本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される患者についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族等に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
多発性骨髄腫
通常、成人にはデキサメタゾンとして40mgを1日1回、4日間経口投与する。なお、投与量及び投与日数は、患者の状態及び併用する他の抗悪性腫瘍剤により適宜減ずる。
本剤の投与により、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、糖尿病、精神障害等の重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、次の注意が必要である。
投与中は副作用の出現に対し、常に十分な配慮と観察を行うこと。
本剤の投与中止後、離脱症状があらわれることがあるので、注意すること。
副腎皮質ホルモン剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎があらわれることがある。本剤の投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること。異常が認められた場合には、本剤の減量を考慮し、抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。なお、投与開始前にHBs抗原陰性の患者において、B型肝炎ウイルスによる肝炎を発症した症例が報告されている。
投与中の患者、又は投与中止後6ヵ月以内の患者では、免疫機能が低下していることがあり、生ワクチンの接種により、ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、これらの患者には生ワクチンを接種しないこと。
特に、本剤投与中に水痘又は麻疹に感染すると、致命的な経過をたどることがあるので、次の注意が必要である。
本剤投与前に水痘又は麻疹の既往や予防接種の有無を確認すること。
水痘又は麻疹の既往のない患者においては、水痘又は麻疹への感染を極力防ぐよう常に十分な配慮と観察を行うこと。感染が疑われる場合や感染した場合には、直ちに受診するよう指導し、適切な処置を講ずること。
水痘又は麻疹の既往や予防接種を受けたことがある患者であっても、本剤投与中は、水痘又は麻疹を発症する可能性があるので留意すること。
感染症の患者[免疫抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。]
糖尿病の患者[糖新生促進作用(血糖値上昇)等により、糖尿病が増悪するおそれがある。]
骨粗鬆症の患者[骨形成抑制作用及びカルシウム代謝の障害を起こすことにより、骨粗鬆症が増悪するおそれがある。]
腎不全の患者[症状が増悪するおそれがある。]
甲状腺機能低下のある患者[血中半減期の延長がみられ、副作用が起こりやすい。]
肝硬変の患者[慢性肝疾患患者では、血中半減期の延長がみられ、副作用が起こりやすい。]
脂肪肝の患者[脂質代謝に影響し、脂肪肝が増悪するおそれがある。]
脂肪塞栓症の患者[脂質代謝に影響し、脂肪塞栓症が増悪するおそれがある。]
重症筋無力症の患者[使用当初、一時症状が増悪することがある。]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
分割後
本剤を分割後は、光を避けて保存し、1ヵ月以内に使用すること。
副腎皮質ホルモン剤を投与中の患者にワクチンを接種して神経障害、抗体反応の欠如が起きたとの報告がある。
本剤は、主に肝代謝酵素チトクロームP450 3A4(CYP3A4)により代謝される。また、CYP3A4の誘導作用をもつ。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| デスモプレシン酢酸塩水和物 ミニリンメルト(男性における夜間多尿による夜間頻尿) | 低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| バルビツール酸誘導体:フェノバルビタールリファンピシンカルバマゼピン | 本剤の作用が減弱することが報告されている。 | これらの薬剤はチトクロームP450を誘導し、本剤の代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェニトイン | 本剤の作用が減弱することが報告されている。 | フェニトインがチトクロームP450を誘導し、本剤の代謝が促進される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェニトイン | 併用により、フェニトインの血中濃度が上昇又は低下するとの報告がある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| サリチル酸誘導体:アスピリン | 併用時に本剤を減量すると、血清中のサリチル酸誘導体の濃度が増加し、サリチル酸中毒を起こすことが報告されている。 | 本剤はサリチル酸誘導体の腎排泄と肝代謝を促進し、血清中のサリチル酸誘導体の濃度が低下する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 抗凝血剤:ワルファリンカリウム | 抗凝血剤の作用を減弱させることが報告されている。 | 本剤は血液凝固促進作用がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 経口糖尿病用剤:アセトヘキサミドインスリン製剤 | これらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている。 | 本剤は肝臓での糖新生を促進し、末梢組織での糖利用を阻害する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血圧降下剤 | これらの薬剤の作用を減弱させるおそれがある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 利尿剤 | これらの薬剤の作用を減弱させるおそれがある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 利尿剤(カリウム保持性利尿剤を除く):トリクロルメチアジドフロセミド | 併用により、低カリウム血症があらわれることがある。 | 本剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| シクロスポリン | 副腎皮質ホルモン剤の大量投与により、併用したシクロスポリンの血中濃度が上昇するとの報告がある。 | シクロスポリンの代謝を阻害する。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| マクロライド系抗生物質:エリスロマイシンアゾール系抗真菌剤:イトラコナゾール | 副腎皮質ホルモン剤の作用が増強されるとの報告がある。 | 本剤の代謝が阻害されるおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| HIVプロテアーゼ阻害剤:サキナビルリトナビルインジナビル | 本剤のAUCの上昇あるいはこれらの薬剤のAUCが低下するおそれがある。 | チトクロームP450に対して競合する可能性がある。また、本剤がチトクロームP450を誘導することより、これらの薬剤の代謝が促進される可能性がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| エフェドリン | 副腎皮質ホルモン剤の代謝が促進され、血中濃度が低下するとの報告がある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| サリドマイド | 海外において、多発性骨髄腫における本剤との併用により、中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)が発現したとの報告がある。 | 機序不明 |
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした外国第III相臨床試験(MM-010試験)本剤単独投与群の安全性評価症例において、175例中151例(86.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、不眠症39例(22.3%)、無力症25例(14.3%)、疲労22例(12.6%)、錯感覚21例(12.0%)、筋痙攣19例(10.9%)、高血糖18例(10.3%)であった。(承認時)
誘発感染症、感染症の増悪(頻度不明)
誘発感染症、感染症の増悪があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
続発性副腎皮質機能不全、糖尿病(頻度不明)
消化性潰瘍、消化管穿孔、膵炎(頻度不明)
精神変調、うつ状態、痙攣(頻度不明)
骨粗鬆症、大腿骨及び上腕骨等の骨頭無菌性壊死、ミオパチー、脊椎圧迫骨折、長骨の病的骨折(頻度不明)
緑内障、後嚢白内障(頻度不明)
連用により眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障を来すことがあるので、定期的に検査をすることが望ましい。
血栓塞栓症(頻度不明)
本剤の投与により次のような症状又は異常があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 10%未満 | 頻度不明 | |
| 血液 | 好中球減少症、血小板減少症、貧血 | 白血球増多 | |
| 血管 | 深部静脈血栓症、血管浮腫 | ||
| 内分泌系 | 月経異常 | ||
| 代謝異常 | 高血糖 | 末梢性浮腫、体重増加、体重減少、浮腫、食欲不振 | 低カリウム性アルカローシス、満月様顔貌、野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝、食欲亢進 |
| 精神・神経系 | 不眠症、錯感覚 | 味覚異常、末梢性ニューロパチー、頭痛、浮動性めまい、うつ病、振戦、気分動揺、錯乱状態、傾眠、不安 | 多幸症、めまい |
| 眼 | 霧視 | 網膜障害、眼球突出 | |
| 呼吸器 | 気管支炎 | ||
| 消化器 | 便秘、腹痛、消化不良、下痢 | 悪心・嘔吐、胃痛、胸やけ、腹部膨満感、口渇 | |
| 皮膚 | 紅斑 | 発疹、ざ瘡、多毛、脱毛、色素沈着、皮下溢血、紫斑、線条、そう痒、発汗異常、顔面紅斑、創傷治癒障害、皮膚脆弱化、脂肪織炎 | |
| 筋・骨格系 | 筋痙攣 | 筋脱力、筋痛 | 関節痛 |
| 腎 | ステロイド腎症 | ||
| その他 | 無力症、疲労 | 発熱、粘膜の炎症 | 血圧上昇、精子数及び精子運動性の異常、しゃっくり |
レナデックス錠4mg 172.1円/錠
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。