本剤の投与により、重篤な肝障害、腎障害、胃腸出血を発現し死亡に至った例も報告されていることから、投与開始前、投与中は定期的に血清トランスアミナーゼや血清クレアチニン等の血液検査を行うこと。これらの副作用は、特に高齢者、高リスク骨髄異形成症候群の患者、肝障害又は腎障害のある患者、血小板数50,000/mm3未満の患者で認められる。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
高度の腎機能障害のある患者〔腎機能障害が悪化するおそれがある。〕
全身状態の悪い高リスク骨髄異形成症候群の患者〔重篤な副作用が発現するおそれがある。〕
全身状態の悪い進行した悪性腫瘍の患者〔重篤な副作用が発現するおそれがある。〕
輸血による慢性鉄過剰症(注射用鉄キレート剤治療が不適当な場合)
通常、デフェラシロクスとして20mg/kgを1日1回、水100mL以上で用時懸濁し、空腹時に経口投与する。
なお、患者の状態により適宜増減するが、1日量は30mg/kgを超えないこと。
本剤は難治性貧血の治療について十分な知識・経験を持つ医師が使用すること。また、本剤の投与にあたっては、最新の情報
尿蛋白を4週毎に測定し、尿蛋白/クレアチニン比が1.0mg/mgを超えた場合は休薬すること。
下痢又は嘔吐を発現した場合は、腎機能が悪化するおそれがあるので、十分な水分補給を行うこと。
本剤投与によって難聴及び水晶体混濁、視神経炎が報告されているので、投与開始前及び投与後は定期的(6ヵ月毎)に聴力検査及び眼科的検査(眼底検査を含む)を行い、異常が認められた場合には減量又は休薬し、適切な処置を行うこと。
本剤と他の鉄キレート剤療法との併用は、安全性が確立されていないため、推奨されない。
本剤投与中にめまい、視覚・聴力障害があらわれることがあるので、患者に注意喚起し、本剤投与中は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に注意させること。
血清フェリチンが1,000又は2,500ng/mLを超えた場合には、臓器障害や生存期間に影響することが示唆されている。
腎機能障害のある患者及び腎機能を低下させる薬剤を投与中の患者〔腎機能が悪化するおそれがある。〕
肝機能障害のある患者〔肝機能障害が悪化するおそれがある。また、血中濃度の上昇が報告されている。〕(<用法及び用量に関連する使用上の注意>(3)、【薬物動態】の「7.肝機能障害患者における薬物動態」の項参照)
血小板数50,000/mm3未満の患者〔重篤な胃腸出血が発現するおそれがある。〕
高齢者〔重篤な副作用が発現するおそれがある。〕
高リスク骨髄異形成症候群の患者〔重篤な副作用が発現するおそれがある。〕
進行した悪性腫瘍の患者〔重篤な副作用が発現するおそれがある。〕
海外において、鉄過剰のβサラセミア患者における本剤80mg/kgの単回投与で、軽度の悪心及び下痢が認められた。また、海外において、処方量の2〜3倍量を数週間服用したとの報告がある。そのうちの1例に軽症の肝炎が認められたが、投与中止後、長期に及ぶ影響なく回復した。
徴候、症状
急性の症状として悪心、嘔吐、頭痛及び下痢があらわれる可能性がある。
処置
催吐又は胃洗浄並びに対症療法等の適切な処置を行うこと。
服用時
本剤は水100mL以上で十分に懸濁して服用すること。また、コップ等の底に本剤が残った場合は、再度水で懸濁して服用すること。なお、本剤を噛み砕いたり、丸ごと飲み込んだりしないこと。
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して懸濁し服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
本剤との因果関係は明らかではないが、本剤投与中に好中球減少、血小板減少、貧血増悪等の血球減少が、主として骨髄不全を合併しやすい血液疾患患者においてあらわれたとの報告がある。本剤投与中は、定期的に血液検査を行い、原因が明らかでない血球減少があらわれた場合には休薬すること。
本剤による治療の再開については、血球減少の原因が本剤以外の要因であることが判明した場合とすること。
類薬であるデフェロキサミンと1日500mg以上(経口)のビタミンCとの併用では、心機能の低下がみられたとの報告がある。
本剤は主にUGT1A1及びUGT1A3により代謝されるので、本剤の血中濃度はUGTに影響を及ぼす薬剤により影響を受ける可能性がある。
本剤はCYP3A4の弱い誘導作用を有することから、CYP3A4で代謝される薬剤の血中濃度を低下させる可能性がある。また、本剤はCYP1A2及びCYP2C8の阻害作用を有することから、CYP1A2又はCYP2C8で代謝される薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アルミニウム含有制酸剤 | 両剤の作用が減弱する可能性がある。 | 本剤とキレートを形成する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4で代謝される薬剤シクロスポリンシンバスタチンミダゾラム経口避妊薬等 | これらの薬剤の作用が減弱するおそれがある。健康成人に本剤とミダゾラム(経口投与、国内未承認の用法)を併用投与した場合、ミダゾラムのAUCが17%低下したとの報告がある。 | 本剤の弱いCYP3A4誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| レパグリニドトレプロスチニル | これらの薬剤のAUC及びCmaxが上昇し、これらの薬剤の副作用が発現するおそれがある。健康成人に本剤を反復投与後にレパグリニドを併用投与した場合、レパグリニドのAUCが131%、Cmaxが62%増加したとの報告がある。 | 本剤のCYP2C8阻害作用により、これらの薬剤の代謝が抑制されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| テオフィリン | 健康成人に本剤とテオフィリンを併用投与した場合、テオフィリンのAUCが84%上昇したとの報告がある。テオフィリンの作用を増強させる可能性があるので、併用する場合にはテオフィリンの血中濃度を測定し、テオフィリンの用量を調節すること。 | 本剤のCYP1A2阻害作用により、テオフィリンの代謝が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)を強力に誘導する薬剤リファンピシンフェニトインフェノバルビタールリトナビル等 | 健康成人にリファンピシンを反復投与後に本剤を併用投与した場合、本剤のAUCが44%低下したとの報告がある。 | これらの薬剤のUGT誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 消化管潰瘍を誘発する可能性のある薬剤非ステロイド性消炎鎮痛剤副腎皮質ステロイド剤経口ビスホスホネート等 | 本剤投与中に消化管穿孔、胃潰瘍(多発性潰瘍)、十二指腸潰瘍、胃腸出血があらわれたとの報告がある。 | 胃腸刺激のリスクが高まる可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗凝血剤 | 胃腸出血があった場合、併用により出血が助長されたとの報告がある。 | 抗凝血剤の作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| コレスチラミン | 健康成人において本剤投与4時間及び10時間後にコレスチラミンを投与した場合、本剤のAUCが45%低下したとの報告がある。 | コレスチラミンの吸着作用により本剤の吸収が阻害されるおそれがある。 |
国内第I相臨床試験において、本剤の単回投与を受けた輸血による鉄過剰症患者(原疾患:骨髄異形成症候群、再生不良性貧血等)26例中4例(15.4%)に、1週間投与を受けた26例中6例(23.1%)に、1年間の継続投与を受けた21例中11例(52.4%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。単回投与で認められた主な副作用は、下痢2例(7.7%)であった。1週間投与で認められた主な副作用は、下痢2例(7.7%)、悪心2例(7.7%)、血中クレアチニン増加2例(7.7%)であった。継続投与で認められた主な副作用は、血中クレアチニン増加6例(28.6%)、尿中β2ミクログロブリン増加4例(19.0%)、血中ALP増加3例(14.3%)であった。
海外第II相臨床試験及び第III相臨床試験において、本剤の投与を受けたβサラセミア患者421例中169例(40.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、血中クレアチニン増加48例(11.4%)、発疹36例(8.6%)、腹痛35例(8.3%)、悪心27例(6.4%)、下痢23例(5.5%)、便秘12例(2.9%)、トランスアミナーゼ上昇11例(2.6%)、嘔吐11例(2.6%)等であった。
海外第II相臨床試験において、本剤の投与を受けた骨髄異形成症候群やダイヤモンド・ブラックファン貧血等の難治性貧血患者99例中64例(64.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢25例(25.3%)、悪心19例(19.2%)、血中クレアチニン増加16例(16.2%)、嘔吐11例(11.1%)、腹痛11例(11.1%)、消化不良5例(5.1%)、発疹5例(5.1%)、頭痛4例(4.0%)、腹部膨満3例(3.0%)、便秘3例(3.0%)、胃炎3例(3.0%)、疲労2例(2.0%)、蛋白尿2例(2.0%)等であった。
海外第II相臨床試験において、本剤の投与を受けた鎌状赤血球貧血患者132例中51例(38.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、悪心16例(12.1%)、下痢12例(9.1%)、嘔吐7例(5.3%)、血中クレアチニン増加6例(4.5%)、腹痛5例(3.8%)、上腹部痛5例(3.8%)、腹部不快感4例(3.0%)、そう痒症3例(2.3%)、頭痛3例(2.3%)、発疹3例(2.3%)等であった。(承認時までの集計)
ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、血管神経性浮腫、アナフィラキシー等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全(頻度不明)、腎尿細管障害(0.1%〜1%未満)
急性腎不全、腎尿細管障害(ファンコニー症候群、尿細管壊死)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬するなど適切な処置を行うこと。
肝炎(0.1%〜1%未満)、肝不全(頻度不明)
肝硬変や多臓器不全等を合併している患者で、肝不全が認められているので、定期的に肝機能検査を行い、異常が認められた場合は休薬し、適切な処置を行うこと。
消化管穿孔(頻度不明)、胃潰瘍(多発性潰瘍を含む)、十二指腸潰瘍、胃腸出血(いずれも0.1%〜1%未満)
消化管穿孔、胃潰瘍(多発性潰瘍を含む)、十二指腸潰瘍、胃腸出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬するなど適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)
皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
聴力障害(難聴)(0.1%〜1%未満)
難聴等の聴力障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。
水晶体混濁(初期の白内障)(0.1%〜1%未満)、視神経炎(0.01%〜0.1%未満)
水晶体混濁、視神経炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。
下記の副作用があらわれることがあるので、異常が認められた場合には必要に応じて適切な処置を行うこと。注1)
| 頻度不明 注2) | 10%以上 | 1%〜10%未満 | 0.1%〜1%未満 | 0.01%〜0.1%未満 | |
| 代謝及び栄養障害 | 食欲不振 | − | − | − | |
| 精神障害 | − | − | − | 不安、睡眠障害 | − |
| 神経系障害 | − | − | 頭痛 | 浮動性めまい | − |
| 眼障害 | − | − | − | 黄斑症 | − |
| 呼吸器系障害 | − | − | − | 咽喉頭痛 | − |
| 胃腸障害 | − | − | 下痢、便秘、嘔吐、悪心、腹痛、腹部膨満、消化不良 | 胃炎 |
食道炎 |
| 肝胆道系障害 | − | − | 臨床検査値異常(AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、ALP、LDH、血中ビリルビンの増加) | 胆石症 | − |
| 皮膚及び皮下組織障害 | 白血球破砕性血管炎、蕁麻疹、脱毛症 | − | 発疹注3)、そう痒症 | 色素沈着障害 | − |
| 腎及び尿路障害 | − | 血中クレアチニン増加 | 蛋白尿 | − | − |
| 全身障害 | − | − | − | 発熱、浮腫、疲労 | − |
注1)副作用の頻度については海外での臨床試験に基づき分類した。
注2)自発報告でのみ発現した副作用は頻度不明とした。
注3)重度な発疹があらわれたときには休薬し、適切な処置を行うこと。投与を再開する場合には、低用量から開始すること。
エクジェイド懸濁用錠125mg 1216.9円/錠
エクジェイド懸濁用錠500mg 4844.5円/錠
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