2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリン製剤による速やかな高血糖の治療が必須となるので、本剤の投与は適さない。]
2.3 重症感染症、手術等の緊急の場合[インスリン製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない。]
2.4 透析患者を含む重度腎機能障害のある患者[9.2.1、16.6.1参照]
2型糖尿病
ただし、食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤(ビグアナイド系薬剤又はチアゾリジン系薬剤との併用を含む)を使用しても十分な効果が得られない場合に限る。
通常、成人には、エキセナチドとして、1回5μgを1日2回朝夕食前に皮下注射する。投与開始から1ヵ月以上の経過観察後、患者の状態に応じて1回10μg、1日2回投与に増量できる。
8.1 本剤はインスリン製剤の代替薬ではない。本剤の投与に際しては、患者のインスリン依存状態を確認し、投与の可否を判断すること。インスリン依存状態の患者で、インスリン製剤からエキセナチド製剤に切り替え、急激な高血糖及び糖尿病性ケトアシドーシスが発現した症例が報告されている。
8.2 投与する場合には、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3〜4ヵ月間投与して効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切り替えを行うこと。
8.3 急性膵炎が発現した場合は、本剤の投与を中止し、再投与しないこと。急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。[9.1.2、11.1.3参照]
8.4 胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮する等、慎重に対応すること。[9.1.2、11.1.3参照]
8.5 インスリン製剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤又はジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤との併用については、検討が行われていない。
8.6 本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。[9.1.4、11.1.1参照]
8.7 低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること。[11.1.1参照]
8.9 本剤の自己注射にあたって、以下の点に留意すること。
・投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
・全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
・添付されている取扱説明書を必ず読むよう指導すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 糖尿病胃不全麻痺等の重度の胃腸障害のある患者
胃腸障害の症状が悪化するおそれがある。十分な使用経験がない。
9.1.2 膵炎の既往のある患者[8.3、8.4、11.1.3参照]
9.1.3 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者
腸閉塞を起こすおそれがある。[11.1.5参照]
9.1.4 低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
・脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
・栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
・激しい筋肉運動
・過度のアルコール摂取者
[8.6、11.1.1参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度腎機能障害のある患者
重度の腎機能障害のある患者(透析患者又はクレアチニンクリアランス[CLCR]が30mL/min未満の患者)には投与しないこと。
本剤の消化器系副作用により忍容性が認められていない。[2.4、16.6.1参照]
9.2.2 中等度又は軽度の腎機能障害のある患者
軽度の腎機能障害(CLCR=50〜80mL/min)を有する患者においては、外国長期対照試験の併合データにおいて低血糖症及び消化器症状を含む有害事象の発現割合が腎機能正常の被験者と比べて高い傾向がみられており、中等度の腎機能障害(CLCR=30〜50mL/min)を有する患者においては臨床試験での検討例数は少数である。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害を有する患者における検討例数は少数であり、また、重度の肝機能障害を有する患者における安全性を検討した臨床試験は実施していない。
国内臨床試験において、観察期間開始時に肝障害を合併していると治験責任(分担)医師が判断した患者、またはスクリーニング検査におけるALTもしくはASTが基準値上限の2.5倍以上の患者は除外されている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤を使用すること。動物実験では、妊娠ウサギに22μg/kg/日(ヒトに1回10μgを1日2回皮下投与した場合の血漿中曝露量の229倍)以上又は妊娠マウスに68μg/kg/日(ヒトに1回10μgを1日2回皮下投与した場合の血漿中曝露量の25倍)以上を皮下投与した場合に、母動物の体重減少及び摂餌量低下に起因した胎児の発育遅延(ウサギ)、胎児骨格への影響並びに胎児と新生児の発育遅延(マウス)が報告されている
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(授乳マウス)では、乳汁中へ移行することが報告されている
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。[16.6.2参照]
13.1 症状
外国臨床試験において1回100μg(最大推奨用量の10倍)が投与された2型糖尿病患者で、重度の悪心・嘔吐及び血糖値の急激な低下が報告されている
14.1 薬剤交付時の注意
患者に対し以下の点に注意するよう指導すること。
14.1.1 本剤は無色澄明な液である。液に濁りがある場合、粒子や変色を認める場合には使用しないこと。
14.1.2 本剤のカートリッジに他剤を補充したり、他剤と混合してはならない。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。本剤はA型専用注射針との適合性の確認をBDマイクロファインプラス及びナノパスニードルで行っている。
14.2.2 本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合が認められた場合には、新しい注射針に取り替える等の処置方法を患者に十分指導すること。
14.2.3 1本を複数の患者に使用しないこと。
14.2.4 投与部位
腹部、大腿部又は上腕部に皮下投与すること。同一部位に繰り返し注射することは避けることが望ましい。
14.2.5 投与経路
必ず皮下投与とし、静脈内、筋肉内には投与しないこと。
15.2 非臨床試験に基づく情報
2年間のがん原性試験で、250μg/kg/日(ヒトに1回10μgを1日2回皮下投与した場合の血漿中曝露量の143倍)の投与により甲状腺C細胞腺腫の発生率の増加が雌ラットで認められたが、雄ラット及び雌雄マウスでは甲状腺C細胞腺腫の増加は認められなかった。また、甲状腺C細胞癌の発生は認められなかった。
20.1 使用前は凍結を避け、2〜8℃で遮光保存すること。
20.2 使用中は25℃以下で保存すること。冷蔵庫に保存する際は凍結しないよう注意すること。
20.3 凍結した場合は使用しないこと。
20.4 使用開始後30日以内に使用すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 糖尿病用薬ビグアナイド系薬剤スルホニルウレア剤速効型インスリン分泌促進剤α-グルコシダーゼ阻害剤チアゾリジン系薬剤ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤インスリン製剤SGLT2阻害剤 等[11.1.1参照] | 低血糖の発現に注意すること。特に、スルホニルウレア剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、スルホニルウレア剤の減量を検討すること。 | 血糖降下作用が増強される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血糖降下作用が増強される薬剤β-遮断剤サリチル酸誘導体モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 等 | 低血糖の発現に注意すること。血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。 | 血糖降下作用が増強される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血糖降下作用が減弱される薬剤アドレナリン副腎皮質ステロイド甲状腺ホルモン 等 | 血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。 | 血糖降下作用が減弱される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 吸収遅延により効果が減弱される薬剤抗生物質経口避妊薬 等[16.7.3参照] | 併用する経口剤の作用の発現を遅らせるおそれがある。本剤と併用する場合、本剤を投与する少なくとも1時間前にこれらの薬剤を服用すること。 | 本剤の胃内容物排出遅延作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クマリン系薬剤ワルファリンカリウム[16.7.2参照] | ワルファリンのtmaxが約2時間遅延したとの報告がある。ときに出血をともなうINR増加が報告されている。 | 本剤の胃内容物排出遅延作用による。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| HMG-CoA還元酵素阻害剤[16.7.1参照] | ロバスタチン(国内未承認)のAUCが40%、Cmaxが28%低下し、tmaxが4時間遅延したとの報告がある。 | 本剤の胃内容物排出遅延作用による。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 低血糖(54.2%)
スルホニルウレア剤との併用により、低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、知覚異常等)を起こすことがある。低血糖症状が認められた場合、本剤あるいは併用している経口糖尿病用薬を一時的に中止するか、あるいは減量するなど慎重に投与すること。
また、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合は、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時はブドウ糖を投与すること。[8.6、8.7、9.1.4、10.2、17.1.1、17.1.2参照]
11.1.2 腎不全(頻度不明)
腎障害が知られている薬剤を使用している患者又は脱水状態に至る悪心・嘔吐・下痢等の症状のある患者において、急性腎障害、慢性腎不全の悪化、クレアチニン上昇、腎機能障害があらわれ透析を必要とする例が報告されている。
11.1.3 急性膵炎(0.8%)
急性膵炎に特徴的な症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)に注意すること。膵炎と診断された場合には、本剤を再投与しないこと。非常にまれであるが、壊死性又は出血性膵炎あるいは死亡に至るなどの致命的な経過をたどった症例が報告されている。[8.3、8.4、9.1.2参照]
11.1.4 アナフィラキシー反応、血管浮腫(頻度不明)
11.1.5 腸閉塞(頻度不明)
高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止すること。[9.1.3参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
| 精神神経系 | 頭痛 | 浮動性めまい、味覚異常 | 傾眠 | |
| 消化器 | 悪心(28.3%)、便秘(10.8%)、食欲減退(16.3%)、嘔吐、腹部不快感(11.6%)、腹部膨満、下痢 | 消化不良、上腹部痛、胃炎、十二指腸炎、逆流性食道炎 | 鼓腸、おくび、下腹部痛 | 胃排出遅延 |
| 肝機能異常 | ||||
| 腎臓 | 血中クレアチニン増加 | |||
| 代謝異常 | 血糖値低下(24.7%) | 体重減少 | 脱水 | |
| 皮膚 | 発疹、じん麻疹 | 多汗症、全身性そう痒症、斑状皮疹、丘疹、脱毛症 | ||
| 注射部位 | 注射部位紅斑、注射部位そう痒感 | 注射部位不快感、注射部位疼痛、注射部位発疹、注射部位湿疹 | 注射部位出血、注射部位腫脹 | |
| その他 | 倦怠感、冷感、胸部不快感 | 脱力感、CK上昇 | 神経過敏・緊張 |
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