本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[インスリン製剤による速やかな治療が必須となるので、本剤を投与すべきでない。]
重症感染症、手術等の緊急の場合[インスリン製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない。]
2型糖尿病
通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として週1回0.5mgを維持用量とし、皮下注射する。ただし、週1回0.25mgから開始し、4週間投与した後、週1回0.5mgに増量する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回0.5mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には、週1回1.0mgまで増量することができる。
2型糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常や尿糖陽性を呈する糖尿病類似の病態(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)があることに留意すること。
本剤の適用は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。
本剤はインスリンの代替薬ではない。本剤の投与に際しては、患者のインスリン依存状態を確認し、投与の可否を判断すること。インスリン依存状態の患者で、インスリンからGLP-1受容体作動薬に切り替え、急激な高血糖及び糖尿病性ケトアシドーシスが発現した症例が報告されている。
投与する場合には、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3〜4ヵ月間投与して効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切り替えを行うこと。
投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合や、減量する必要がある場合があり、また、患者の不養生、感染症の合併等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、食事摂取量、血糖値、感染症の有無等に留意のうえ、常に投与継続の可否、投与量、薬剤の選択等に注意すること。
本剤は持続性製剤であり、本剤中止後も効果が持続する可能性があるため、血糖値の変動や副作用予防、副作用発現時の処置について十分留意すること。(【薬物動態】の項参照)
本剤の使用にあたっては、患者に対し、低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。特にインスリン製剤又はスルホニルウレア剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるので、定期的な血糖測定を行うこと。これらの薬剤と併用する場合、低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量を検討すること。(「3.相互作用」、「4.副作用」、【臨床成績】の項参照)
低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。(「4.副作用」の項参照)
急性膵炎が発現した場合は、本剤の投与を中止し、再投与しないこと。急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。
胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮する等、慎重に対応すること。
本剤投与中は、甲状腺関連の症候の有無を確認し、異常が認められた場合には、専門医を受診するよう指導すること。(「10.その他の注意」の項参照)
本剤の自己注射にあたっては、患者に十分な教育訓練を実施した後、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもと実施すること。また、器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。添付されている使用説明書を必ず読むよう指導すること。
本剤は週1回、同一曜日に投与する薬剤である。投与を忘れた場合は、次回投与までの期間が2日間(48時間)以上であれば、気づいた時点で直ちに投与し、その後はあらかじめ定めた曜日に投与すること。次回投与までの期間が2日間(48時間)未満であれば投与せず、次のあらかじめ定めた曜日に投与すること。なお、週1回投与の定めた曜日を変更する必要がある場合は、前回投与から少なくとも2日間(48時間)以上間隔を空けること。
本剤とDPP-4阻害剤はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
重症胃不全麻痺等の重度の胃腸障害のある患者[十分な使用経験がなく、これらの症状が悪化するおそれがある。]
膵炎の既往歴のある患者(「2.重要な基本的注意」、「4.副作用」の項参照)
インスリン製剤又はスルホニルウレア剤を投与中の患者[低血糖のリスクが増加するおそれがある(「2.重要な基本的注意」、「3.相互作用」、「4.副作用」の項参照)。]
高齢者(「5.高齢者への投与」、【薬物動態】の項参照)
次に掲げる患者又は状態[低血糖を起こすおそれがある。]
脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
激しい筋肉運動
過度のアルコール摂取者
徴候・症状
過量投与により、最も多く報告された副作用は悪心であった。
薬剤投与時の注意
投与時
本剤はJIS T 3226-2に適合するA型専用注射針を用いて使用すること。[本剤はA型専用注射針との適合性の確認をペンニードルで行っている。]
本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れが認められた場合には、新しい注射針に取り替えること。
1本の本剤を複数の患者に使用しないこと。
投与部位
本皮下注射は、腹部、大腿、上腕に行う。
注射場所は毎回変更し、前回の注射場所より2〜3cm離すこと。
投与経路
静脈内及び筋肉内に投与しないこと。
その他
本剤は他の製剤との混合により、成分が分解するおそれがあるため、本剤と他の製剤を混合しないこと。
注射後は必ず注射針を外すこと。注射針は毎回新しいものを、必ず注射直前に取り付けること。[針を付けたままにすると、液漏れや針詰まりにより正常に注射できないおそれがある。また、薬剤の濃度変化や感染症の原因となることがある。]
ラット及びマウスにおける2年間がん原性試験において、臨床用量に相当する又は下回る用量(最大臨床用量でのAUC比較においてラットでは定量下限未満のため算出できず、マウスで約1.3倍)で、甲状腺C細胞腫瘍の発生頻度の増加が認められたとの報告がある。
甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する、本剤の安全性は確立していない。
カートリッジの内壁に付着物がみられたり、液中に塊や薄片がみられることがある。また、使用中に液が変色することがある。これらのような場合は使用しないこと。
使用開始後は遮光にて室温〔冷蔵庫(2〜8℃)も含む〕に保管し、8週間以内に使用すること。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
糖尿病用薬 ビグアナイド系薬剤スルホニルウレア剤速効型インスリン分泌促進剤α-グルコシダーゼ阻害剤チアゾリジン系薬剤DPP-4阻害剤SGLT2阻害剤インスリン製剤等 | 糖尿病用薬との併用時には、低血糖症の発現に注意すること。特に、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。インスリン製剤又はスルホニルウレア剤による低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤の減量を検討すること。低血糖症状が認められた場合には、適切に処置を行うこと。(「4.副作用」の項参照) | 血糖降下作用が増強される。 |
日本人が参加した第III相臨床試験(併合データ)において、安全性評価対象症例2024例中859例(42.4%)に2399件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、悪心305例(15.1%)、下痢146例(7.2%)、リパーゼ増加135例(6.7%)及び便秘129例(6.4%)であった(承認時)。
低血糖
低血糖及び低血糖症状(脱力感、倦怠感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、知覚異常等)があらわれることがある。特にインスリン製剤又はスルホニルウレア剤と併用した場合には、多く発現することが報告されている(「2.重要な基本的注意」、「3.相互作用」、【臨床成績】の項参照)。また、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤との併用時に重篤な低血糖症状があらわれ意識消失を来す例も報告されている。
低血糖症状が認められた場合には通常はショ糖を投与し、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。
患者の状態に応じて、本剤あるいは併用している糖尿病用薬を減量するなど慎重に投与すること。
急性膵炎
急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、膵炎と診断された場合には、本剤を再投与しないこと。
副作用が認められた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
5%以上 | 1〜5%未満 | 0.5〜1%未満 | 頻度不明 | |
感染症 | 胃腸炎 | |||
代謝及び栄養障害 | 食欲減退 | |||
神経系障害 | 頭痛 | 浮動性めまい | 味覚異常 | |
眼障害 | 糖尿病網膜症関連事象 | |||
心臓障害 | 心拍数増加注1 | |||
胃腸障害 | 悪心、下痢、便秘、嘔吐 | 腹部不快感、消化不良、腹部膨満、上腹部痛、腹痛、おくび | 胃食道逆流性疾患、鼓腸、胃炎 | |
肝胆道系障害 | 胆石症 | |||
全身障害及び投与部位状態 | 疲労、無力症 | 注射部位反応 | ||
臨床検査注2 | リパーゼ増加 | アミラーゼ増加、体重減少 | 血中クレアチンホスホキナーゼ増加 |
注1:心拍数の増加が持続的にみられた場合には患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
注2:これらの臨床検査値の変動に関連した症状は認められなかった。
オゼンピック皮下注2mg
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