遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤
| 一般名 |
ホリトロピンアルファ(遺伝子組換え)
|
|---|---|
| 製造/販売 | メルクバイオファーマ |
| 剤形/規格 |
|
本剤を用いた不妊治療により、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症等を伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。[8.3、8.4、9.1.3、10.2、11.1.2、11.1.3参照]
2.1 本剤又は性腺刺激ホルモン製剤及び添加物に対する過敏症の既往歴のある患者
2.2 FSH濃度が高く、原発性性腺機能不全が示唆される患者[本剤の効果が期待できないおそれがある。][5.3.1参照]
2.3 十分にコントロールされていない甲状腺又は副腎機能不全の患者[症状を悪化させることがある。][5.1参照]
2.4 エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
2.5 アンドロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、前立腺癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
2.6 視床下部、下垂体腫瘍等の頭蓋内器官の活動性の腫瘍がある患者[症状の悪化のおそれがある。][5.1、5.3.2、9.1.9参照]
2.7 診断の確定していない不正出血のある患者[悪性腫瘍の疑いがある。]
2.8 原因が特定されない卵巣腫大又は卵巣
2.9 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦[9.5、9.6参照]
2.10 活動性の血栓塞栓性疾患の患者[症状が悪化するおそれがある。][9.1.3、11.1.2、11.1.3参照]
○生殖補助医療における調節卵巣刺激
○視床下部−下垂体機能障害又は多
○低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導
<生殖補助医療における調節卵巣刺激>
調節卵巣刺激には、ホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)として通常150又は225IUを月経周期2日目又は3日目から1日1回皮下投与する。患者の反応に応じて1日450IUを超えない範囲で適宜用量を調節し、卵胞が十分に発育するまで継続する。
<視床下部−下垂体機能障害又は多
排卵誘発には、ホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)として通常1回75IUを連日皮下投与する。卵胞の発育の程度を観察しながら適宜用量を調節し、主席卵胞の十分な発育が確認された後、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)製剤を投与し排卵を誘起する。
<低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導>
精子形成の誘導には、本剤はhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)製剤と併用投与する。ホリトロピン アルファ(遺伝子組換え)として1回150IUを1週3回皮下投与する。精子形成の誘導が認められない場合には、本剤の用量を1回に最大300IU、1週3回を限度として適宜増量する。
<効能共通>
8.1 在宅自己注射を行う場合は、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。
8.1.1 自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。
8.1.2 使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促すこと。
8.1.3 全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。
8.1.4 在宅自己注射を行う前に、本剤の「在宅自己注射説明書」を必ず読むよう指導すること。
<生殖補助医療における調節卵巣刺激、視床下部−下垂体機能障害又は多
8.2 本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師が使用すること。本剤投与により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。
8.3
本剤を用いた不妊治療により、卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、以下のモニタリングを実施すること。
・一般不妊治療においては、本剤投与中及び排卵誘発に使用する薬剤(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)等)投与前の超音波検査による卵巣反応
・生殖補助医療においては、本剤投与中及び卵胞の最終成熟に使用する薬剤(hCG等)投与前の超音波検査及び血清エストラジオール濃度の測定による卵巣反応
・患者の自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)
・急激な体重増加
・超音波検査等による卵巣腫大
なお、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子として、多嚢胞性卵巣症候群、若年、やせ、血清抗ミュラー管ホルモン高値、卵巣過剰刺激症候群の既往、血清エストラジオール高値、発育卵胞数の高値等が知られているので、卵巣過剰刺激症候群のリスク因子を有する患者への対応は慎重に行うこと。
卵巣過剰刺激症候群の徴候が認められた場合には、本剤の投与中断などを行うとともに、少なくとも4日間は性交を控えるように患者に指導すること。また、卵胞の最終成熟又は排卵誘発の延期や中止等の要否を含め実施中の不妊治療の継続の可否を慎重に判断すること。卵巣過剰刺激症候群は、本剤投与中だけではなく、本剤投与後に発現し、軽症又は中等症であっても急速に進行して重症化することがあるため、本剤の最終投与後も少なくとも2週間の経過観察を行い、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うこと。なお、卵巣過剰刺激症候群は、妊娠によって重症化し、長期化することがあることにも留意すること。[1.、8.4、9.1.3、10.2、11.1.2参照]
8.4 患者に対しては、あらかじめ以下の点を説明すること。[1.、8.3、9.1.3、10.2、11.1.2参照]
・卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談すること。
・一般不妊治療においては、卵巣過剰刺激の結果として多胎妊娠の可能性があること。
8.5 卵胞発育刺激を受けている女性では一般女性よりも流産率が高い。
8.6 体外受精・胚移植などの生殖補助医療を受ける不妊女性では、異所性妊娠の可能性が高くなる。
<低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導>
8.7 本剤とhCG製剤の併用投与によって精巣が発達した際に精索静脈瘤があらわれることがあるので、注意深く観察すること。
8.8 hCG製剤との併用については、hCG製剤の添付文書に記載されている禁忌、特定の背景を有する患者に関する注意、重要な基本的注意等を必ず確認すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
<効能共通>
9.1.1 乳癌の既往歴のある患者
乳癌が再発するおそれがある。
9.1.2 乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者
症状が増悪するおそれがある。
<生殖補助医療における調節卵巣刺激、視床下部−下垂体機能障害又は多
9.1.3 本人及び家族の既往歴等の一般に血栓塞栓症発現リスクが高いと認められる患者
本剤の投与の可否については、本剤が血栓塞栓症の発現リスクを増加させることを考慮して判断すること。なお、妊娠自体によっても血栓塞栓症のリスクは高くなることに留意すること。[1.、2.10、8.3、8.4、10.2、11.1.2、11.1.3参照]
9.1.4 子宮筋腫のある患者
子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。
9.1.5 子宮内膜症のある患者
症状が増悪するおそれがある。
9.1.6 未治療の子宮内膜増殖症のある患者
子宮内膜増殖症は細胞異型を伴う場合がある。
9.1.7 卵管疾患の既往のある女性
不妊治療の有無にかかわらず異所性妊娠のリスクが高くなる。
<低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導>
9.1.8 前立腺肥大のある患者
前立腺肥大が増大するおそれがある。
9.1.9 下垂体又は視床下部に腫瘍のある患者
定期的にCT又はMRI検査を実施し、症状の悪化が認められた場合にはゴナドトロピン製剤による治療を中止すること。[2.6参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
動物実験(ラット)で、分娩障害、妊娠期間の延長、吸収胚数の増加及び出生率の低下が認められている。また、動物実験(ウサギ)で、流産、着床後死亡率の増加が認められている。しかし、両種の動物実験で、催奇形性は認められていない
9.6 授乳婦
投与しないこと。
動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤調製時の注意
溶解後は直ちに投与し、溶解後に長時間放置しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与経路
本剤は皮下注射でのみ投与すること。
14.2.2 投与部位
上腕、大腿、腹部、臀部等に順序良く移動し、短期間に繰返し同一部位に注射しないこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 卵胞発育刺激のための多剤療法を受けた患者で卵巣又は他の生殖器官の良性及び悪性腫瘍の発現が報告されている
15.1.2 生殖補助医療後の先天異常の発生率は自然受胎後に比べわずかに高いとの報告がある
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 排卵誘発及び卵胞の最終成熟に使用する薬剤ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤等[1.、8.3、8.4、9.1.3、11.1.2参照] | 卵巣過剰刺激症候群があらわれることがある。 | 卵巣への過剰刺激に伴う過剰なエストロゲン分泌により、血管透過性が亢進される。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<効能共通>
11.1.1 アナフィラキシー(頻度不明)
<生殖補助医療における調節卵巣刺激、視床下部−下垂体機能障害又は多
11.1.2 卵巣過剰刺激症候群(7.0%)
本剤を用いた不妊治療により、卵巣腫大、下腹部痛、下腹部緊迫感、腹水、胸水、呼吸困難を伴う卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあり、卵巣破裂、卵巣茎捻転、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症、肺水腫、腎不全等が認められることもある。本剤投与後に卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には、重症度に応じて、本剤の投与中止、卵胞の最終成熟又は排卵誘発の延期や中止等の要否を含め、実施中の不妊治療の継続の可否を判断すること。また、卵巣過剰刺激症候群の重症度に応じた適切な処置を行うこと。重度の卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、入院させて適切な処置を行うこと。[1.、2.10、8.3、8.4、9.1.3、10.2、11.1.3参照]
11.1.3 血栓塞栓症(頻度不明)[1.、2.10、9.1.3、11.1.2参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<生殖補助医療における調節卵巣刺激、視床下部−下垂体機能障害又は多
| 2%以上 | 1%〜2%未満 | 頻度不明 | |
| 血液 | 白血球数増加 | ||
| 消化器 | 腹部膨満、下腹部痛、腹水、悪心、腹痛 | 腹部不快感 | |
| 投与部位 | 注射部位疼痛 | 軽度から重度の注射部位反応(注射部位の発赤、内出血、腫脹)、浮腫 | |
| 免疫系 | 軽度のアナフィラキシー | ||
| 代謝 | 食欲不振 | ||
| 精神神経系 | 頭痛 | ||
| 生殖器 | 卵巣腫大 | 不正子宮出血、性器出血 | 卵巣 |
| 乳房 | 乳房不快感 | ||
| 呼吸器 | 呼吸困難(軽度の全身性アレルギー反応) | ||
| 皮膚/皮膚付属器 | 蕁麻疹、紅斑、発疹、顔面腫脹(軽度の全身性アレルギー反応) | ||
| その他 | 低出生体重児、双胎妊娠、流産、バニシングツイン症候群、早産 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導>
| 5%以上注) | 5%未満注) | 頻度不明 | |
| 血液 | リンパ節症 | ||
| 消化器 | 消化不良 | 胃炎、悪心 | 下痢、腹痛、味覚異常 |
| 投与部位 | 注射部位疼痛 | 注射部位挫傷、注射部位紅斑、注射部位そう痒感 | |
| 肝臓 | 血中ビリルビン増加、肝機能検査異常 | 血中アルカリホスファターゼ増加 | |
| 泌尿器 | 尿中蛋白陽性、尿潜血陽性 | ||
| 筋骨格系 | 鼡径部痛、筋痙縮 | ||
| 精神神経系 | リビドー減退 | 不眠症、攻撃性、浮動性めまい、傾眠 | 注意力障害 |
| 生殖器 | 精巣痛、精索静脈瘤、停留精巣 | 前立腺特異性抗原増加 | |
| 乳房 | 女性化乳房、乳房圧痛 | 乳房腫瘤 | 乳房痛 |
| 皮膚 | ざ瘡(33.3%)、脂漏 | 脱毛症、発疹、多汗 | 蕁麻疹、色素沈着障害 |
| 全身状態 | 疲労 | 軽度の全身性アレルギー反応、倦怠感 | |
| その他 | 良性下垂体腫瘍 | 体重増加、毛質異常、血中尿酸増加 |
注)発現頻度は、海外臨床試験に基づき算出した。
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