1.1 過強陣痛や強直性子宮収縮により、胎児機能不全、子宮破裂、頸管裂傷、羊水塞栓等が起こることがあり、母体あるいは児が重篤な転帰に至った症例が報告されているので、本剤の投与にあたっては以下の事項を遵守し慎重に行うこと。[11.1.1、11.1.2参照]
1.1.1 本剤は、分娩監視装置を用いて母体及び胎児の状態を連続モニタリングできる設備を有する医療施設において、分娩の管理についての十分な知識・経験及び本剤の安全性についての十分な知識を持つ医師のもとで使用すること。本剤の使用に先立ち、患者に本剤を用いた陣痛誘発、陣痛促進の必要性及び危険性を十分説明し、同意を得てから使用を開始すること。
1.1.2 母体及び胎児の状態を十分観察して、本剤の有益性及び危険性を考慮した上で、慎重に適応を判断すること。特に子宮破裂、頸管裂傷等は多産婦で起こりやすいので、注意すること。[9.1.3参照]
1.1.3 本剤投与中は、トイレ歩行時等、医師が必要と認めた場合に一時的に分娩監視装置を外すことを除き分娩監視装置を用いて連続的にモニタリングを行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。なお、本剤は点滴注射剤に比べ調節性に欠けるので、慎重に投与すること。[8.1、8.3、14.1.1参照]
1.1.4 ジノプロストン(PGE2(腟用剤))との同時併用は行わないこと。また、本剤投与前に子宮頸管熟化の目的でジノプロストン(PGE2(腟用剤))を投与している場合は終了後1時間以上の間隔をあけ、十分な分娩監視を行い、慎重に投与すること。[2.6、2.9、10.1、10.2参照]
1.1.5 オキシトシン、ジノプロスト(PGF2α)との同時併用は行わないこと。また、前後して使用する場合も、過強陣痛を起こすおそれがあるので、前の薬剤の投与が終了した後1時間以上経過してから次の薬剤の投与を開始した上で十分な分娩監視を行い、慎重に投与すること。[2.6、2.9、10.1、10.2参照]
1.2 本剤の使用にあたっては、電子添文を熟読すること。
2.1 骨盤狭窄、児頭骨盤不均衡、骨盤位又は横位等の胎位異常のある患者[正常な経腟分娩が進行せず、母体及び胎児への障害を起こすおそれがある。][9.1.4参照]
2.2 前置胎盤の患者[出血により、母体及び胎児への障害を起こすおそれがある。]
2.3 常位胎盤早期剥離の患者[緊急な胎児娩出が要求されるため、外科的処置の方が確実性が高い。]
2.4 胎児機能不全のある患者[子宮収縮により胎児の症状を悪化させるおそれがある。][11.1.2参照]
2.5 帝王切開又は子宮切開等の既往歴のある患者[子宮が脆弱になっていることがあり、過強陣痛が生じると子宮破裂の危険がある。][11.1.1参照]
2.6 オキシトシン、ジノプロスト(PGF2α)、ジノプロストン(PGE2(腟用剤))を投与中の患者[1.1.4、1.1.5、10.1参照]
2.7 プラステロン硫酸(レボスパ)を投与中又は投与後十分な時間が経過していない患者[過強陣痛を起こすおそれがある。][11.1.1参照]
2.8 吸湿性頸管拡張材(ラミナリア等)を挿入中の患者又はメトロイリンテル挿入後1時間以上経過していない患者[過強陣痛を起こすおそれがある。][11.1.1参照]
2.9 オキシトシン、ジノプロスト(PGF2α)、ジノプロストン(PGE2(腟用剤))の投与終了後1時間以上経過していない患者[過強陣痛を起こすおそれがある。][1.1.4、1.1.5、10.1、10.2、11.1.1参照]
2.10 過強陣痛の患者[子宮破裂、胎児機能不全、胎児死亡のおそれがある。][11.1.1、11.1.2参照]
2.11 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
妊娠末期における陣痛誘発並びに陣痛促進
・通常1回1錠を1時間毎に6回、1日総量6錠(ジノプロストンとして3mg)を1クールとし、経口投与する。
・体重、症状及び経過に応じ適宜増減する。
・本剤の投与開始後、陣痛誘発、分娩進行効果を認めたとき、本剤の投与を中止する。
・1日総量ジノプロストンとして1クール3mg(6錠)を投与し、効果の認められない場合は本剤の投与を中止し、翌日あるいは以降に投与を再開する。
8.1 本剤は点滴注射剤に比べ、調節性に欠けるので、分娩監視装置を用いた連続的なモニタリングにより子宮収縮の状態及び胎児心音の観察を行い、投与間隔を保つよう十分注意し、陣痛誘発効果、分娩進行効果を認めたときは中止し、過量投与にならないよう慎重に投与すること。[1.1.3、14.1.1、17.1.1、17.1.2参照]
8.2 本剤を投与する際には、Bishop score等により頸管が熟化していることを確認した後、本剤を投与することが望ましい。
8.3 薬剤の使用の有無によらず、分娩時には母体の生命を脅かす緊急状態(子宮破裂、羊水塞栓、脳内出血、くも膜下出血、常位胎盤早期剥離、子癇、分娩時大量出血等)が起こることがあるため、本剤を用いた陣痛誘発、陣痛促進にあたっては、母体及び胎児の状態を十分に監視するため、分娩監視装置を用いた連続的なモニタリングの実施に加えて、定期的にバイタルサインのモニターを行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお、分娩監視装置を用いた連続的なモニタリング中であっても、トイレ歩行時等、医師が必要と認めた場合に短時間のモニタリングの一時中断は可能であるが、長時間のモニタリングの中断は行わないこと。[1.1.3、14.1.1参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 緑内障、眼圧亢進のある患者
動物実験(ウサギ)で眼圧上昇が報告されている。
9.1.2 喘息又はその既往歴のある患者
気管支を収縮させるとの報告がある。
9.1.3 多産婦
子宮が脆弱になっていることがあり、過強陣痛が生じると子宮破裂の危険がある。[1.1.2、11.1.1参照]
9.1.4 多胎妊娠の患者
胎位胎勢異常のことがある。[2.1参照]
9.1.5 児頭骨盤不均衡の疑いがある患者
経腟分娩が困難で過強陣痛が起こりやすい。[11.1.1参照]
9.5 妊婦
9.5.1 妊娠末期以外の妊婦
投与しないこと。動物実験(マウス)により催奇形作用が認められている。
14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 本剤は経口剤のため点滴注射剤に比べ調節性に欠けるので、医師の常時監視できる条件下で投与すること。[1.1.3、8.1、8.3参照]
14.1.2 本剤は経口投与にのみ使用し、腟内に投与しないこと。
14.2 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| オキシトシン(アトニン-O注)ジノプロスト(プロスタルモン・F注射液)ジノプロストン(プロウペス腟用剤)[1.1.4、1.1.5、2.6、2.9、10.2、11.1.1参照] | これらの薬剤と同時併用することにより過強陣痛を起こしやすい。 | 本剤及びこれらの薬剤の有する子宮収縮作用が併用により増強される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジノプロストン(腟用剤)[1.1.4、2.9、10.1、11.1.1参照] | 過強陣痛を起こしやすいので、ジノプロストン(腟用剤)の投与終了後1時間以上の間隔をあけ、十分な分娩監視を行い、慎重に投与すること。 | 本剤及びこれらの薬剤の有する子宮収縮作用が前後して使用することにより増強される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 陣痛誘発・促進剤オキシトシンジノプロスト[1.1.5、2.9、10.1、11.1.1参照] | これらの薬剤と前後して使用する場合も、過強陣痛を起こしやすいので、前の薬剤の投与が終了した後1時間以上経過してから次の薬剤の投与を開始した上で十分な分娩監視を行い、慎重に投与すること。 | 本剤及びこれらの薬剤の有する子宮収縮作用が前後して使用することにより増強される。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 過強陣痛(1.0%)
過強陣痛があらわれることがある。また、それに伴い子宮破裂、頸管裂傷をきたすことがある。[1.1、2.5、2.7-2.10、9.1.3、9.1.5、10.1、10.2参照]
11.1.2 胎児機能不全徴候(2.9%)、羊水の混濁(2.9%)
胎児機能不全徴候(仮死、徐脈、頻脈等)、羊水の混濁をきたすことがある。本剤の投与を中止してもこのような症状があらわれた場合には、急速遂娩等の適切な処置を行うこと。[1.1、2.4、2.10参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1〜5%未満 | 1%未満 | |
| 消化器 | 嘔気・嘔吐 | 下痢 |
| 循環器 | 顔面潮紅 | 血圧上昇、頻脈 |
| 精神神経系 | 頭痛、眩暈 | |
| その他 | 胸部不快感、熱感、呼吸異常、発汗 |
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