シアン及びシアン化合物による中毒
初回投与
通常、成人にはヒドロキソコバラミンとして5g(2バイアル)を、日本薬局方生理食塩液200mL(2本)に溶解して、15分間以上かけて点滴静注する。
また、小児にはヒドロキソコバラミンとして70mg/kg(ただし、5gを超えない)を、15分間以上かけて点滴静注する。
なお、1バイアル(ヒドロキソコバラミンとして2.5g)を日本薬局方生理食塩液100mLに溶解して必要量を投与する。
追加投与
症状により1回追加投与できる。追加投与する際には、15分間〜2時間かけて点滴静注する。総投与量は成人には10g、小児には140mg/kg(ただし、10gを超えない)を上限とする。
本剤は、酸素療法の代用にならないので、速やかに酸素療法を行うこと。
チオ硫酸ナトリウムとの併用による有効性及び安全性は確立していない。
亜硝酸アミルとの併用による有効性及び安全性は確立していない。
腎障害のある患者[ヒドロキソコバラミンは主に腎臓から排泄されるため、腎障害のある患者では血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。また、生理食塩液の投与により、水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすい。]
心臓、循環器系機能障害のある患者[循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。]
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
投与経路
本剤は静脈内のみに投与すること。
調製方法
本剤1バイアル(ヒドロキソコバラミンとして2.5g)につき日本薬局方生理食塩液100mLを加え、転倒又は穏やかに振り混ぜて溶解する。少なくとも投与開始前30秒間は激しく振り混ぜないこと。
調製時
本剤は、以下の薬剤との混合によって不溶性粒子を形成する
ジアゼパム、ドブタミン、ドーパミン、フェンタニル、ニトログリセリン、ペントバルビタール、フェニトインナトリウム、プロポフォール、チオペンタール。
本剤は、以下の薬剤との混合によって、化学的配合変化が認められる
エピネフリン、塩酸リドカイン、アデノシン、アトロピン、ミダゾラム、ケタミン、塩化サクシニルコリン、塩酸アミオダロン、炭酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム及びアスコルビン酸。
したがって、本剤と上記の薬剤を含む他剤を使用する場合は同じ静脈ラインでの同時投与は避けること。
血液製剤(全血、濃縮赤血球、濃縮血小板及び/又は新鮮凍結血漿)を本剤と同時に投与する場合には、同じ静脈ラインを使用しないこと(可能ならば、対側四肢からの投与とすること)。
調製後
調製した溶液は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも、2〜40℃で調製後6時間以内に使用すること。
添付の溶解液注入針、輸液セット(22ゲージ翼付注射針付き)及び23ゲージ翼付注射針は再使用しないこと。
肝機能又は腎機能異常がヒドロキソコバラミンの薬物動態に及ぼす影響については明らかではない。
ニトロプルシドナトリウムの過量投与によりシアン中毒を発症することが報告されている。本剤をニトロプルシドナトリウムによるシアン中毒発症時の治療に使用することは可能であるが、シアン中毒に対する予防投与の必要性は不明であり、使用しないこと。
海外において本剤の有効成分であるヒドロキソコバラミンの暗赤色による血液透析装置の停止が報告されている。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| チオ硫酸ナトリウム | チオ硫酸ナトリウムを同時に投与すると、解毒作用が抑制することが考えられるため、同時に投与しないこと | チオ硫酸−コバラミン化合物の形成が起こる |
アナフィラキシー様反応(頻度不明)
アナフィラキシー様反応があらわれたとの報告があるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | |
| 臨床検査 | リンパ球数減少、着色血漿 |
| 心臓障害 | 心室性期外収縮、脈拍数上昇 |
| 神経系障害 | 記憶障害、めまい |
| 眼障害 | 腫脹、刺激、発赤 |
| 呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | 胸水、呼吸困難、咽喉絞扼感、咽喉乾燥、胸部不快感 |
| 胃腸障害 | 腹部不快感、消化不良、下痢、嘔吐、悪心、嚥下障害 |
| 腎及び尿路障害 | 暗赤色尿(特に投与3日後まで著明で、投与35日後まで持続する場合がある) |
| 皮膚及び皮下組織障害 | 可逆性の皮膚及び粘膜の着色、膿疱性皮疹(数週間持続する場合がある) |
| 血管障害 | 一過性の血圧上昇(通常数時間で回復する)、ほてり、血圧下降 |
| 全身障害及び投与局所様態 | 頭痛、注射部位反応、末梢性浮腫 |
| 免疫系障害 | 血管神経性浮腫を含むアレルギー反応、皮疹、蕁麻疹、そう痒症 |
| 精神障害 | 落ち着きのなさ |
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