1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれることがあるので、呼吸器疾患に精通した医師と連携して使用すること。本剤投与中は、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、低酸素症等)の確認、定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。間質性肺疾患が疑われる場合には、本剤を休薬し、適切な対応を行うこと。間質性肺疾患と診断された場合には、本剤を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[1.3、7.3、8.1、9.1.1、11.1.1参照]
1.3 本剤投与開始前に、胸部CT検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴がないことを確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。[1.2、7.3、8.1、9.1.1、11.1.1参照]
1.4 本剤の投与により高血糖があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシスに至ることがあるので、投与開始前及び投与中は定期的に空腹時血糖値及びHbA1cの測定等、高血糖の徴候を十分に観察すること。必要に応じて、糖尿病治療に精通した医師と連携し、適切な対応を行うこと。重度の高血糖が発現した場合には本剤を休薬、減量又は中止すること。[7.3、8.2、9.1.2、11.1.2参照]
1.5 本剤の投与によりニューモシスチス・イロベチイ肺炎等の重篤な感染症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察する等、感染症の発症に注意すること。[11.1.7参照]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
がん化学療法後に増悪した
通常、成人にはリソバリシブメシル酸塩として1回40mgを1日1回空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
8.1 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、低酸素症等)の確認、定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、患者に対して、初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう指導すること。[1.2、1.3、7.3、9.1.1、11.1.1参照]
8.2 高血糖があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシスに至ることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に空腹時血糖値及びHbA1cの測定を行うこと。本剤投与中は血糖値、HbA1cの測定に加えて、ケトン体の測定を実施することが望ましい。本剤の使用にあたっては、患者に対し高血糖について十分に説明するとともに、高血糖の症状(口渇、頻尿、多尿、体重減少等)があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう指導すること。[1.4、7.3、9.1.2、11.1.2参照]
8.3 血小板減少症があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[7.3、11.1.4参照]
8.4 電解質異常があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に電解質検査(カリウム等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。なお、本剤投与中の電解質検査は、最初の1カ月間は1週間に1回、その後は3週間に1回を目安に実施し、異常が認められた場合は速やかに適切な処置を行うこと。また、必要に応じて電解質を補正すること。
8.5 QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に心電図検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。なお、本剤投与中の心電図検査は、最初の1カ月間は1週間に1回、その後は3週間に1回を目安に実施し、異常が認められた場合は速やかに適切な処置を行うこと。[9.1.3、11.1.8参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。[1.2、1.3、7.3、8.1、11.1.1参照]
9.1.2 糖尿病若しくはその既往を有する患者又は血糖コントロールが不良な患者
高血糖が発現又は悪化し、糖尿病性ケトアシドーシスを発現するリスクが高くなるおそれがある。臨床試験においては、糖尿病患者、空腹時血糖値>110mg/dL(6.1mmol/L)、又はHbA1c>基準値上限の患者は除外された。[1.4、7.3、8.2、11.1.2参照]
9.1.3 QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者
QT間隔延長が発現又は悪化するおそれがある。[8.5、11.1.8参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 中等度又は重度の肝機能障害患者
本剤は主に肝代謝により消失するため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、中等度又は重度注)の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。[16.6.2参照]
注)NCI-ODWG(National Cancer Institute-Organ Dysfunction Working Group)基準による分類
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。経口避妊薬による避妊法の場合には、経口避妊薬以外の方法をあわせて使用するよう指導すること。[9.5、10.2参照]
9.4.2 生殖可能な年齢の患者に投与する場合には、造精機能、卵巣・子宮機能の低下があらわれる可能性があることを考慮すること。動物において精巣及び卵巣の萎縮等が報告されている。[15.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験(妊娠ラット)において、臨床曝露量の0.2倍に相当する用量で、胎児生存率低下、胎児体重の減少、骨格の奇形又は変異等が報告されている。[9.4.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行に関するデータはないが、本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
AUC比較でいずれも臨床曝露量未満の用量で、ラットを用いた反復投与毒性試験において卵巣萎縮、卵胞嚢胞、黄体出血及び子宮/子宮頸管萎縮、並びにイヌ又はラットを用いた反復投与毒性試験において精細管変性/萎縮及び精巣上体の乏精子症が認められた。[9.4.2参照]
本剤は、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19及びCYP3Aに対する誘導作用を示す。また、本剤の溶解度はpHの上昇により低下する。[16.7参照]
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| プロトンポンプ阻害剤オメプラゾールエソメプラゾールランソプラゾール等[16.7.1参照] | 本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。 | これらの薬剤が胃内pHを上昇させるため、本剤の溶解度と吸収が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| H2受容体拮抗剤シメチジンファモチジンニザチジン等[16.7.1参照] | 本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。 | これらの薬剤が胃内pHを上昇させるため、本剤の溶解度と吸収が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 制酸剤水酸化アルミニウム水酸化マグネシウム沈降炭酸カルシウム等[16.7.1参照] | 本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。 | これらの薬剤が胃内pHを上昇させるため、本剤の溶解度と吸収が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP2B6の基質となる薬剤シクロホスファミドメサドンチオテパ等[16.7.1参照] | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤のCYP2B6誘導作用により、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP2C8の基質となる薬剤レパグリニドパクリタキセルモンテルカスト等[16.7.2参照] | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤のCYP2C8誘導作用により、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP2C9の基質となる薬剤ワルファリンフルルビプロフェンフェニトイン等[16.7.2参照] | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤のCYP2C9誘導作用により、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP2C19の基質となる薬剤オメプラゾールジアゼパムランソプラゾール等[16.7.2参照] | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤のCYP2C19誘導作用により、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3Aの基質となる薬剤ミダゾラムトリアゾラムジアゼパム経口避妊薬(レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール、デソゲストレル・エチニルエストラジオール、ノルエチステロン・エチニルエストラジオール)等[16.7.1参照] | これらの薬剤の有効性が減弱するおそれがある。 | 本剤のCYP3A誘導作用により、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺疾患(8.6%)
間質性肺疾患が疑われる場合には本剤を直ちに休薬すること。間質性肺疾患と診断された場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等適切な処置を行うこと。[1.2、1.3、7.3、8.1、9.1.1参照]
11.1.2 高血糖
高血糖(89.2%)があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス(1.1%)に至るおそれがある。糖尿病性ケトアシドーシスが疑われる場合は直ちに休薬し、糖尿病性ケトアシドーシスと診断された場合は投与を中止すること。[1.4、7.3、8.2、9.1.2参照]
11.1.3 重度の皮膚障害
多形紅斑(2.2%)等の重度の皮膚障害があらわれたことがある。[7.3参照]
11.1.4 血小板減少症(35.5%)[7.3、8.3参照]
11.1.5 重度の下痢(6.5%)
11.1.6 体液貯留
末梢性浮腫(26.9%)、顔面浮腫(15.1%)、低アルブミン血症(5.4%)、腹水(1.1%)等の体液貯留があらわれることがある。急激な体重の増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.7 感染症
ニューモシスチス・イロベチイ肺炎(1.1%)等の重篤な感染症があらわれることがある。[1.5参照]
11.1.8 QT間隔延長(2.2%)[9.1.3参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 20%以上 | 10%〜20%未満 | 10%未満 | |
| 胃腸障害 | 口内炎(68.8%)、悪心(52.7%)、下痢(36.6%)、嘔吐 | 腹痛 | 腹部膨満、便秘、腹部不快感、レッチング、排便回数増加 |
| 代謝及び栄養障害 | 食欲減退(38.7%) | 低カリウム血症 | 高コレステロール血症、低ナトリウム血症 |
| 一般・全身障害及び投与部位の状態 | 疲労(41.9%) | 発熱 | |
| 血液及びリンパ系障害 | 貧血、好中球減少症 | 白血球減少症 | |
| 臨床検査 | 体重減少(35.5%) | ALT増加、AST増加 | γ-GTP増加、血中ビリルビン増加、血中アルカリホスファターゼ増加 |
| 腎及び尿路障害 | 蛋白尿 | 高クレアチニン血症 | |
| 神経系障害 | 頭痛、味覚不全、浮動性めまい | ||
| 皮膚及び皮下組織障害 | 発疹(72.0%) | 皮膚乾燥、湿疹、手掌・足底発赤知覚不全症候群、そう痒症、皮膚亀裂、皮膚炎 |
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