がん疼痛・慢性疼痛治療剤
| 一般名 |
トラマドール塩酸塩
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|---|---|
| 製造/販売 | 日本新薬 / ファイザー(販売提携) |
| 剤形/規格 |
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本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
アルコール、睡眠剤、鎮痛剤、オピオイド鎮痛剤又は向精神薬による急性中毒患者[中枢神経抑制及び呼吸抑制を悪化させるおそれがある。]
モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中の患者、又は投与中止後14日以内の患者(「相互作用」の項参照)
治療により十分な管理がされていないてんかん患者[症状が悪化するおそれがある。]
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛
疼痛を伴う各種癌
慢性疼痛
通常、成人にはトラマドール塩酸塩として1日100〜300mgを4回に分割経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。ただし1回100mg、1日400mgを超えないこととする。
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
本剤を投与した際に、悪心、嘔吐、便秘等の症状があらわれることがある。悪心・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、便秘に対する対策として緩下剤の併用を考慮し、本剤投与時の副作用の発現に十分注意すること。
眠気、めまい、意識消失が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。なお、意識消失により自動車事故に至った例も報告されている。
鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意すること。
オピオイド鎮痛剤を投与中の患者[痙攣閾値の低下や呼吸抑制の増強を来すおそれがある(「相互作用」の項参照)。]
腎障害又は肝障害のある患者[高い血中濃度が持続し、作用及び副作用が増強するおそれがあるので、患者の状況を考慮し、投与間隔を延長するなど慎重に投与すること(「薬物動態」の項参照)。]
てんかんのある患者、痙攣発作を起こしやすい患者又は痙攣発作の既往歴のある患者[痙攣発作を誘発することがあるので、本剤投与中は観察を十分に行うこと。]
薬物乱用又は薬物依存傾向のある患者[依存性を生じやすい。]
呼吸抑制状態にある患者[呼吸抑制を増強するおそれがある。]
脳に器質的障害のある患者[呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を来すおそれがある。]
オピオイド鎮痛剤に対し過敏症の既往歴のある患者
ショック状態にある患者[循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。]
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
徴候、症状
中毒による典型的な症状は、縮瞳、嘔吐、心血管虚脱、昏睡に至る意識障害、痙攣、呼吸停止に至る呼吸抑制等が報告されている。
処置
緊急処置として、気道を確保し、症状に応じた呼吸管理と循環の管理を行うこと。本剤摂取後2時間以内の場合、胃内容物の吸引、胃洗浄あるいは活性炭投与等の処置が有効である。また、呼吸抑制に対してはナロキソンの投与、痙攣に対してはジアゼパムの静脈内投与を行うこと(ナロキソンは動物実験で痙攣を増悪させるとの報告がある)。本剤は透析によってはほとんど除去されず、急性中毒に対して、解毒のための血液透析、あるいは血液濾過のみの治療は不適切である。
薬剤交付時
本剤の投与にあたっては、具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を十分に説明し、本剤の目的以外への使用をしないように指導するとともに、本剤を子供の手の届かないところに保管するよう指導すること。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
光によりカプセルが退色することがあるが、内容物に影響はない。
本剤は主として肝代謝酵素CYP2D6及びCYP3A4により代謝される。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| モノアミン酸化酵素阻害剤 セレギリン塩酸塩エフピー | 外国において、セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)を含む中枢神経系(攻撃的行動、固縮、痙攣、昏睡、頭痛)、呼吸器系(呼吸抑制)及び心血管系(低血圧、高血圧)の重篤な副作用が報告されている。モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中の患者及び投与中止後14日以内の患者には投与しないこと。また、本剤投与中止後にモノアミン酸化酵素阻害剤の投与を開始する場合には、2〜3日間の間隔をあけることが望ましい。 | 相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| オピオイド鎮痛剤 中枢神経抑制剤 フェノチアジン系薬剤、催眠鎮静剤等 | 痙攣閾値の低下や呼吸抑制の増強を来すおそれがある。 | 本剤と相加的に作用が増強されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 三環系抗うつ剤 セロトニン作用薬 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等 | セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがある。また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある。 | 相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| リネゾリド | セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがある。 また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある。 | リネゾリドの非選択的、可逆的モノアミン酸化酵素阻害作用により、相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アルコール | 呼吸抑制が生じるおそれがある。 | 本剤と相加的に作用が増強されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| カルバマゼピン | 同時あるいは前投与で本剤の鎮痛効果を下げ作用時間を短縮させる可能性がある。 | 本剤の代謝酵素が誘導されるため。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| キニジン | 相互に作用が増強するおそれがある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジゴキシン | 外国において、ジゴキシン中毒が発現したとの報告がある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クマリン系抗凝血剤 ワルファリン | 外国において、出血を伴うプロトロンビン時間の延長、斑状出血等の抗凝血作用への影響がみられたとの報告がある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| オンダンセトロン塩酸塩水和物 | 本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがある。 | 本剤の中枢におけるセロトニン作用が抑制されると考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ブプレノルフィン、ペンタゾシン等 | 本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがある。また、退薬症候を起こすおそれがある。 | 本剤が作用するμ-オピオイド受容体の部分アゴニストであるため。 |
がん疼痛を対象とした安全性評価対象例267例中、副作用は181例(67.8%)に認められた。主なものは、便秘(30.0%)、悪心(29.2%)、嘔吐(19.5%)、傾眠(18.7%)、食欲減退(9.4%)、浮動性めまい(8.6%)及び頭痛(6.4%)であった。
慢性疼痛を対象とした安全性評価対象例762例中、副作用は650例(85.3%)に認められた。主なものは、便秘(50.8%)、悪心(49.2%)、傾眠(29.5%)、嘔吐(19.0%)、浮動性めまい(18.5%)、口渇(9.3%)、食欲減退(6.6%)、頭痛(6.2%)、倦怠感(5.6%)であった。(承認時)
ショック、アナフィラキシー(頻度不明*)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、気管支痙攣、喘鳴、血管神経性浮腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
痙攣(頻度不明*)
痙攣があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
依存性(頻度不明*)
長期使用時に、耐性、精神的依存及び身体的依存が生じることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止すること。本剤の中止又は減量時において、激越、不安、神経過敏、不眠症、運動過多、振戦、胃腸症状、パニック発作、幻覚、錯感覚、耳鳴等の退薬症候が生じることがあるので、適切な処置を行うこと。また、薬物乱用又は薬物依存傾向のある患者では、厳重な医師の管理下に、短期間に限って投与すること。
意識消失(頻度不明*)
意識消失があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
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| 5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明* | |
| 呼吸器 | 呼吸困難、口腔咽頭痛、咽喉乾燥 |
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| 循環器 | 血圧上昇、ほてり、血圧低下、動悸 | 起立性低血圧、不整脈、顔面蒼白、胸内苦悶、頻脈、徐脈 |
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| 血液凝固系 | 好中球増加、好酸球増加・減少、リンパ球減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、赤血球減少、白血球増加、血小板減少 | |||
| 精神神経系 | 傾眠、浮動性めまい、頭痛 | 振戦、不眠症 | 譫妄、幻覚、鎮静、体位性めまい、睡眠障害、不随意性筋収縮、感覚鈍麻、味覚異常、記憶障害、健忘、ジスキネジー、眼振、回転性めまい、疲労、耳鳴、悪夢、気分変動、うつ病、落ち着きのなさ、不安 | 頭重感、興奮、虚脱感、両手のしびれ感、ふらつき感、不快感、錯感覚、協調運動異常、失神、錯乱、活動低下・亢進、行動障害、知覚障害、言語障害 |
| 消化器 | 悪心、嘔吐、便秘、食欲減退 | 下痢、腹部不快感、上腹部痛 | 口内乾燥、口内炎、消化不良、腹痛、胃炎、口唇炎、胃食道逆流性疾患、口の錯感覚、腹部膨満感 | 腹鳴 |
| 肝臓 | AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加 | Al-P増加、LDH増加 |
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| 皮膚 | 多汗症、そう痒症、湿疹 | 発疹、全身性そう痒症、蕁麻疹、薬疹、冷汗 |
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| 腎臓及び尿路系 | 排尿困難 | 尿糖陽性、尿蛋白陽性、尿潜血陽性、クレアチニン増加、BUN増加、頻尿、尿量減少、尿閉 |
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| 代謝異常 | 尿酸増加、トリグリセリド増加 | |||
| その他 | 口渇、倦怠感 | 無力症、異常感 | CK(CPK)増加、熱感、脱水、視力障害、背部痛、関節痛、四肢痛、筋骨格硬直、浮腫、末梢性浮腫、疼痛、胸部不快感、転倒、易刺激性、悪寒、発熱、霧視 | 冷感、散瞳 |
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副作用の重篤度
投稿日: 2014/12/25 参考率: 100%(2人/2人)
整形外科/50代/処方経験あり