ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体
| 一般名 |
レカネマブ(遺伝子組換え)
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| 製造/販売 | エーザイ |
| 剤形/規格 |
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1.1 本剤の投与は、アミロイドPET、MRI等の本剤投与にあたり必要な検査及び管理が実施可能な医療施設又は当該医療施設と連携可能な医療施設において、アルツハイマー病の病態、診断、治療に関する十分な知識及び経験を有し、本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師の下で、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。
1.2 本剤の投与開始に先立ち、本剤投与によるARIAの発現割合、ARIAのリスク及びリスク管理のために必要な検査、ARIA発現時の対処法について、患者及び家族・介護者に十分な情報を提供して説明し、同意を得てから投与すること。また、異常が認められた場合には、速やかに主治医に連絡するよう指導すること。[7.1、8.1、11.1.2参照]
2.1 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.2 本剤投与開始前に血管原性脳浮腫が確認された患者[ARIAのリスクが高まるおそれがある。][7.1、8.1.1参照]
2.3 本剤投与開始前に5個以上の脳微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症又は1cmを超える脳出血が確認された患者[ARIAのリスクが高まるおそれがある。][7.1、8.1.1参照]
アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制
通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として10mg/kgを、2週間に1回、約1時間かけて点滴静注する。
8.1 本剤はARIA管理に関する適切な知識を有する医師の下で使用し、投与開始前及び投与中は以下の点に注意すること。[1.2、7.1、11.1.2参照]
8.1.1 本剤投与開始前に、最新(1年以内)のMRI画像により、ARIAを含む異常所見の有無を確認すること。[2.2、2.3、17.1.2参照]
8.1.2 ARIAの発現は、本剤投与開始から14週間以内に多いことから、この期間は特に注意深く患者の状態を観察すること。ARIAを示唆する症状が認められた場合には、臨床評価を行い、必要に応じてMRI検査を実施すること。
8.1.3 ARIAを示唆する症状がみられない場合であっても、本剤の5回目の投与前(投与開始後2ヵ月までを目安)、7回目の投与前(投与開始後3ヵ月までを目安)及び14回目の投与前(投与開始後6ヵ月までを目安)、並びにそれ以降も定期的にMRI検査を実施し、ARIAの有無を確認すること。
画像上ARIAが検出された場合は、十分な観察の下、症状の発現に注意し、7.1項の表を参考に、必要に応じて追加のMRI検査を実施すること。
8.1.4 アポリポ蛋白E(ApoE)ε4ホモ接合型キャリアでApoEε4ヘテロ接合型キャリア及びノンキャリアよりもARIAの発現割合及び画像上の重症度、症候性ARIAの発現割合が高かったが、ApoEε4保因状況にかかわらず、8.1.1項〜8.1.3項及び11.1.2項に規定のMRI検査を含むARIA管理を実施すること。なお、アルツハイマー病患者におけるApoEε4ホモ接合型キャリアの割合は約15%である
| ノンキャリア | ヘテロ接合型キャリア | ホモ接合型キャリア | ||||
| プラセボ | 本剤 | プラセボ | 本剤 | プラセボ | 本剤 | |
| ARIA-E | 0.3 | 5.4 | 1.9 | 10.9 | 3.8 | 32.6 |
| ARIA-H | 4.2 | 11.9 | 8.6 | 14.0 | 21.1 | 39.0 |
8.2 1年以内の一過性脳虚血発作、脳卒中又は痙攣の既往のある患者において、本剤の投与を開始した経験はない。これらの既往がある場合は、本剤投与によるリスクとベネフィットを考慮した上で、投与の可否を慎重に判断すること。
8.3 本剤投与前に高血圧の有無を確認し、高血圧が持続する患者への投与は慎重に行うこと。本剤投与中は適切な血圧管理を行うこと。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。
本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施していない。また、一般にヒトIgGは胎盤を通過することが知られている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤を希釈調製するときは無菌的に操作すること。本剤は単回使用とし、残液は廃棄すること。
14.1.2 必要量をバイアルから抜き取り、250mLの生理食塩液で希釈すること。
14.1.3 容器を静かに反転させて、しっかりと混和する。振とうしないこと。
14.1.4 希釈後は速やかに使用すること。なお、希釈後やむを得ず保存する場合は、2〜25℃で保存し、4時間以内に使用すること。
14.1.5 希釈液は投与前に室温にして用いること。
14.1.6 他剤と混合しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与前に微粒子や変色がないか目視で確認すること。変色又は不透明な粒子や異物の混入が認められた場合は使用しないこと。
14.2.2 本剤は、蛋白結合性の低い0.2又は0.22ミクロンのインラインフィルターを通して投与すること。
14.2.3 投与終了後、生理食塩液で点滴ラインをフラッシュすること。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 国際共同第III相試験において、本剤10mg/kgを隔週で投与された患者のうち、本剤に対する抗体産生が認められた患者の割合は5.5%(49例/884例)であり、このうち4.1%(2例/49例)では本剤に対する中和抗体が認められた。抗体産生は本剤の薬物動態、薬力学、有効性及び安全性に臨床的に意味のある影響を及ぼさなかった
15.1.2 国際共同第III相試験の非盲検継続投与期において、本剤投与中に脳出血又は重度のARIA-E/H(併発)を発現し、その後死亡に至った症例が報告されている(これらの事象が死因でない報告を含む)
20.1 凍結を避け、振とうしないこと。
20.2 外箱開封後は、遮光して保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血液凝固阻止剤ワルファリンカリウムヘパリンナトリウムアピキサバン 等 | 本剤投与中に脳出血を発現した場合、出血を助長するおそれがある。併用時には脳出血の副作用に注意すること。 | 本剤の副作用として脳出血の報告がある。併用により左記薬剤が出血を助長する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血小板凝集抑制作用を有する薬剤アスピリンクロピドグレル硫酸塩 等 | 本剤投与中に脳出血を発現した場合、出血を助長するおそれがある。併用時には脳出血の副作用に注意すること。 | 本剤の副作用として脳出血の報告がある。併用により左記薬剤が出血を助長する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血栓溶解剤アルテプラーゼ 等 | 本剤投与中に脳出血を発現した場合、出血を助長するおそれがある。併用時には脳出血の副作用に注意すること。 | 本剤の副作用として脳出血の報告がある。併用により左記薬剤が出血を助長する可能性がある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 Infusion reaction(26.1%)
頭痛、悪寒、発熱、吐き気、嘔吐等の症状があらわれることがある。徴候や症状を注意深く観察し、異常が認められた場合は、必要に応じて本剤の注入速度を下げるか、注入を中断又は中止し適切な処置を行うこと。Infusion reactionがあらわれた場合は、次回以降の投与に際し、抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症薬、副腎皮質ステロイドの予防的投与も考慮すること。
11.1.2 アミロイド関連画像異常(ARIA)
ARIA-EとしてARIA-浮腫/滲出液貯留(12.6%)、ARIA-HとしてARIA-微小出血及びヘモジデリン沈着(13.6%)、脳表ヘモジデリン沈着症(5.2%)、脳出血(0.4%)があらわれることがある。[1.2、7.1、8.1参照]
(1)ARIAは臨床症状を伴わないことが多いが、痙攣やてんかん重積等の重篤な事象が起こることがある。ARIAに関連する症状としては、頭痛、錯乱、視覚障害、めまい、吐き気、歩行障害等が報告されている。
(2)ARIAは再発することがあるため、投与を再開した場合は、注意深く患者の状態を観察するとともに、定期的なMRI検査の実施を検討すること。
(3)ARIAが再発した患者において、本剤の投与を再開した経験は限られている。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1%以上 | 0.5〜1%未満 | 0.5%未満 | |
| 過敏症 | 過敏症 | 皮疹 | 紅斑 |
| 消化器 | 悪心 | ||
| 肝臓 | ALT増加 | ||
| 精神神経系 | 頭痛 | めまい、平衡障害、錯乱状態、抑うつ症状、記憶障害、緊張性頭痛 | |
| 一般・全身症状 | 倦怠感 | 起立性低血圧 | |
| 筋骨格系 | 転倒 | ||
| その他 | 注射部位反応 | 血中コレステロール増加、蛋白尿、注射部位血管外漏出 |
レケンビ点滴静注200mg 45777円/瓶
レケンビ点滴静注500mg 114443円/瓶
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