ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
| 一般名 |
ルキソリチニブリン酸塩
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|---|---|
| 製造/販売 | ノバルティスファーマ |
| 剤形/規格 |
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1.1 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療又は造血幹細胞移植に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.2 本剤の投与により、結核、敗血症等の重篤な感染症が発現し、死亡に至った症例が報告されていることから、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。[8.2、9.1.1-9.1.3、11.1.2参照]
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
ジャカビ錠5mg
錠5mg
○骨髄線維症
○真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)
○造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)
ジャカビ錠5mg
錠5mg
<骨髄線維症>
通常、成人には本剤を1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。用量は、ルキソリチニブとして1回5mg〜25mgの範囲とし、患者の状態により適宜増減する。
<真性多血症>
通常、成人にはルキソリチニブとして1回10mgを開始用量とし、1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜増減するが、1回25mg1日2回を超えないこと。
<造血幹細胞移植後の移植片対宿主病>
通常、成人及び12歳以上の小児にはルキソリチニブとして1回10mgを1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜減量する。
通常、6歳以上12歳未満の小児にはルキソリチニブとして1回5mgを1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜減量する。
8.1 血小板減少症、貧血、好中球減少症があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は、定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うこと。[11.1.1参照]
8.2 免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルス又は原虫による感染症や日和見感染が発現又は悪化することがある。肝炎ウイルス、結核等が再活性化するおそれがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤の投与開始前に適切な処置の実施を考慮すること。本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。[1.2、9.1.1-9.1.3、11.1.2参照]
8.3 帯状疱疹があらわれることがあるので、本剤の投与開始前に、患者に対して帯状疱疹の初期症状について説明し、異常が認められた場合には速やかに連絡し、適切な処置を受けるよう指導すること。[11.1.2参照]
8.4 出血があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血液検査等を実施すること。[11.1.4参照]
8.5 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査等を実施すること。[11.1.6参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)
結核を活動化させるおそれがある。[1.2、8.2、11.1.2参照]
9.1.2 感染症(敗血症、肺炎、ウイルス感染等)を合併している患者
免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。[1.2、8.2、11.1.2参照]
9.1.3 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性かつHBc抗体若しくはHBs抗体陽性の患者
B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれるおそれがある。[1.2、8.2、11.1.2参照]
9.1.4 移植片対宿主病に伴う肝病変(総ビリルビン値が正常値上限の3倍以上)を有する患者
より頻回に血球数を測定し、投与量を調節することが望ましい。[7.9参照]
9.2 腎機能障害患者
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。活性代謝物の血中濃度が上昇するとの報告がある。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。未変化体の血中濃度が上昇するとの報告がある。[16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)において、胚・胎児毒性(着床後死亡の増加、胎児重量の減少)が認められたとの報告がある。[2.2、9.4参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、本剤及び本剤の代謝物が乳汁中に移行し、母体血漿中濃度の13倍であったとの報告がある。
9.7 小児等
<骨髄線維症、真性多血症>
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
<造血幹細胞移植後の移植片対宿主病>
28日齢未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。また、2歳未満の患者に対する本剤の用法及び用量の適切性について、臨床試験で十分な検討は行われていない。[16.6.3参照]
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。臨床試験において、高齢者(65歳超)では、65歳以下の患者と比較して、血小板減少症、心不全等の発現が増加することが報告されている。
<錠5mg・10mg>
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
<内用液>
14.2 薬剤調製時の注意
体表面積あたりの用量で使用する際には巻末の投与液量一覧表を参考に調製すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 心血管系事象のリスク因子を有する関節リウマチ患者を対象としたJAK阻害剤トファシチニブクエン酸塩の海外臨床試験の結果、主要評価項目である主要な心血管系事象(Major Adverse Cardiovascular Events:MACE)及び悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率について、TNF阻害剤群に対するハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ1.33(0.91,1.94)及び1.48(1.04,2.09)であり、95%信頼区間上限は予め設定していた非劣性マージン1.8を超え、TNF阻害剤群に対する非劣性が検証されなかったことが報告されている。また、本剤でも、国内市販後の自発報告において、心血管系事象の発現が認められている。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 イヌを用いた心血管系への影響に関する試験では、心拍数増加を伴う血圧低下が認められ、ラットを用いた呼吸機能検査では、分時換気量減少が認められた。
15.2.2 イヌを用いた26及び52週間反復投与毒性試験において、皮膚乳頭腫の発現が認められた。また、本剤との因果関係は明らかでないものの、本剤投与後に非黒色腫皮膚癌(基底細胞癌、扁平上皮癌、メルケル細胞癌を含む)等の悪性腫瘍(二次発がん)の発現が報告されている。
15.2.3 幼若ラットを用いた毒性試験において、骨成長の抑制と骨折が認められた。幼若ラットでの曝露量(AUC)は、最大推奨用量を投与した成人でのAUCの1.5倍(骨成長の抑制)、13倍(骨折)であった。
<内用液>
開封後60日以内に使用すること。
本剤は主として代謝酵素CYP3A4で代謝され、CYP3A4に比べて寄与率は小さいがCYP2C9によっても代謝される。また、
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 強力なCYP3A4阻害剤イトラコナゾールリトナビルクラリスロマイシン等[16.7.1参照] | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP3A4阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず強力なCYP3A4阻害剤と本剤を併用投与する場合には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤の強力なCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4及びCYP2C9を阻害する薬剤フルコナゾール等 | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 | これらの薬剤の2つの代謝酵素(CYP3A4及びCYP2C9)の阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4阻害剤エリスロマイシンシプロフロキサシンアタザナビルジルチアゼムシメチジン等[16.7.2参照] | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP3A4阻害剤と本剤を併用投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤のCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4誘導剤リファンピシンフェニトインセイヨウオトギリソウ〔St.John's Wort(セント・ジョーンズ・ワート)〕含有食品等[16.7.3参照] | 本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱する可能性があるので、CYP3A4誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。 | これらの薬剤のCYP3A4誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 骨髄抑制
血小板減少症(33.3%)、貧血(29.9%)、好中球減少症(10.7%)、汎血球減少症(0.9%)等があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.2 感染症(16.7%)
細菌、真菌、ウイルス又は原虫による重篤な感染症(帯状疱疹(1.7%)、尿路感染(2.6%)、結核(0.1%)等)や日和見感染が発現又は悪化することがあり、死亡に至った症例が報告されている。本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察すること。[1.2、8.2、8.3、9.1.1-9.1.3参照]
11.1.3 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を実施するとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.4 出血
脳出血等の頭蓋内出血(0.1%)(初期症状:頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等)、胃腸出血(1.2%)、処置後出血(0.1%)、鼻出血(1.3%)、血尿(0.7%)等があらわれることがあり、死亡に至った症例が報告されている。[8.4参照]
11.1.5 間質性肺疾患(頻度不明)
11.1.6 肝機能障害
AST(3.2%)、ALT(4.9%)の上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあり、死亡に至った症例が報告されている。[8.5参照]
11.1.7 心不全(0.4%)
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | |
| 感染症 | − | 肺炎、敗血症、上咽頭炎 | サイトメガロウイルス感染、BKウイルス感染 |
| 血液及びリンパ系障害 | 白血球数減少 | − | − |
| 代謝及び栄養障害 | − | 体重増加、高コレステロール血症 | 高トリグリセリド血症、体液貯留、低カルシウム血症、食欲減退 |
| 精神障害 | − | 不眠症 | − |
| 神経系障害 | − | 頭痛、浮動性めまい | 末梢性ニューロパチー、錯感覚 |
| 心臓障害 | − | − | 動悸 |
| 血管障害 | − | 高血圧 | − |
| 呼吸器系障害 | − | 呼吸困難、咳嗽 | ラ音 |
| 胃腸障害 | 下痢 | 悪心、腹痛、嘔吐、便秘、腹部膨満、口内炎、鼓腸、上腹部痛 | 口内乾燥、口腔内潰瘍形成、消化不良、リパーゼ上昇、アミラーゼ上昇 |
| 肝胆道系障害 | − | γ-GTP増加、ALP増加、血中ビリルビン増加 | − |
| 皮膚及び皮下組織障害 | − | 挫傷 | 発疹、寝汗 |
| 筋骨格系障害 | − | 筋痙縮、四肢痛、筋肉痛、関節痛、血中CK上昇 | 骨痛、背部痛 |
| 腎及び尿路障害 | − | 血中尿素増加、血中クレアチニン上昇 | − |
| 全身障害 | − | 末梢性浮腫、無力症、発熱、疲労 | − |
| 臨床検査 | − | − | APTT延長 |
ジャカビ錠5mg 4176.1円/錠
ジャカビ錠10mg 8390.2円/錠
ジャカビ内用液小児用0.5% 12209円/mL
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