本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
<適応菌種>
アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、クラミジア属、マイコプラズマ属
<適応症>
深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、子宮頸管炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
成人にはアジスロマイシンとして、2g(力価)を用時水で懸濁し、空腹時に1回経口投与する。
アナフィラキシー・ショックがあらわれるおそれがあるので、アレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと。
ショック、アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので注意すること。
本剤の使用にあたっては、事前に患者に対して、次の点を指導すること。
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群が疑われる症状[発疹に加え、粘膜(口唇、眼、外陰部)のびらんあるいは水ぶくれ等の症状]があらわれた場合には、ただちに医師に連絡すること。
意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
本剤は組織内半減期が長いことから、投与終了数日後においても副作用が発現する可能性があるので、観察を十分に行うなど注意すること。
他のマクロライド系又はケトライド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
高度な肝機能障害のある患者[肝機能を悪化させるおそれがあるので、慎重に投与すること。]
心疾患のある患者[QT延長、心室性頻脈(Torsades de pointesを含む)をおこすことがある。]
遺伝性フルクトース不耐症、グルコース・ガラクトース吸収不全症又はスクラーゼ・イソマルターゼ欠損症の患者[本剤は白糖(約20g)を含む。]
症状
アジスロマイシンの過量投与により聴力障害をおこす可能性がある。
処置
異常が認められた場合には、症状に応じて対症療法等の適切な処置を行うこと。
服用時
本剤は用時水で懸濁し、懸濁後は速やかに服用すること。
ラットの受胎能及び一般生殖能試験(雄2ヵ月以上、雌2週間以上投与)で、20mg/kg投与の雄雌に受胎率の低下が認められた。
動物(ラット、イヌ)に20〜100mg/kgを1〜6ヵ月間反復投与した場合に様々な組織(眼球網膜、肝臓、肺臓、胆嚢、腎臓、脾臓、脈絡叢、末梢神経等)にリン脂質空胞形成がみられたが、投薬中止後消失することが確認されている。なお、リン脂質空胞はアジスロマイシン−リン脂質複合体を形成することによる組織像と解釈され、その毒性学的意義は低い。
アジスロマイシンとの因果関係は不明だが、心悸亢進、間質性腎炎、肝壊死、運動亢進があらわれたとの報告がある。
本製剤の用法・用量に関連する使用上の注意において、「治療に必要な投与回数は1回とする」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ワルファリン | 国際標準化プロトロンビン比上昇の報告がある 。 | マクロライド系薬剤はワルファリンの肝臓における主たる代謝酵素であるチトクロームP450を阻害するので、ワルファリンの作用が増強することがあるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
シクロスポリン | シクロスポリンの最高血中濃度の上昇及び血中濃度半減期の延長の報告がある。 | マクロライド系薬剤はシクロスポリンの主たる代謝酵素であるチトクロームP450を阻害するので、シクロスポリンの血中濃度が上昇することがあるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
メシル酸ネルフィナビル | アジスロマイシン600mg錠を1200mg(力価)投与した時、アジスロマイシンの濃度・時間曲線下面積(AUC)及び平均最高血中濃度が上昇した報告がある。 | 機序不明 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジゴキシン | 本剤との併用により、ジゴキシン中毒の発現リスク上昇の報告がある。 | P-糖蛋白質を介したジゴキシンの輸送が阻害されることにより、ジゴキシンの血中濃度が上昇することを示唆した報告があるが、本剤での機序の詳細は明らかではない。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ベネトクラクス | ベネトクラクスの効果が減弱するおそれがあるので、併用を避けることが望ましい。 | 機序は不明であるが、ベネトクラクスの血中濃度が低下する可能性がある。 |
テオフィリン、ミダゾラム、トリアゾラム、カルバマゼピン、フェニトイン[これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。]
エルゴタミン含有製剤[四肢の虚血をおこすことがある。]
承認時の臨床試験1608例において、452例(28.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢(264例、16.4%)、悪心(64例、4.0%)、腹痛(50例、3.1%)、頭痛(26例、1.6%)、腹部膨満(15例、0.9%)、ALT(GPT)増加(15例、0.9%)、嘔吐(14例、0.9%)等であった。
市販後の特定使用成績調査498例において、52例(10.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢(44例、8.8%)、悪心(4例、0.8%)等であった。(再審査終了時)
ショック 注) 、アナフィラキシー 注)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、喘鳴、血管浮腫等)をおこすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN) 注) 、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 注) 、急性汎発性発疹性膿疱症 注)
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。これらの副作用はアジスロマイシンの投与終了から1週間以内に発現しているので、投与終了後も注意すること。
薬剤性過敏症症候群
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
肝炎 注) 、肝機能障害 注) 、黄疸 注) 、肝不全 注)
肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
急性腎障害 注)
急性腎障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎 注) 、出血性大腸炎 注)
偽膜性大腸炎、出血性大腸炎等の重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢、血便等があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎 注) 、好酸球性肺炎 注)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
QT延長 注) 、心室性頻脈(Torsades de pointesを含む) 注)
QT延長、心室性頻脈(Torsades de pointesを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。なお、QT延長等の心疾患のある患者には特に注意すること。
白血球減少(0.1%)、顆粒球減少 注) 、血小板減少 注)
白血球減少、顆粒球減少、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症 注)
横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
発現頻度は、承認時の臨床試験の結果に基づく。
注:自発報告のため頻度不明
以下のような症状があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
0.2%以上 | 0.2%未満 | 頻度不明 注) | |
皮膚 | そう痒症、発疹、蕁麻疹 | 寝汗、多汗症、皮膚乾燥 | 光線過敏性反応、紅斑、水疱、皮膚剥離、アトピー性皮膚炎増悪、多形紅斑、皮膚変色、脱毛 |
血液 | 血小板数増加、好酸球数増加 | 白血球数減少 | 貧血、好塩基球数増加、リンパ球数減少、ヘモグロビン減少、白血球数増加、プロトロンビン時間延長、顆粒球数減少、血小板数減少 |
血管障害 | 潮紅 | 血栓性静脈炎 | |
循環器 | 動悸 | 血圧低下、血圧上昇 | |
肝臓 | ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、γ-GTP増加 | ALP増加、肝機能検査異常 | LDH増加、血中ビリルビン増加 |
腎臓 | 腎臓痛、排尿困難、尿潜血陽性、尿中蛋白陽性 | クレアチニン増加、BUN増加、頻尿 | |
消化器 | 悪心、下痢、腹痛、おくび、鼓腸放屁、消化不良、胃炎、腹部不快感、腹部膨満、嘔吐 | アフタ性口内炎、口腔内不快感、口唇炎、口内炎、口内乾燥、黒毛舌、舌炎、唾液増加、便秘、食欲不振 | 舌変色、口・舌のしびれ感、舌苔、口唇のあれ、腹鳴、膵炎、消化管障害 |
精神・神経系 | 頭痛、めまい、味覚異常 | 不眠症 | 失神、痙攣、振戦、激越、傾眠、感覚鈍麻、嗅覚異常、無嗅覚、神経過敏、不安、錯感覚、攻撃性、灼熱感 |
感染症 | カンジダ症、真菌感染 | β溶血性レンサ球菌感染、胃腸炎、咽頭炎、肺炎、皮膚感染 | 膣炎 |
眼 | 眼瞼浮腫、結膜炎、霧視 | ぶどう膜炎、眼痛、視力障害 | |
筋骨格系 | 頚部痛 | 関節腫脹、筋肉痛、四肢痛、背部痛 | 関節痛 |
呼吸器 | 鼻出血 | アレルギー性鼻炎、くしゃみ、ラ音、気管障害、呼吸困難、低音性連続性ラ音、鼻部障害、鼻閉、鼻漏、羊鳴性気管支音、痰貯留 | 咳嗽、嗄声 |
耳 | 耳痛 | 難聴、耳鳴、聴力低下、耳の障害 | |
生殖器 | 精巣痛、不正子宮出血 | 卵巣嚢腫 | |
代謝 | 血中カリウム増加、血中カリウム減少、血中重炭酸塩減少、脱水、低カリウム血症 | ||
その他 | 倦怠感、無力症、浮腫 | 咽喉頭異物感、胸痛、局所腫脹、粘膜異常感覚、発熱、疼痛 | 低体温、気分不良、口渇、浮遊感、不整脈、疲労 |
発現頻度は、承認時の臨床試験の結果に基づく。
注:他剤型の臨床試験又は本剤の自発報告で発現しているため頻度不明
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