本剤の成分並びにアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者
<適応菌種>
ジベカシンに感性の黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、緑膿菌
<適応症>
敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、中耳炎
<筋注の場合>
通常、成人にはジベカシンとして、1日量100mg(力価)を1〜2回に分け、小児にはジベカシンとして、1日量1〜2mg(力価)/kgを1〜2回に分け、それぞれ筋肉内注射する。
<点滴静注の場合>
通常、成人にジベカシンとして、1日量100mg(力価)を2回に分け、100〜300mLの補液で希釈し、30分〜1時間かけて点滴静注する。
なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。[11.1.1参照]
・事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
・投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
・投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
眩暈、耳鳴、難聴等の第8脳神経障害があらわれることがあるので慎重に投与すること。特に腎機能障害患者、高齢者、長期間投与患者及び大量投与患者等では血中濃度が高くなり易く、聴力障害の危険性がより大きくなるので、聴力検査を実施することが望ましい。アミノグリコシド系抗生物質の聴力障害は、高周波音に始まり低周波音へと波及するので、障害の早期発見のために、聴力検査の最高周波数である8kHzでの検査が有用である。[9.1.1、9.2、9.8、11.1.3参照]
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[9.8、11.1.2参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 本人又はその血族がアミノグリコシド系抗生物質による難聴又はその他の難聴のある患者
難聴が発現又は増悪するおそれがある。[8.3、11.1.3参照]
9.1.2 重症筋無力症の患者
神経筋遮断作用がある。
9.1.3 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
9.2 腎機能障害患者
投与量を減ずるか、投与間隔をあけて使用すること。高い血中濃度が持続し、腎障害が悪化するおそれがあり、また、第8脳神経障害等の副作用が強くあらわれるおそれがある。[7.1、8.3、11.1.3参照]
9.3 肝機能障害患者
肝障害を悪化させるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。動物実験で新生児に第8脳神経障害が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
<筋肉内注射>
低出生体重児、新生児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[14.2.2参照]
<点滴静注>
使用しないこと。小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあり、第8脳神経障害、腎障害等の副作用があらわれやすい。[8.3、8.4、11.1.2、11.1.3参照]
・ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
13.1 症状
腎障害、聴覚障害、前庭障害、神経筋遮断症状、呼吸麻痺があらわれることがある。
13.2 処置
血液透析、腹膜透析による薬剤の除去を行う。神経筋遮断症状、呼吸麻痺に対してはコリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与又は機械的呼吸補助を行う。
14.1 薬剤調製時の注意
<投与経路共通>
ピペラシリンと混合すると、両剤の反応によりアミドを形成し、本剤の活性低下を来すので、それぞれ別経路で投与すること。
<点滴静注>
溶解後は速やかに使用すること。
14.2 薬剤投与時の注意
<投与経路共通>
筋肉内注射又は点滴静注にのみ使用すること。
<筋肉内注射>
組織・神経などへの影響を避けるため、下記の点に注意すること。
・同一部位への反復注射はなるべく行わないこと。
また、小児等には特に注意すること。[9.7.1参照]
・神経走行部位を避けるよう注意すること。
なお、注射針を刺入したとき、神経に当たったと思われるような激痛を訴えた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
・注射器の内筒を軽くひき、血液の逆流がないことを確かめて注射すること。
・硬結をきたすことがあるので、注射直後は局所を十分にもむこと。
<点滴静注>
ときに血管痛を起こすことがあるので、注射液の調製、注射部位、注射方法に注意し、注射速度はできるだけ遅くすること。
15.1 臨床使用に基づく情報
クエン酸水和物で抗凝固処理した血液を大量輸血された患者にアミノグリコシド系抗生物質を投与すると、投与経路にかかわらず、神経筋遮断症状、呼吸麻痺があらわれることがある。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
腎障害を起こすおそれのある血液代用剤デキストランヒドロキシエチルデンプン等 | 腎障害が発現、悪化することがあるので、併用は避けることが望ましい。腎障害が発生した場合には、投与を中止し、透析療法等適切な処置を行うこと。 | 機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中への蓄積、近位尿細管上皮の空胞変性が生じるという報告がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ループ利尿剤フロセミドアゾセミド等 | 腎障害及び聴器障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用は避けることが望ましい。 | 機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中濃度の上昇、腎への蓄積が起こるという報告がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤バンコマイシン塩酸塩エンビオマイシン硫酸塩白金含有抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン)等 | 腎障害及び聴器障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用は避けることが望ましい。 | 両薬剤ともに腎毒性、聴器毒性を有するが相互作用の機序は不明。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
麻酔剤筋弛緩剤ベクロニウム臭化物A型ボツリヌス毒素等 | 呼吸抑制があらわれるおそれがある。呼吸抑制があらわれた場合には、必要に応じ、コリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与等の適切な処置を行うこと。 | 両薬剤ともに神経筋遮断作用を有しており、併用によりその作用が増強される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
腎毒性を有する薬剤シクロスポリンアムホテリシンB等 | 腎障害が発現、悪化するおそれがある。 | 両薬剤ともに腎毒性を有するが、相互作用の機序は不明。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
(0.1%未満)[8.2参照]
(0.1%未満)[8.4、9.8参照]
(いずれも0.1%未満)
等の第8脳神経障害[8.3、9.1.1、9.2、9.8参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | |
過敏症 | 発疹 | 紅斑、浮腫性紅斑、 |
腎臓 | BUN、クレアチニンの上昇 | 浮腫、蛋白尿、血尿、カリウム等電解質の異常 |
肝臓 | AST、ALT、Al-P、LDHの上昇 | |
消化器 | 下痢 | 悪心・嘔吐、食欲不振 |
血液 | 貧血、好酸球増多 | |
ビタミン欠乏症 | ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等) | |
注射部位 | 注射局所の疼痛又は硬結(筋肉内注射時) | |
その他 | 頭痛、口唇部のしびれ感 |
パニマイシン注射液50mg 462円/管
パニマイシン注射液100mg 705円/管
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