喘息治療配合剤
一般名 |
フルチカゾンプロピオン酸エステル ホルモテロールフマル酸塩水和物
|
---|---|
製造/販売 | 杏林製薬 |
剤形/規格 |
|
有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[ステロイドの作用により症状を増悪させるおそれがある。]
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
気管支喘息
(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β
2刺激剤の併用が必要な場合)
通常、成人には、フルティフォーム50エアゾール(フルチカゾンプロピオン酸エステルとして50μg及びホルモテロールフマル酸塩水和物として5μg)を1回2吸入、1日2回投与する。
なお、症状に応じてフルティフォーム125エアゾール(フルチカゾンプロピオン酸エステルとして125μg及びホルモテロールフマル酸塩水和物として5μg)を1回2〜4吸入、1日2回投与する。
本剤は既に起きている気管支喘息の発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、毎日規則正しく使用すること。
本剤の投与開始前には、患者の喘息症状を比較的安定な状態にしておくこと。特に、喘息発作重積状態又は喘息の急激な悪化状態のときには原則として本剤は使用しないこと。
気管支粘液の分泌が著しい患者では、本剤の肺内での作用を確実にするため、本剤の吸入に先立って、分泌がある程度減少するまで他剤を使用すること。
過度に本剤の使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、用法・用量を超えて投与しないよう注意すること。
本剤の投与期間中に発現する急性の発作に対しては、短時間作動型吸入β
2刺激剤等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。また、その薬剤の使用量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、喘息の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。そのような状態では患者の生命が脅かされる可能性があるので、患者の症状に応じてステロイド療法の強化(本剤のより高用量製剤への変更等)を考慮すること。
感染を伴う喘息症状の増悪がみられた場合には、ステロイド療法の強化と感染症の治療を考慮すること。
本剤の投与を突然中止すると喘息の急激な悪化を起こすことがあるので、投与を中止する場合には患者の喘息症状を観察しながら徐々に減量すること。
全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により全身性の作用(クッシング症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、小児の成長遅延、骨密度の低下、白内障、緑内障を含む)が発現する可能性があるので、吸入ステロイド剤の投与量は患者毎に喘息をコントロールできる最少用量に調節すること。特に長期間、大量投与の場合には定期的に検査を行い、全身性の作用が認められた場合には患者の喘息症状を観察しながら徐々に減量するなど適切な処置を行うこと。
全身性ステロイド剤の減量は本剤吸入開始後症状の安定をみて徐々に行うこと。減量にあたっては一般のステロイド剤の減量法に準ずること。
長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている患者では副腎皮質機能不全が考えられるので、全身性ステロイド剤の減量中並びに離脱後も副腎皮質機能検査を行い、外傷、手術、重症感染症等の侵襲には十分に注意を払うこと。また、必要があれば一時的に全身性ステロイド剤の増量を行うこと。
本剤を含む吸入ステロイド剤投与後に、潜在していた基礎疾患であるChurg-Strauss症候群にみられる好酸球増多症がまれにあらわれることがある。この症状は通常、全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って発現しており、本剤との直接的な因果関係は確立されていない。本剤の投与期間中は、好酸球数の推移や、他のChurg-Strauss症候群症状(しびれ、発熱、関節痛、肺の浸潤等の血管炎症状等)に注意すること。
全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って、鼻炎、湿疹、蕁麻疹、めまい、動悸、けん怠感、顔のほてり、結膜炎等の症状が発現・増悪することがあるので、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
リトナビルとの併用により全身性のステロイド作用(クッシング症候群、副腎皮質機能抑制等)が発現したとの報告があるので、併用する場合には注意すること(「相互作用」の項参照)。
本剤は患者の喘息症状に応じて最適な用量を選択する必要があるため、本剤の投与期間中は患者を定期的に診察すること。
感染症の患者[ステロイドの作用により症状を増悪させるおそれがある。]
甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺ホルモンの分泌を亢進させるおそれがある。]
高血圧の患者[血圧を上昇させるおそれがある。]
心疾患のある患者[β
1作用により症状を増悪させるおそれがある。]
糖尿病の患者[グリコーゲン分解作用及びステロイドの作用により症状を増悪させるおそれがある。]
低カリウム血症の患者[Na+/K+ATPaseを活性化し細胞外カリウムを細胞内へ移動させることにより低カリウム血症を増悪させるおそれがある。]
重度な肝機能障害のある患者[本剤の成分であるフルチカゾンプロピオン酸エステル及びホルモテロールはいずれも主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。]
ホルモテロールフマル酸塩水和物の過量投与により、動悸、頻脈、不整脈、振戦、頭痛及び筋痙攣等、β刺激剤の薬理学的作用による全身作用が発現する可能性がある。また、重篤な症状として、血圧低下、代謝性アシドーシス、低カリウム血症、高血糖、心室性不整脈あるいは心停止等が発現する可能性がある。このような症状がみられた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
フルチカゾンプロピオン酸エステルの過量投与(通常の用法・用量を超える量等)により副腎皮質機能抑制等の全身性の作用がみられることがある。
副腎皮質機能が抑制されている患者においては、外傷、手術、感染、本剤の急速な減量時等に急性副腎皮質機能不全が発現する可能性がある。過量投与後に本剤を減量する際は、患者の管理を十分に行いながら徐々に行うこと。
本剤は口腔内への吸入投与のみに使用すること。
吸入前
本剤の投与にあたって、吸入器の操作法、吸入法等を十分に説明すること。(「取扱い上の注意」の項参照)
吸入後
口腔カンジダ症又は嗄声の予防のため、本剤吸入後に、うがいを実施するよう患者を指導すること。ただし、うがいが困難な患者には、うがいではなく口腔内をすすぐよう指導すること。
他の長時間作動型吸入β
2刺激剤(サルメテロール(エアゾール剤))での米国大規模プラセボ対照試験において、以下の報告がある
。
米国で実施された喘息患者を対象とした28週間のプラセボ対照多施設共同試験において、主要評価項目である呼吸器に関連する死亡と生命を脅かす事象の総数は、患者集団全体ではサルメテロール群とプラセボ群間に有意差は認められなかったものの、アフリカ系米国人の患者集団では、サルメテロール群に有意に多かった。また、副次評価項目の1つである喘息に関連する死亡数は、サルメテロール群に有意に多かった。なお、吸入ステロイド剤を併用していた患者集団では、主要及び副次評価項目のいずれにおいても両群の間に有意差は認められなかった。
患者には使用説明書を渡し、使用方法を指導すること。
エアゾール剤の噴霧と吸入の同調が難しいと考えられる患者にはスペーサー(吸入用補助器)を使用させることが望ましい。
良く振ってから使用させること。
保管上の注意
内側のアルミ容器をアダプターから外さないこと。
噴霧口のつまりを避けるため、少なくとも週1回以上アダプターの吸入口の外側と内側を乾いた布やティッシュペーパーでよく拭き、清潔に保管すること。
アルミ容器は絶対に濡らさないこと(噴霧口がつまる原因となる)。
30℃以上の場所に保管しないこと。
アルミ容器は火中に投入しないこと。
地方自治体により定められたアルミ容器の廃棄処理法に従うこと。
フルチカゾンプロピオン酸エステルは、主として肝チトクロームP-450 3A4(CYP3A4)で代謝される。また、ホルモテロールは主としてグルクロン酸抱合を受ける。(「薬物動態」の項参照)
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
CYP3A4阻害作用を有する薬剤リトナビル等 | 副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある。特に、リトナビルとフルチカゾンプロピオン酸エステル製剤の併用により、クッシング症候群、副腎皮質機能抑制等が報告されている。 | CYP3A4による代謝が阻害されることにより、フルチカゾンプロピオン酸エステルの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
カテコールアミンアドレナリンイソプレナリン等 | 不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあるので、副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 | 併用により、アドレナリン作動性神経刺激の増大が起きる。そのため、不整脈を起こすことがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
キサンチン誘導体テオフィリンアミノフィリン等 | 低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。血清カリウム値のモニターを行うことが望ましい。 | キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下を増強することがある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ステロイド剤プレドニゾロンベタメタゾン等 | 低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。血清カリウム値のモニターを行うことが望ましい。 | ステロイド剤及び利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強することが考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
利尿剤フロセミド等 | 低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。血清カリウム値のモニターを行うことが望ましい。 | ステロイド剤及び利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強することが考えられる。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
β遮断剤アテノロール等 | ホルモテロールの作用を減弱する可能性がある。 | β受容体において競合的に拮抗する。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤抗不整脈剤三環系抗うつ剤等 | QT間隔が延長され心室性不整脈等のリスクが増大するおそれがある。 | いずれもQT間隔を延長させる可能性がある。 |
国内で実施された臨床試験において、副作用集計の対象となった472例中101例(21.4%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、嗄声25例(5.3%)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加10例(2.1%)、動悸6例(1.3%)、喘息6例(1.3%)、口内炎5例(1.1%)、咽頭炎5例(1.1%)であった。
ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、気管支攣縮、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な血清カリウム値低下(頻度不明)
β
2刺激剤により「重篤な血清カリウム値の低下」が報告されている。また、β
2刺激剤による血清カリウム値の低下作用は、キサンチン誘導体、ステロイド剤及び利尿剤の併用により増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意すること。さらに、低酸素血症は血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがある。このような場合には血清カリウム値をモニターすることが望ましい。
肺炎(0.42%)
肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | |
口腔・呼吸器 | 嗄声 | 口腔・呼吸器感染症、口腔・咽喉頭症状(疼痛、不快感)、喘息、口内炎 | 口腔内乾燥 |
循環器 | 不整脈、動悸 | 心電図異常、高血圧 | |
肝臓 | γ-GTP増加、ALT(GPT)増加、血中ビリルビン増加 | ||
精神神経系 | 振戦、めまい | ||
過敏症注) | 発疹・蕁麻疹 | ||
その他 | CK(CPK)増加 | 血中コルチゾール減少、白血球数増加、けん怠感、筋痙縮、胸部不快感 |
注)発現した場合には投与を中止すること。
フルティフォーム50エアゾール120吸入用 5780.7円/瓶
フルティフォーム125エアゾール120吸入用 6742.2円/瓶
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。
エビデンスの確かさ・信頼性
投稿日: 2016/01/10 参考率: 50%(1人/2人)
40代/調剤経験あり