本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
重症ケトーシス,糖尿病性昏睡又は前昏睡,1型糖尿病の患者〔輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない.〕
重症感染症,手術前後,重篤な外傷のある患者〔インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない.〕
2型糖尿病
通常,成人にはテネリグリプチンとして20mgを1日1回経口投与する.なお,効果不十分な場合には,経過を十分に観察しながら40mg1日1回に増量することができる.
本剤の使用にあたっては,患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること.特に,スルホニルウレア系薬剤又はインスリン製剤と併用する場合,低血糖のリスクが増加するおそれがある.スルホニルウレア系薬剤又はインスリン製剤による低血糖のリスクを軽減するため,これらの薬剤と併用する場合には,スルホニルウレア系薬剤又はインスリン製剤の減量を検討すること.(「慎重投与」,「相互作用」,「重大な副作用」の項参照)
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること.糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等,糖尿病類似の症状(腎性糖尿,甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること.
本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法,運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること.
本剤投与中は,血糖を定期的に検査し,薬剤の効果を確かめ,本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること.
投与の継続中に,投与の必要がなくなる場合や,減量する必要がある場合があり,また,患者の不養生,感染症の合併等により効果がなくなったり,不十分となる場合があるので,食事摂取量,血糖値,感染症の有無等に留意の上,常に投与継続の可否,投与量,薬剤の選択等に注意すること.
QT延長等の副作用が発現するおそれがあるので,QT延長又はその既往のある患者(先天性QT延長症候群等),Torsades de pointesの既往のある患者では投与を避けることが望ましい.(「薬物動態」の項参照)
低血糖症状を起こすことがあるので,高所作業,自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること.
本剤とGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している.両剤を併用した際の臨床試験成績はなく,有効性及び安全性は確認されていない.
高度の肝機能障害のある患者〔使用経験がなく安全性が確立していない.(「薬物動態」の項参照)〕
心不全(NYHA分類III〜IV)のある患者〔使用経験がなく安全性が確立していない.〕
スルホニルウレア系薬剤又はインスリン製剤を投与中の患者〔低血糖のリスクが増加するおそれがある.(「重要な基本的注意」,「相互作用」,「重大な副作用」の項参照)〕
次に掲げる患者又は状態〔低血糖を起こすおそれがある.〕
脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
栄養不良状態,飢餓状態,不規則な食事摂取,食事摂取量の不足又は衰弱状態
激しい筋肉運動
過度のアルコール摂取者
腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者〔腸閉塞を起こすおそれがある.(「重大な副作用」の項参照)〕
QT延長を起こしやすい患者(重度の徐脈等の不整脈又はその既往歴のある患者,うっ血性心不全等の心疾患のある患者,低カリウム血症の患者等)〔QT延長を起こすおそれがある.(「重要な基本的注意」,「薬物動態」の項参照)〕
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること.〔PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている.〕
海外臨床試験において本剤160mgを1日1回投与したときにQT延長が報告されている.(「薬物動態」の項参照)(本剤の承認された用量は,通常,テネリグリプチンとして20mg1日1回であり,最大投与量は40mg1日1回である.(【用法・用量】の項参照))
カニクイザルを用いた52週間反復経口投与毒性試験において,75mg/kg/日投与で尾,四肢及び耳介等に表皮剥脱・痂皮・潰瘍等の皮膚症状が認められた.このときのAUC0-24hrは,1日40mgをヒトに投与したときの約45倍に達していた.なお,同様の毒性所見は,他の動物種(ラット,マウス及びウサギ)及びヒトでは報告されていない.
本剤は,主としてCYP3A4及びフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO1及びFMO3)により代謝され,未変化体の尿中排泄率は14.8〜22.1%であった.(「薬物動態」の項参照)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 糖尿病用薬 スルホニルウレア系薬剤 速効型インスリン分泌促進剤 α-グルコシダーゼ阻害剤 ビグアナイド系薬剤 チアゾリジン系薬剤 GLP-1受容体作動薬 SGLT2阻害剤 インスリン製剤等 | 低血糖症状が起こるおそれがあるので,患者の状態を十分観察しながら投与すること.特に,スルホニルウレア系薬剤又はインスリン製剤と併用する場合,低血糖のリスクが増加するおそれがある.スルホニルウレア系薬剤又はインスリン製剤による低血糖のリスクを軽減するため,スルホニルウレア系薬剤又はインスリン製剤の減量を検討すること.(「慎重投与」,「重要な基本的注意」,「重大な副作用」の項参照)低血糖症状が認められた場合には,通常はショ糖を投与し,α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時にはブドウ糖を投与すること. | 血糖降下作用が増強される. |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血糖降下作用を増強する薬剤 β-遮断剤 サリチル酸剤 モノアミン酸化酵素阻害剤等 | 更に血糖が低下する可能性があるため,血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること. | 血糖降下作用が増強される. |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血糖降下作用を減弱する薬剤 アドレナリン 副腎皮質ホルモン 甲状腺ホルモン等 | 血糖が上昇する可能性があるため,血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること. | 血糖降下作用が減弱される. |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| QT延長を起こすことが知られている薬剤 クラスIA抗不整脈薬 キニジン硫酸塩水和物,プロカインアミド塩酸塩等 クラスIII抗不整脈薬 アミオダロン塩酸塩,ソタロール塩酸塩等 | QT延長等が起こるおそれがある. | これらの薬剤では単独投与でもQT延長がみられている. |
国内の臨床試験では,総症例数1645例中156例(9.5%)232件の副作用(臨床検査値の異常も含む)が認められた.主な副作用は,低血糖症43例(2.6%),便秘14例(0.9%)等であった.(効能追加承認時)
低血糖(1.1〜8.9%)
他の糖尿病用薬との併用で低血糖があらわれることがある.特に,インスリン製剤又はスルホニルウレア系薬剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ,意識消失を来たす例も報告されている.これらの薬剤と併用する場合には,インスリン製剤又はスルホニルウレア系薬剤の減量を検討すること.また,他の糖尿病用薬を併用しない場合でも低血糖が報告されている.低血糖症状が認められた場合には,糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと.(「慎重投与」,「重要な基本的注意」,「相互作用」の項参照)
腸閉塞(0.1%)
腸閉塞があらわれることがあるので,観察を十分に行い,高度の便秘,腹部膨満,持続する腹痛,嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.(「慎重投与」の項参照)
肝機能障害(頻度不明)
AST(GOT),ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎があらわれることがあるので,咳嗽,呼吸困難,発熱,肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には,速やかに胸部X線,胸部CT,血清マーカー等の検査を実施すること.間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと.
類天疱瘡(頻度不明)
類天疱瘡があらわれることがあるので,水疱,びらん等があらわれた場合には,皮膚科医と相談し,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
副作用が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
| 0.1〜1%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
| 精神・神経系 | 浮動性めまい | ||
| 消化器 | 便秘,腹部膨満,腹部不快感,悪心,腹痛,鼓腸,口内炎,胃ポリープ,結腸ポリープ,十二指腸潰瘍,逆流性食道炎,下痢,食欲減退,アミラーゼ上昇,リパーゼ上昇 | ||
| 肝臓 | AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇,γ-GTP上昇 | Al-P上昇 | |
| 腎臓・泌尿器系 | 蛋白尿,尿ケトン体陽性,尿潜血 | ||
| 皮膚 | 湿疹,発疹, |
||
| その他 | CK(CPK)上昇,血清カリウム上昇,倦怠感,アレルギー性鼻炎,血清尿酸上昇 | 末梢性浮腫 |
副作用の頻度は効能追加承認時までの臨床試験に基づき算出した.
テネリア錠20mg 154.6円/錠
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効果の強さ
投稿日: 2015/03/30 参考率: 100%(5人/5人)
内科/60代/処方経験あり