リンコマイシン系抗生物質製剤
| 一般名 |
クリンダマイシンリン酸エステル
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|---|---|
| 製造/販売 | 日医工岐阜工場 / 武田薬品工業 |
| 剤形/規格 |
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本剤の成分又はリンコマイシン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
<適応菌種>
クリンダマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、マイコプラズマ属
<適応症>
敗血症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎、顎骨周辺の蜂巣炎、顎炎
[点滴静脈内注射]
通常、成人には、クリンダマイシンとして1日600〜1,200mg(力価)を2〜4回に分けて点滴静注する。
通常、小児には、クリンダマイシンとして1日15〜25mg(力価)/kgを3〜4回に分けて点滴静注する。
なお、難治性又は重症感染症には症状に応じて、成人では1日2,400mg(力価)まで増量し、2〜4回に分けて投与する。また、小児では1日40mg(力価)/kgまで増量し、3〜4回に分けて投与する。
点滴静注に際しては、本剤300〜600mg(力価)あたり100〜250mLの日局5%ブドウ糖注射液、日局生理食塩液又はアミノ酸製剤等の補液に溶解し、30分〜1時間かけて投与する。
[筋肉内注射]
通常、成人には、クリンダマイシンとして1日600〜1,200mg(力価)を2〜4回に分けて筋肉内注射する。
なお、症状により適宜増減する。
本剤の投与により、まれに発熱、腹痛、白血球増多、粘液・血液便を伴う激症下痢を主症状とする重篤な大腸炎で、内視鏡検査により偽膜斑等の形成をみる偽膜性大腸炎があらわれることがある。
発症後直ちに投与を中止しなければ電解質失調、低蛋白血症等に陥り、特に高齢者及び衰弱患者では予後不良となることがある。
したがって本剤の投与を考慮する場合には、次の注意が必要である。
次の場合には投与しないことが望ましい。
軽微な感染症
他に有効な使用薬剤がある場合
投与患者に対し、投与中又は投与後2〜3週間までに腹痛、頻回な下痢があらわれた場合には、直ちに医師に通知するよう注意すること。
また、症状が重篤な場合には輸液、バンコマイシンの経口投与等の適切な処置を行うこと。
静脈内投与を行う場合は、用法・用量にしたがって希釈し、30分〜1時間かけて点滴静注すること。なお、急速静注は行わないこと。[心停止を来すおそれがある]
本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
高齢者及び衰弱患者、大腸炎等の既往歴のある患者[偽膜性大腸炎等の重篤な大腸炎があらわれるおそれがある](「重要な基本的注意」の項(1)参照)
肝障害のある患者[胆汁排泄のため、消失半減期が延長するおそれがある]
腎障害のある患者[腎排泄は本剤の主排泄経路ではないが、消失半減期が延長するおそれがある]
アトピー性体質の患者[重症の即時型アレルギー反応があらわれるおそれがある]
重症筋無力症の患者[本剤は筋への直接作用により収縮を抑制するので、症状が悪化するおそれがある]
本剤は用法・用量にしたがって、点滴静脈内投与又は筋肉内投与のみに使用すること。本剤の使用に際しては、以下の点に注意すること。
静脈内投与時
急速静注は行わないこと。(「重要な基本的注意」の項(2)参照)
筋肉内投与時
筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ必要最小限に行うこと。同一部位への反復注射は行わないこと。特に低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には注意すること。
神経走行部位を避けること。
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
アンプルカット時
アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭してから、ヤスリを用いないで、アンプル頭部のマークの反対方向に折ること。
安定性試験結果の概要
長期保存試験(25℃、2年1ヵ月)の結果、クリンダマイシン注射液300mg「NIG」及びクリンダマイシン注射液600mg「NIG」は通常の市場流通下において2年間安定であることが確認された。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エリスロマイシン(エリスロシン等) | 併用しても本剤の効果があらわれないと考えられる。 | 細菌のリボゾーム50S Subunitへの親和性が本剤より高い。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 末梢性筋弛緩剤スキサメトニウム塩化物水和物ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物等 | 筋弛緩作用が増強される。 | 本剤は神経筋遮断作用を有する。 |
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
(頻度不明)
ショック、アナフィラキシー
ショックを起こすことがある。また、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等のアナフィラキシーを伴うことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止し、輸液、バンコマイシンの経口投与等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項(1)参照)
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症、剥脱性皮膚炎
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性汎発性発疹性膿疱症、剥脱性皮膚炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬剤性過敏症症候群
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
間質性肺炎、PIE症候群
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
心停止
急速な静注により心停止があらわれたとの報告がある。(「重要な基本的注意」の項(2)参照)
汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少
汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少があらわれることがあるので、血液検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性腎不全
急性腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | |
| 消化器 | 下痢、悪心・嘔吐、食欲不振、腹痛、舌炎 |
| 過敏症注1) | 発疹、そう痒、紅斑、浮腫 |
| 血液注2) | 好酸球増多、白血球減少、顆粒球減少 |
| 腎臓注3) | BUNの上昇、クレアチニンの上昇、窒素血症、乏尿、蛋白尿 |
| 神経系 | 耳鳴、めまい |
| 菌交代症注4) | 口内炎、カンジダ症 |
| 注射部位 | 筋肉内投与による疼痛・硬結・壊死・無菌膿瘍、静脈内投与による血栓性静脈炎 |
| その他 | 苦味、顔面のほてり、発熱、頭痛、倦怠感、膣炎、小水疱性皮膚炎、多発性関節炎 |
注1)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
注2)血液検査等の観察を十分に行うこと。
注3)定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。
注4)異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
クリンダマイシン注射液300mg「NIG」 404円/管
クリンダマイシン注射液600mg「NIG」 588円/管
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