本剤の投与により脈拍数が増加し、狭心症が発現することがあるので、狭心症の症状(胸痛等)に対する問診を注意深く行うこと。脳梗塞再発抑制効果を検討する試験において、長期にわたりPRP(pressure rate product)を有意に上昇させる作用が認められた。また、本剤投与群に狭心症を発現した症例がみられた。[8.3、9.1.3、11.1.1、17.1.2参照]
出血している患者(血友病、毛細血管脆弱症、頭蓋内出血、消化管出血、尿路出血、喀血、硝子体出血等)[出血を助長するおそれがある。]
うっ血性心不全の患者[症状を悪化させるおそれがある。][8.4参照]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
○慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善
○脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制
通常、成人には、シロスタゾールとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。
本剤の脳梗塞患者に対する投与は脳梗塞の症状が安定してから開始すること。
脳梗塞患者への投与にあたっては、他の血小板凝集を抑制する薬剤等との相互作用に注意するとともに、高血圧が持続する患者への投与は慎重に行い、投与中は十分な血圧のコントロールを行うこと。[10.2参照]
冠動脈狭窄を合併する患者で、本剤を投与中に過度の脈拍数増加があらわれた場合には、狭心症を誘発する可能性があるので、このような場合には減量又は中止するなどの適切な処置を行うこと。[1.、9.1.3、11.1.1、17.1.2参照]
本剤はPDE3阻害作用を有する薬剤である。海外においてPDE3阻害作用を有する薬剤(ミルリノン
、ベスナリノン
)に関しては、うっ血性心不全(NYHA分類III〜IV)患者を対象にしたプラセボ対照長期比較試験において、生存率がプラセボより低かったとの報告がある。また、うっ血性心不全を有しない患者において、本剤を含むPDE3阻害剤を長期投与した場合の予後は明らかではない。[2.2参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 月経期間中の患者
出血を助長するおそれがある。
9.1.2 出血傾向並びにその素因のある患者
出血した時、それを助長するおそれがある。
9.1.3 冠動脈狭窄を合併する患者
脈拍数増加により狭心症を誘発する可能性がある。[1.、8.3、11.1.1、17.1.2参照]
9.1.4 糖尿病あるいは耐糖能異常を有する患者
出血性有害事象が発現しやすい。
9.1.5 持続して血圧が上昇している高血圧の患者(悪性高血圧等)
遺伝的に著しく高い血圧が持続し脳卒中が発症するとされているSHR-SP(脳卒中易発症高血圧自然発症ラット)において、シロスタゾール0.3%混餌投与群は対照群に比較して生存期間の短縮が認められた(平均寿命:シロスタゾール群40.2週、対照群43.5週)。
9.2 腎機能障害患者
腎機能が悪化するおそれがある。また、シロスタゾールの代謝物の血中濃度の上昇が報告されている。[11.1.7、16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
シロスタゾールの血中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で異常胎児の増加並びに出生児の低体重及び死亡児の増加が報告されている。[2.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
14.1 薬剤調製時の注意
自動分包機を使用する場合には欠けることがあるため、カセットのセット位置等に配慮すること。
14.2 薬剤交付時の注意
本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
本剤は寝たままの状態では、水なしで服用しないこと。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
脳梗塞再発抑制効果を検討する試験において、本剤群に糖尿病の発症例及び悪化例が多くみられた(本剤群11/520例、プラセボ群1/523例)。
シロスタゾール100mgとHMG-CoA還元酵素阻害薬ロバスタチン(国内未承認)80mgを併用投与したところ、ロバスタチン単独投与に比べてロバスタチンのAUCが64%増加したとの海外報告がある
。
15.2 非臨床試験に基づく情報
イヌを用いた13週間経口投与毒性試験及び52週間経口投与毒性試験において、高用量で左心室心内膜の肥厚及び冠状動脈病変が認められ、無毒性量はそれぞれ30mg/kg/day、12mg/kg/dayであった。ラット及びサルでは心臓の変化は認められなかった。1週間静脈内投与心臓毒性試験では、イヌに左心室心内膜、右心房心外膜及び冠状動脈の変化がみられ、サルでは軽度の左心室心内膜の出血性変化が認められた。他のPDE阻害剤や血管拡張剤においても動物に心臓毒性が認められており、特にイヌは発現しやすい動物種であると報告されている。
本剤は無包装状態で高湿度により影響を受けることが認められたため、無包装又は分包の場合には特に注意すること。
プラスチックボトル包装品は、湿度の影響を受けやすいので、使用の都度キャップをしっかり締めること。
PTP包装品は、アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2C19で代謝される。[16.4参照]
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
抗凝固剤ワルファリン等血小板凝集を抑制する薬剤アスピリン、チクロピジン塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩等血栓溶解剤ウロキナーゼ、アルテプラーゼ等プロスタグランジンE1製剤及びその誘導体アルプロスタジル、リマプロスト アルファデクス等[8.2参照] | 出血した時、それを助長するおそれがある。併用時には出血等の副作用を予知するため、血液凝固能検査等を十分に行う。 | 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤と併用すると出血を助長するおそれがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
薬物代謝酵素(CYP3A4)を阻害する薬剤マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン等)HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル等)アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ミコナゾール等)シメチジン、ジルチアゼム塩酸塩等グレープフルーツジュース[16.7.2-16.7.5参照] | 本剤の作用が増強するおそれがある。併用する場合は減量あるいは低用量から開始するなど注意すること。また、グレープフルーツジュースとの同時服用をしないように注意すること。 | これらの薬剤あるいはグレープフルーツジュースの成分がCYP3A4を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇することがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
薬物代謝酵素(CYP2C19)を阻害する薬剤オメプラゾール等[16.7.6参照] | 本剤の作用が増強するおそれがある。併用する場合は減量あるいは低用量から開始するなど注意すること。 | これらの薬剤がCYP2C19を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇することがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
(0.1%未満)
、心筋梗塞、狭心症、心室頻拍(いずれも頻度不明)[1.、8.3、9.1.3参照]
11.1.2 出血(脳出血等の頭蓋内出血(頻度不明)、消化管出血(0.1〜5%未満)、眼底出血(0.1%未満)、肺出血、鼻出血(いずれも頻度不明))
脳出血等の頭蓋内出血の初期症状として、頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺があらわれることがある。
11.1.3 胃・十二指腸潰瘍(0.1〜5%未満)
出血を伴う胃・十二指腸潰瘍があらわれることがある。
(いずれも頻度不明)
11.1.5 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多を伴う間質性肺炎があらわれることがある。このような場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.6 肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、Al-P、LDH等の上昇や黄疸があらわれることがある。
(頻度不明)[9.2参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5%以上 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
過敏症 | 発疹、皮疹、そう痒感 | 蕁麻疹 | 光線過敏症、紅斑 | |
循環器 | 動悸、頻脈、ほてり、心房細動・上室性頻拍・上室性期外収縮・心室性期外収縮等の不整脈 | 血圧上昇 | 血圧低下 | |
精神神経系 | 頭痛・頭重感 | 眠気、めまい、不眠、しびれ感 | 振戦、肩こり | 失神・一過性の意識消失 |
消化器 | 腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振、下痢、胸やけ、腹部膨満感、味覚異常 | 口渇 | ||
血液 | 貧血、白血球減少、好酸球増多 | |||
出血傾向 | 皮下出血 | 血尿 | ||
肝臓 | AST・ALT・Al-P・LDHの上昇 | |||
腎臓 | 尿酸値上昇、頻尿 | BUN上昇、クレアチニン上昇、排尿障害 | ||
その他 | 浮腫、胸痛、耳鳴、倦怠感、発熱 | 発汗、疼痛、脱力感、血糖上昇、脱毛 | 結膜炎、筋痛 |
プレタールOD錠50mg 19.1円/錠
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効果の強さ
投稿日: 2015/03/29 参考率: 100%(5人/5人)
脳外科/70代/処方経験あり