多胎妊娠が予想される場合には、治療の中断を考慮すること。
日本産科婦人科学会の調査によると、平成28年の新鮮胚又は凍結胚を用いた体外受精・胚移植の治療成績では、妊娠数75,953例中、双胎が2,373例(3.1%)、三胎が42例(0.1%)、四胎が3例(0.04%)であった
生殖器官の腫瘍
卵胞発育刺激のための多剤療法を受けた患者で卵巣又は他の生殖器官の良性及び悪性腫瘍の発現が報告されている
先天異常
生殖補助医療後の先天異常の発生率は自然受胎後に比べわずかに高いとの報告がある
男性に使用する場合
本剤は、視床下部又は下垂体前葉の機能及び器質的障害に由来する低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症患者に対して、精子形成を誘導するものであるので、患者を選択する際には次の点に注意すること。
本剤の投与開始前に、ゴナドトロピン、テストステロン、プロラクチン等の内分泌学的検査を十分に行うこと。また、血中ゴナドトロピンが高値を呈する原発性精巣不全患者は除外すること。
CTまたはMRI検査を行い、頭蓋内器官の器質的障害の有無を確認すること。新たな所見を認めたときは、本剤の投与開始前に十分な評価を行うこと。(【禁忌】の項参照)
本剤とhCG製剤の併用投与によって精巣が発達した際に精索静脈瘤があらわれることがあるので、注意深く観察すること。
下垂体または視床下部に腫瘍のある患者に本剤を投与する場合には、定期的にCTまたはMRI検査を実施し、症状の悪化が認められた場合にはゴナドトロピン製剤による治療を中止すること。
hCG製剤との併用については、hCG製剤の添付文書に記載されている禁忌、慎重投与、重要な基本的注意等の【使用上の注意】を必ず確認すること。
在宅自己注射
在宅自己注射を行う場合は、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。
自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。
使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促すこと。
全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。
在宅自己注射を行う前に、本剤の「在宅自己注射説明書」を必ず読むよう指導すること。
子宮筋腫のある患者[子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。]
子宮内膜症のある患者[症状が増悪するおそれがある。]
未治療の子宮内膜増殖症のある患者[子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合があるため。]
乳癌の既往歴のある患者[乳癌が再発するおそれがある。]
乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者[症状が増悪するおそれがある。]
前立腺肥大のある患者[前立腺肥大が増大するおそれがある。]
投与経路
本剤は皮下注射でのみ投与すること。
調製時
溶解後は直ちに投与し、溶解後に長時間放置しないこと。
バイアル及び添付の注射用水の
投与部位
上腕、大腿、腹部、臀部等に順序良く移動し、短期間に繰返し同一部位に注射しないこと。
他の薬物との相互作用は報告されていない。
<視床下部−下垂体機能障害又は多
効能追加時
第1度無月経、無排卵周期症及び多
再審査終了時
使用成績調査では、1173例中89例に副作用が認められた。主な副作用は卵巣過剰刺激症候群61例(5.2%)、双胎妊娠15例(1.3%)、悪心、流産、稽留流産、自然流産、完全自然流産、バニシングツイン症候群2例(0.2%)であった。使用成績調査のうち妊娠症例を対象とした特定使用成績調査では、71例中3例に副作用が認められた。母親に認められた副作用は、自然流産2例(2.8%)、早産1例(1.4%)であった。また、児に認められた副作用は早産児、低出生体重児1例(1.4%)であった。
<低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導>
承認時
低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症患者を対象とした国内の臨床試験では、本剤とhCG製剤併用療法において、安全性評価対象例18例中14例に28件の副作用が認められた。主な副作用は、ざ瘡(2例2件)、脱毛症(2例2件)、精索静脈瘤(2例2件)、体重増加(2例2件)、不眠症(1例2件)、注意力障害(1例2件)であった。下痢、腹痛、悪心、疲労、倦怠感、女性化乳房、乳房痛、面皰、毛質異常、色素沈着障害、蕁麻疹、血中アルカリホスファターゼ増加、血中尿酸増加、前立腺特異性抗原増加、尿中蛋白陽性および尿潜血陽性が各1件認められた。重篤な副作用として精索静脈瘤が1例に1件認められた。
再審査終了時
使用成績調査では、416例中27例に副作用が認められた。主な副作用は倦怠感3例(0.7%)、味覚異常、発疹、乳房痛、女性化乳房2例(0.5%)であった。
使用成績調査のうち12ヵ月以上本剤とhCG製剤併用療法を実施した症例を対象とした特定使用成績調査では、29例において副作用は認められなかった。
女性における副作用
卵巣過剰刺激症候群(7.0%)
軽度の卵巣過剰刺激症候群では一過性下腹部不快感、軽度悪心、嘔吐、下痢及び腹部膨満等がみられ、卵巣過剰刺激症候群の進行によって症状の持続や悪化が認められる。重度の卵巣過剰刺激症候群では、腹痛、腹部膨満、重度の卵巣腫大、体重増加、呼吸困難、乏尿、及び持続する悪心・嘔吐・下痢などの消化管症状等の症状がみられ、臨床的評価では血液量減少症、血液濃縮、電解質失調、腹水、腹膜腔出血、胸水、胸水症、呼吸困難、心
血栓塞栓症(頻度不明注1))
アナフィラキシー反応(頻度不明注1))
アナフィラキシー反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注1)自発報告又は海外において報告された頻度を算出できない副作用。
男性における副作用
アナフィラキシー反応(頻度不明注1))
アナフィラキシー反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注1)自発報告又は海外において報告された頻度を算出できない副作用。
女性における副作用
| 1%〜2%未満 | 頻度不明注1) | |
| 血液 | 白血球数増加 | |
| 消化器 | 腹部不快感 | |
| 投与部位 | 注射部位疼痛 | 軽度から重度の注射部位反応(注射部位の発赤、内出血および腫脹)、浮腫 |
| 免疫系 | 軽度のアナフィラキシー反応、蕁麻疹 | |
| 代謝 | 食欲不振 | |
| 精神神経系 | 頭痛 | |
| 生殖器 | 不正子宮出血、性器出血 | 卵巣 |
| 呼吸器 | 呼吸困難(軽度の全身性アレルギー反応) | |
| 皮膚/皮膚付属器 | 蕁麻疹 |
注1)自発報告又は海外において報告された頻度を算出できない副作用。
男性における副作用
(海外臨床試験の結果を含む)
海外の市販後調査において軽度の全身性アレルギー反応が認められたとの報告がある(頻度不明注1))。
海外臨床試験において報告された副作用は以下のとおりである(安全性評価対象63例)。
| 5%以上 | 5%未満 | |
| 血液 | リンパ節症 | |
| 消化器 | 消化不良 | 胃炎、悪心 |
| 投与部位 | 注射部位疼痛 | 注射部位挫傷、注射部位紅斑、注射部位そう痒感 |
| 肝臓 | 血中ビリルビン増加、肝機能検査異常 | |
| 筋骨格系 | 鼡径部痛、筋痙縮 | |
| 精神神経系 | リビドー減退 | 不眠症、攻撃性、浮動性めまい、傾眠 |
| 生殖器 | 精巣痛、精索静脈瘤、停留精巣 | |
| 乳房 | 女性化乳房、乳房圧痛 | 乳房腫瘤 |
| 皮膚 | ざ瘡、脂漏 | 脱毛症、発疹、多汗 |
| 全身状態 | 疲労 | |
| その他 | 良性下垂体腫瘍 |
注1)自発報告又は海外において報告された頻度を算出できない副作用。
ゴナールエフ皮下注用75 3445円/瓶
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