本剤の投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には死亡に至るおそれがある。本剤の使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断すること。[8.1-8.3、10.2、11.1.1参照]
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 臨床的に重大な活動性の出血を呈する患者[出血を助長するおそれがある。][9.1.1参照]
後天性血栓性血小板減少性紫斑病
成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、本剤の投与初日は、血漿交換前に10mgを静脈内投与し、血漿交換終了後に10mgを皮下投与する。その後の血漿交換期間中は、血漿交換終了後に1日1回10mgを皮下投与する。血漿交換期間後は、1日1回10mgを30日間皮下投与する。
なお、患者の状態に応じて、血漿交換期間後30日間を超えて本剤の投与を継続することができる。
8.1 本剤は出血の危険性を増大させる。本剤の投与により、生命を脅かす致死的な出血を含む大出血が報告されているため、出血等の徴候を注意深く観察すること。臨床的に重大な出血が生じた場合は、本剤の投与を中断し、必要に応じて血液専門医とも相談のうえ、迅速に止血作用を正常に戻すために臨床的に適切な処置を行うこと。本剤の投与を再開する場合は、出血の徴候がないか、注意深く観察すること。[1.、8.2、8.3、10.2、11.1.1参照]
8.2 本剤の投与により、挫傷や出血が生じやすいこと、鼻血や歯茎からの出血が起こる可能性があること、通常よりも止血に時間がかかる可能性があることを患者に説明すること。通常とは異なる又は過度の挫傷、出血又は大出血の症状(頭痛、呼吸困難、疲労、低血圧、失神等を伴う)があらわれた場合には、直ちに主治医に連絡するよう患者に指導すること。また、他院(他科)を受診する際には、本剤を投与している旨を医師に必ず伝えるよう患者に指導すること。[1.、8.1、8.3、11.1.1参照]
8.3 待機的手術、侵襲的な歯科処置又は他の侵襲的処置の7日前には本剤の投与を中止すること。手術による出血の危険性が消失し、本剤の投与を再開した後は、出血の徴候がないか注意深く観察すること。緊急手術が必要な場合には、血液専門医とも相談のうえ、止血作用を正常に戻すために臨床的に適切な処置を行うこと。[1.、8.1、8.2、11.1.1参照]
8.4 本剤の自己投与にあたっては、以下の点に留意すること。
・本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。
・自己投与は血漿交換期間後の1日1回10mg皮下投与の場合のみとすること。
・自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
・自己投与の適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は医療機関へ連絡するよう患者に指導すること。
・使用済みの注射器を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 活動性の出血を呈する患者(臨床的に重大な活動性の出血を呈する患者を除く)又は出血リスクの高い患者
活動性の出血(臨床的に重大な出血を除く)又は基礎疾患に凝固障害(例えば血友病や他の血液凝固因子欠乏症)のある患者では治療上の有益性と危険性について検討した上で、本剤の投与可否を慎重に判断し、投与する場合は、観察を十分に行うこと。出血を助長する又は出血の危険性が増大する可能性がある。[2.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
治療上の有益性と危険性について検討した上で、本剤の投与可否を慎重に判断し、投与する場合は、観察を十分に行うこと。重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。出血の危険性が増大するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠モルモットで胎児へ移行することが報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤のバイアルと添付溶解液のシリンジが室温に戻っていることを確認すること。
14.1.2 単回投与用の溶解液を得るために、シリンジ中の日局注射用水1mLを用いて本剤を溶解すること。
14.1.3 ケーキ状の塊又は粉末が完全に溶解するまで、バイアルを穏やかに揺り動かすこと。振とうしないこと。
14.1.4 溶解した薬剤が無色澄明であることを目視により確認すること。溶解した薬剤はすべてバイアルからシリンジに移すこと。
14.1.5 溶解した薬剤はすぐに投与すること。すぐに投与できない場合、冷蔵保存(2℃〜8℃)し、溶解後4時間以内に投与すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 初日の初回投与は、静脈内投与すること。その後の投与は、へその周囲を避けて腹部の適切な部位に皮下注射すること。腹部の同一部位に連続して皮下注射しないこと。
14.2.2 他の製剤と混合しないこと。
14.2.3 静脈内投与の際、静脈ラインを使用する場合は、日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液のいずれかでラインをフラッシュすること。
14.2.4 投与前の溶解液に異物や変色が見られた場合は使用しないこと。
14.2.5 シリンジ内の溶解液は全量投与すること。
14.3 薬剤交付時の注意
14.3.1 患者が家庭で保存する場合においては、冷蔵庫内で保存することが望ましいが、室温(30℃以下)で保存することもできる。室温で保存した場合には、使用期限を超えない範囲で2ヵ月以内に使用し、再び冷蔵庫に戻さないように指導すること。
14.3.2 使用済みの医療機器等の処理については、主治医の指示に従うこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
海外第III相試験(ALX0681-C301/HERCULES試験)では、本剤投与下で産生された抗薬物抗体が本剤投与患者の3.1%に認められ、その全例で中和抗体が認められた。国内第II/III相試験(ALX0681-C202試験)では、本剤投与下で産生された抗薬物抗体が本剤投与患者の14.3%に認められ、その全例で中和抗体が認められた。抗体発現と臨床効果及び安全性との関連は明らかではない。
薬剤は外箱に入れた状態で保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗凝固薬(ビタミンK拮抗薬、経口トロンビン阻害薬、凝固第X因子阻害薬、高用量ヘパリン等)、血栓溶解薬(ウロキナーゼ、アルテプラーゼ等)[1.、8.1参照] | これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、治療上の有益性と危険性を評価して慎重に判断すること。投与中は観察を十分に行い、出血の発現に注意すること。 | 本剤は止血及び凝固に影響を及ぼす薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血小板凝集抑制作用を有する薬剤(チクロピジン塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩、アセチルサリチル酸等)[1.、8.1参照] | これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、治療上の有益性と危険性を評価して慎重に判断すること。投与中は観察を十分に行い、出血の発現に注意すること。 | 本剤及び抗血小板薬の薬理作用のため、これら薬剤との併用により出血の危険性が増大するおそれがある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 出血
脳出血(頻度不明)、消化管出血(頻度不明)等の生命を脅かす致死的な出血を含む大出血、鼻出血(18.6%)、歯肉出血(10.2%)等があらわれることがある。[1.、8.1-8.3参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 10%未満 | |
| 呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 呼吸困難 | |
| 胃腸障害 | 直腸出血、腹壁血腫、下痢 | |
| 腎および尿路障害 | 血尿 | |
| 生殖系および乳房障害 | 腟出血、月経過多 | |
| 一般・全身障害および投与部位の状態 | 注射部位反応、発熱 | カテーテル留置部位出血、注射部位出血、疲労 |
| 傷害、中毒および処置合併症 | 挫傷 | |
| 筋骨格系および結合組織障害 | 筋肉痛 | |
| 神経系障害 | 頭痛 | |
| 皮膚および皮下組織障害 | 蕁麻疹 |
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