本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、ボノプラザン・アモキシシリン・クラリスロマイシン、ラベプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン、リトナビル、ニルマトレルビル・リトナビル、エンシトレルビルを投与中の患者[10.1、16.7.2参照]
不眠症
通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。
本剤の影響が服用の翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。[17.3.1参照]
症状が改善した場合は、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 ナルコレプシー又はカタプレキシーのある患者
症状を悪化させるおそれがある。
9.1.2 重度の呼吸機能障害を有する患者
重度の呼吸機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。[17.3.1参照]
9.1.3 脳に器質的障害のある患者
作用が強くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
スボレキサントの血漿中濃度を上昇させるおそれがある。[16.6.3参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)では、交配前、交配期間中及び妊娠初期に臨床曝露量の70倍を投与した場合、黄体数、着床数及び生存胎児数の減少が、妊娠期に臨床曝露量の86倍を投与した場合、胎児体重の減少が認められた。また、妊娠から授乳期に臨床曝露量の49倍を投与した場合、出生児に一過性の体重低値が認められた。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
動物実験(ラット)でスボレキサントが乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。高齢者での薬物動態試験において、非高齢者と比較して血漿中濃度が高くなる傾向が認められている。[16.6.1参照]
13.1 徴候、症状
本剤の過量投与に関する情報は少ない。外国人健康成人に本剤120〜240mgを朝投与した臨床試験で、用量依存的に傾眠の発現率及び持続時間が増加し、脈拍数が一過性に低下する傾向がみられた。外国人健康成人に本剤240mgを朝投与した臨床試験では、胸痛及び呼吸抑制が報告された。
13.2 処置
血液透析は本剤の除去に有用かどうかは不明である。スボレキサントは蛋白質結合能が高いため、血液透析では除去されないと考えられる。多剤服用の可能性を考慮する。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
ラットの2年間がん原性試験では、臨床曝露量の36倍の投与により肝細胞腺腫及び臨床曝露量の11倍の投与により甲状腺濾胞細胞腺腫の発現頻度が増加したが、これらの変化はげっ歯類に特異的な肝酵素誘導及び甲状腺ホルモン産生増加の二次的な変化と考えられた。一方、rasH2トランスジェニックマウスでは、臨床曝露量の105倍までの用量を6ヵ月間経口投与しても、がん原性を示唆する変化は認められなかった。
ラットの2年間がん原性試験において、臨床曝露量の11倍(雄)及び18倍(雌)以上の用量で網膜萎縮の発現頻度が増加した。薬効量を大きく超えた用量のオレキシン受容体拮抗薬をラットに投与すると明期における覚醒時間が増加したこと、スボレキサントを投与した有色ラットの網膜萎縮の発現はアルビノラットよりも遅く、その発現率及び重症度も低かったことが報告されている。さらに、イヌに臨床曝露量の84倍を9ヵ月間投与しても網膜変化はみられていない。これらのことからラットがん原性試験でみられた網膜萎縮は、アルビノラットで自然発生的に生じることが知られている加齢及び光誘発性の網膜萎縮の発現頻度が、スボレキサントの薬理作用を介した網膜への光照射の増加により増加したことを反映した、ラット特有の変化と考えられた。
光及び湿気を避けるため、PTPシートのまま保存し、服用直前にPTPシートから取り出すこと。
スボレキサントは主に薬物代謝酵素CYP3Aによって代謝される。また、弱いP糖蛋白(腸管)への阻害作用を有する。[16.4参照]
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
イトラコナゾール(イトリゾール)ポサコナゾール(ノクサフィル)ボリコナゾール(ブイフェンド)クラリスロマイシン(クラリシッド)ボノプラザン・アモキシシリン・クラリスロマイシン(ボノサップ)ラベプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン(ラベキュア)リトナビル(ノービア)ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッド)エンシトレルビル(ゾコーバ)[2.2、16.7.2参照] | 本剤の作用を著しく増強させるおそれがある。 | スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを強く阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を顕著に上昇させる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アルコール(飲酒)[16.7.1参照] | 精神運動機能の相加的な低下を生じる可能性がある。本剤を服用時に飲酒は避けさせること。 | 本剤及びアルコールは中枢神経系に対する抑制作用を有するため、相互に作用を増強させるおそれがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等) | 中枢神経系に対する抑制作用を増強させるおそれがある。 | 本剤及びこれらの薬剤は中枢神経系に対する抑制作用を有するため、相互に作用を増強させるおそれがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP3Aを中等度に阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)[7.4、16.7.2参照] | 傾眠、疲労等の本剤の副作用が増強するおそれがあるため、併用する際には1日1回10mgへの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。 | スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを中等度に阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を上昇させる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP3Aを強く誘導する薬剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン等)[16.7.2参照] | 本剤の作用を減弱させるおそれがある。 | スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを強く誘導し、スボレキサントの血漿中濃度を低下させる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジゴキシン[16.7.3参照] | ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させるおそれがある。本剤と併用する場合は、ジゴキシンの血漿中濃度をモニタリングすること。 | スボレキサントはP糖蛋白阻害作用を有する。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
心臓障害 | 動悸 | ||
胃腸障害 | 悪心、嘔吐 | ||
一般・全身障害及び投与部位の状態 | 疲労 | ||
神経系障害 | 傾眠、頭痛、浮動性めまい | 睡眠時麻痺 | |
精神障害 | 悪夢 | 異常な夢、入眠時幻覚 | 睡眠時随伴症注)、夢遊症注)、傾眠時幻覚注)、不安、激越 |
皮膚及び皮下組織障害 | そう痒症 |
注)海外臨床試験でみられた副作用。高用量(成人:40mg、高齢者:30mg)投与群を含む。
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