重篤な肝障害のある患者〔肝障害が強くあらわれ致死的になるおそれがある。〕
本剤投与中はカルバペネム系抗生物質(パニペネム・ベタミプロン、メロペネム水和物、イミペネム水和物・シラスタチン、ビアペネム、ドリペネム水和物、テビペネム ピボキシル)を併用しないこと。(「相互作用」の項参照)
尿素サイクル異常症の患者〔重篤な高アンモニア血症があらわれることがある。〕
各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療。
躁病および躁うつ病の躁状態の治療。
片頭痛発作の発症抑制。
各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療
通常、バルプロ酸ナトリウムとして400〜1200mgを1日1回経口投与する。ただし、年齢、症状に応じ適宜増減する。
片頭痛発作の発症抑制
通常、バルプロ酸ナトリウムとして400〜800mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状に応じ適宜増減するが、1日量として1000mgを超えないこと。
本剤で催奇形性が認められているため、妊娠する可能性のある女性に使用する場合には、本剤による催奇形性について十分に説明し、本剤の使用が適切であるか慎重に判断すること。(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
てんかん患者においては、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。なお、高齢者、虚弱者の場合には特に注意すること。
片頭痛患者においては、本剤は発現した頭痛発作を緩解する薬剤ではないので、本剤投与中に頭痛発作が発現した場合には必要に応じて頭痛発作治療薬を頓用させること。投与前にこのことを患者に十分に説明しておくこと。
片頭痛患者においては、本剤投与中は症状の経過を十分に観察し、頭痛発作発現の消失・軽減により患者の日常生活への支障がなくなったら一旦本剤の投与を中止し、投与継続の必要性について検討すること。なお、症状の改善が認められない場合には、漫然と投与を継続しないこと。
重篤な肝障害(投与初期6ヵ月以内に多い。)があらわれることがあるので、投与初期6ヵ月間は定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。その後も連用中は定期的に肝機能検査を行うことが望ましい。
また、肝障害とともに急激な意識障害があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
連用中は定期的に腎機能検査、血液検査を行うことが望ましい。
尿素サイクル異常症が疑われる患者においては、本剤投与前にアミノ酸分析等の検査を考慮すること。なお、このような患者では本剤投与中は、アンモニア値の変動に注意し、十分な観察を行うこと。
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
本剤は製剤学的にバルプロ酸ナトリウムの溶出を制御して徐放化させたものであり、服用後一定時間消化管内に滞留する必要がある。従って重篤な下痢のある患者では血中濃度が十分に上昇しない可能性があるので注意すること。
他のバルプロ酸ナトリウム製剤を使用中の患者において使用薬剤を本剤に切り替える場合、血中濃度が変動することがあるので注意すること。
肝機能障害又はその既往歴のある患者〔肝機能障害が強くあらわれるおそれがある。〕
薬物過敏症の既往歴のある患者
自殺企図の既往及び自殺念慮のある躁病及び躁うつ病の躁状態の患者〔症状が悪化するおそれがある。〕
以下のような尿素サイクル異常症が疑われる患者〔重篤な高アンモニア血症があらわれるおそれがある。]
原因不明の脳症若しくは原因不明の昏睡の既往のある患者
尿素サイクル異常症又は原因不明の乳児死亡の家族歴のある患者
症状
誤飲や自殺企図による過量服用により意識障害(傾眠、昏睡)、痙攣、呼吸抑制、高アンモニア血症、脳水腫を起こした例が報告されている。外国では死亡例が報告されている。本剤は徐放性製剤であるため、症状が遅れてあらわれることがある。
処置
意識の低下、嚥下反応の消失がなければ早期に胃洗浄を行う。下剤、活性炭投与を行い、尿排泄を促進し、一般的な支持・対症療法を行う。また必要に応じて直接血液灌流、血液透析を行う。ナロキソンの投与が有効であったとする報告がある。
保存時
本剤は徐放性製剤であり、製剤の吸湿により溶出が加速されることがあるので、吸湿しないように保存させること。
服用時
本剤は徐放性製剤であり、製剤をかみ砕くことにより溶出が加速されることがあるので、薬剤をかみ砕かないで服用させること。
本剤投与後に白色の粒子が糞便中に排泄されるが、これは賦形剤の一部である。
海外で実施された本剤を含む複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されている。
本剤は吸湿することがあるので開封後の保存には注意すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カルバペネム系抗生物質パニペネム・ベタミプロン(カルベニン)メロペネム水和物(メロペン)イミペネム水和物・シラスタチン(チエナム)ビアペネム(オメガシン)ドリペネム水和物(フィニバックス)テビペネム ピボキシル(オラペネム) | てんかんの発作が再発することがある。 | バルプロ酸の血中濃度が低下する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| バルビツール酸剤フェノバルビタール等 | バルプロ酸の作用が減弱、左記薬剤の作用が増強することがある。 | バルプロ酸の血中濃度が低下する。また、左記薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェニトインカルバマゼピン | バルプロ酸の作用が減弱、左記薬剤の作用が増強又は、減弱することがある。 | バルプロ酸の血中濃度が低下する。また、左記薬剤の血中濃度を上昇又は、低下させる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エトスクシミドアミトリプチリンノルトリプチリン | 左記薬剤の作用が増強することがある。 | 左記薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クロバザム | バルプロ酸の作用が増強されることがある。 | 機序は不明であるが、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ラモトリギン | 左記薬剤の消失半減期が約2倍延長するとの報告がある。 | 肝におけるグルクロン酸抱合が競合する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| サリチル酸系薬剤アスピリン等 | バルプロ酸の作用が増強されることがある。 | 遊離型バルプロ酸濃度が上昇する。また、バルプロ酸の代謝が阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ベンゾジアゼピン系薬剤ジアゼパム等ワルファリン | 左記薬剤の作用が増強することがある。 | 遊離型の左記薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エリスロマイシンシメチジン | バルプロ酸の作用が増強されることがある。 | 左記薬剤が肝チトクロームP-450による薬物代謝を抑制し、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クロナゼパム | アブサンス重積(欠神発作重積)があらわれたとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害
承認時の臨床試験及び市販後の使用成績調査により報告された症例5,366例中、320例(5.96%)に414件の副作用が認められている。その主なものは高アンモニア血症75件(1.40%)、AST(GOT)上昇・ALT(GPT)上昇等の肝臓胆管系障害78件(1.45%)、眠気47件(0.88%)、血小板減少39件(0.73%)、Al-P上昇19件(0.35%)、白血球減少17件(0.32%)等であった。(再審査終了時)
躁病および躁うつ病の躁状態、片頭痛発作の発症抑制
本剤の躁病および躁うつ病の躁状態、片頭痛発作の発症抑制に対する使用においては、厚生省「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて(研第4号・医薬審第104号)」通知に該当する医療用医薬品として承認されたため、副作用発現頻度が明確となる国内での調査を実施していない。
劇症肝炎等の重篤な肝障害、黄疸、脂肪肝等(頻度不明)を起こすことがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
高アンモニア血症を伴う意識障害(頻度不明)があらわれることがあるので、定期的にアンモニア値を測定するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
溶血性貧血、赤芽球癆、汎血球減少、重篤な血小板減少、顆粒球減少(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと
急性膵炎(頻度不明)があらわれることがあるので、激しい腹痛、発熱、嘔気、嘔吐等の症状があらわれたり、膵酵素値の上昇が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性腎炎、ファンコニー症候群(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
過敏症症候群(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
脳の萎縮、認知症様症状(健忘、見当識障害、言語障害、寡動、知能低下、感情鈍麻等)、パーキンソン様症状(静止時振戦、硬直、姿勢・歩行異常等)(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
なお、これらの症状が発現した例では中止により、ほとんどが1〜2ヵ月で回復している
横紋筋融解症(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム量の増加、高張尿等があらわれた場合には水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
間質性肺炎、好酸球性肺炎(頻度不明)があらわれることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎、好酸球性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明注) | |
| 皮膚 | 脱毛 | ||
| 精神神経系 | めまい | 傾眠、頭痛、不眠、振戦 | 失調、不穏、視覚異常、感覚変化、抑うつ |
| 消化器 | 悪心・嘔吐、胃部不快感 | 口内炎、食欲不振、腹痛、下痢 | 便秘、食欲亢進 |
| 肝臓 | AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇 | ||
| 血液 | 貧血、白血球減少 | 低フィブリノーゲン血症、好酸球増多 | 血小板凝集能低下 |
| 過敏症 | 発疹 | ||
| その他 | 夜尿・頻尿、高アンモニア血症、体重増加 | 倦怠感、浮腫 | 月経異常(月経不順、無月経)、多 |
このような副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
注)「抑うつ」については国外報告、それ以外は国内自発報告に基づく。
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