多発性硬化症治療剤/ヒト型抗CD20モノクローナル抗体
| 一般名 |
オファツムマブ(遺伝子組換え)
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|---|---|
| 製造/販売 | ノバルティスファーマ |
| 剤形/規格 |
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1.1 慢性リンパ性白血病の治療のためにオファツムマブを点滴静注したB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化により肝不全に至り死亡した例が報告されている。[8.1、9.1.1参照]
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
下記患者における再発予防及び身体的障害の進行抑制
再発寛解型多発性硬化症
疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症
通常、成人にはオファツムマブ(遺伝子組換え)として1回20mgを初回、1週後、2週後、4週後に皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。
8.1 B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれるおそれがあるので、本剤投与に先立ってB型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。[1.1、9.1.1参照]
8.2 本剤投与により免疫グロブリン濃度の低下、並びに白血球、好中球及びリンパ球の減少があらわれ、これに伴い感染症が生じる又は悪化するおそれがある。本剤の治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。また、感染症の自他覚症状に注意し、異常が認められた場合には、速やかに医療機関に相談するよう患者に指導すること。[9.1.2、11.1.1参照]
8.3 本剤投与によりB細胞数が減少し、本剤投与中止後も長期間にわたりB細胞数の低下が持続する。そのため、本剤投与中止後においても、免疫抑制作用により細菌やウイルス等による感染症が生じる又は悪化するおそれがあるので、患者の状態を十分に観察すること。[9.1.2、11.1.1、16.8.1参照]
8.4 本剤の投与後に注射に伴う全身反応(発熱、頭痛、筋肉痛、悪寒、疲労等)があらわれることがある。臨床試験では、多くは初回投与時に認められているが、2回目以降の投与時にも認められている。投与開始早期は注射に伴う全身反応の発現に注意するよう患者に指導すること。本剤の初回投与時には、注射に伴う全身反応を軽減させるために、必要に応じて副腎皮質ステロイド等の前投与を考慮すること。[11.1.2参照]
8.5 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者又はその介護者が理解し、確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。自己投与の適用後、感染症等の本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、速やかに医療機関へ連絡するよう患者に指導を行うこと。使用済みの注射器を再使用しないように患者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導の徹底を行うと同時に、使用済みの注射器を廃棄する容器を提供すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 活動性B型肝炎患者、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)
活動性B型肝炎患者では、肝炎の治療を優先すること。本剤の治療期間中及び治療終了後は、継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)ではB型肝炎ウイルスの再活性化により肝炎があらわれるおそれがある。[1.1、8.1参照]
9.1.2 感染症のある患者
感染症を合併している場合は、感染症の治療を優先すること。感染症が増悪するおそれがある。[8.2、8.3、11.1.1参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び本剤最終投与後6ヵ月間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。[9.5.1参照]
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。サルを用いた胚及び胎児発生・拡充型出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験においてオファツムマブは胎盤を通過することが確認されており、胎児・乳児で末梢血B細胞数の枯渇及び脾臓重量の減少、乳児でキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に対する液性免疫応答の低下が認められている。臨床曝露量の160倍(AUCを指標)で母動物(サル)の乳児において、免疫調節による感染症を起因とした早期死亡が認められている。[9.4、9.5.2参照]
9.5.2 妊娠中に本剤を投与した患者からの出生児においては、B細胞数の回復が確認されるまでは、生ワクチン又は弱毒生ワクチンを投与しないこと。B細胞の枯渇は、生ワクチン又は弱毒生ワクチンによる感染症発現のリスクを増大するおそれがある。不活化ワクチンはB細胞枯渇から回復する前に投与してもよいが、十分な免疫応答が得られているか評価すること。[9.5.1参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の母乳中への移行は不明であるが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤投与前の注意
14.1.1 投与前に冷蔵庫から取り出し室温に戻しておくこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位(傷、発赤、硬結等)には注射しないこと。
14.2.2 注射部位は腹部、大腿部又は上腕部とし、投与毎に注射部位を変えること。
14.2.3 本剤は1回使用の製剤であるため、使用済みの注射器は再使用せず廃棄すること。
14.3 薬剤交付時の注意
14.3.1 患者が家庭で保存する場合は、本剤は外箱に入れた状態で、冷蔵庫内で保存すること。やむを得ず室温(30℃以下)で保存する場合は、7日間保存可能であるが、この期間内に使用しなかった場合は、冷蔵庫に戻し7日以内に使用すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
臨床試験で抗オファツムマブ抗体の陽性例が報告されている。
光曝露を避けるため、本剤は外箱に入れて保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 生ワクチン弱毒生ワクチン | 生ワクチン又は弱毒生ワクチンは本剤投与開始の少なくとも4週間前までに接種すること。治療中及び投与中止後にB細胞数が回復するまでは生ワクチン又は弱毒生ワクチンを接種しないことが望ましい。 | 生ワクチン又は弱毒生ワクチンによる感染症発現のリスクが増大するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 不活化ワクチン | 不活化ワクチンは本剤投与開始の少なくとも2週間前までに接種すること。 | ワクチンの効果を減弱させるおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 免疫抑制剤又は免疫調節剤フマル酸ジメチルフィンゴリモドナタリズマブ等 | これらの薬剤から切り替える場合は、本剤開始時に相加的な免疫抑制作用が生じるおそれがある。これらの薬剤の作用持続時間及び作用機序を考慮すること。 | 相加的に免疫系に作用するリスクがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 感染症(15.0%)
上気道感染(上咽頭炎、上気道感染、インフルエンザ)等の感染症があらわれることがある。[8.2、8.3、9.1.2参照]
11.1.2 注射に伴う全身反応(20.6%)
発熱、頭痛、筋肉痛、悪寒、疲労等の注射に伴う全身反応があらわれることがある。
11.1.3 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察すること。意識障害、認知機能障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、構音障害、失語等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。本剤の多発性硬化症を対象とした臨床試験ではPMLの報告はないが、慢性リンパ性白血病患者に対し点滴静注するオファツムマブ製剤を含む他の抗CD20抗体製剤及び他の多発性硬化症治療薬を投与した患者においてJCウイルス感染によるPMLが報告されている。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 頻度不明 | |
| 一般・全身障害及び投与部位の状態 | 注射部位反応(紅斑、疼痛、そう痒、腫脹) | − |
| 臨床検査 | 血中IgM減少 | − |
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