本剤の成分に
バルプロ酸ナトリウム投与中の患者〔点滴用製剤との併用により、バルプロ酸の血中濃度が低下し、てんかんの発作が再発することがある。(「相互作用」の項参照)〕
リドカイン等のアニリド系局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者(添付の懸濁用液はリドカインを含有している。)
<適応菌種>
イミペネムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、シュードモナス属、緑膿菌、バークホルデリア・セパシア、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属
<適応症>
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎
通常成人にはイミペネムとして、1日0.5〜1.0g(力価)を2回に分割し、筋肉内へ注射する。
なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。
筋肉内注射に際しては、本剤0.5g(力価)/0.5gに対し添付の日局リドカイン注射液(0.5w/v%)を2mL用い、よく振盪して懸濁する。
本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
痙攣、呼吸停止、意識障害、呼吸抑制等の中枢神経症状があらわれることがある。特に、腎障害や中枢神経障害のある患者で起こりやすいので、これらの患者に投与するにあたっては減量等を考慮すること。
重症・難治性感染症の場合には、点滴用製剤を用いること。
腎障害患者への投与
クレアチニン−クリアランスが20mL/min未満の患者についての有効性、安全性は試験されていない。
血清クレアチニン値そのものは腎機能の正確な指標とはならない。クレアチニン−クリアランスは次の式により算出される。
クレアチニン−クリアランス(男性)=[(体重kg)×(140−年齢)]/[72×(血清クレアチニン値mg/dL)]
クレアチニン−クリアランス(女性)=0.85×上記算出値
カルバペネム系、ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
高度の腎障害を有する患者〔痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。〕
高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者〔ビタミンK欠乏症状があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。〕
てんかんの既往歴あるいは中枢神経系障害を有する患者〔痙攣、意識障害等の中枢神経症状が起こりやすい。〕
肝障害のある患者〔肝障害が悪化するおそれがある。〕
投与経路
静脈内注射が困難な場合にのみ使用すること。
投与時
筋肉内注射にあたっては、下記の点に注意すること。
筋肉内投与は、やむを得ない場合にのみ必要最小限に行うこと。
同一部位への反復注射は行わないこと。
神経走行部位を避けること。
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
筋注用に懸濁した溶液は静脈内への注射は絶対に避けること。
注射部位に疼痛、硬結をみることがある。
調製方法
懸濁液調製後は速やか(30分以内)に使用すること。
調製時
添付リドカイン注射液は、ワンポイントカットアンプルであるが、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。
本剤投与患者において、イミペネムが分解され、尿が赤褐色を呈することがある。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| バルプロ酸ナトリウム:デパケン | 点滴用製剤との併用により、バルプロ酸の血中濃度が低下し、てんかんの発作が再発することがある。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ガンシクロビル | 痙攣の発現が報告されている。 | 機序不明 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ファロペネムナトリウム | ファロペネムナトリウムの血中濃度が上昇するおそれがある。 | 動物実験(ラット)において、シラスタチンにより代謝酵素(DHP-I)が阻害され、ファロペネムナトリウムの血中濃度が上昇することが報告されている。 |
臨床試験(治験)
総症例267例中本剤の影響として報告された副作用は7例(2.6%)、13件でみられた。その主なものは発疹1件(0.4%)、下痢4件(1.5%)、嘔気1件(0.4%)、嘔吐1件(0.4%)であった。また、臨床検査値異常としてはAST(GOT)上昇13件、ALT(GPT)上昇15件、Al-P上昇4件、好酸球増多9件等がみられた。
使用成績調査(再審査終了時)
総症例3,382例中、副作用(副作用と判定した臨床検査値異常を含む)は98例(2.90%)、144件に認められた。主なものは、ALT(GPT)上昇16件(0.47%)、AST(GOT)上昇15件(0.44%)、肝機能障害14件(0.41%)、Al-P上昇7件(0.21%)、BUN上昇7件(0.21%)、赤血球減少7件(0.21%)、ヘマトクリット値減少7件(0.21%)、ヘモグロビン減少6件(0.18%)、好酸球増多(症)5件(0.15%)、食欲不振4件(0.12%)、注射部疼痛4件(0.12%)等であった。なお中枢神経系の副作用として全身痙攣1件(0.03%)、痙攣1件(0.03%)が認められた。
次のような副作用があらわれることがあるので、症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
痙攣(0.1%未満、点滴用で0.14%)、呼吸停止(頻度不明)、意識障害(頻度不明)注) 、意識喪失(頻度不明)、呼吸抑制(頻度不明)、錯乱(頻度不明)、不穏(頻度不明)
中枢神経症状があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。特に、腎障害や中枢神経障害のある患者に起こりやすいので、投与する場合には注意すること。
ショック、アナフィラキシー(ともに頻度不明)
初期症状として、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗又は呼吸困難、全身潮紅、浮腫等があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(ともに頻度不明)
重篤な肝障害
劇症肝炎(頻度不明)、肝炎(頻度不明)等の重篤な肝障害、肝不全(頻度不明)、黄疸(頻度不明)注)があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと。
気管支痙攣(頻度不明)注) 、間質性肺炎(頻度不明)、PIE症候群(頻度不明)
喘息発作及び誘発等の気管支痙攣、また発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
汎血球減少症(頻度不明)注) 、骨髄抑制(頻度不明)注) 、無顆粒球症(頻度不明)、溶血性貧血(頻度不明)
重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと。
急性腎障害、尿崩症(ともに頻度不明)
重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと。
偽膜性大腸炎(頻度不明)注)
血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
注)点滴用で0.1%未満
次のような症状又は異常があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | |
| 過敏症 | 発疹、 |
蕁麻疹、潮紅、紅斑 | |
| 血液 | 顆粒球減少、好酸球増多、好塩基球増多、リンパ球増多、血小板減少・増多、赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少 | ||
| 肝臓 | AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、LDH上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、尿ウロビリノーゲン上昇 | ||
| 腎臓 | 乏尿、血尿 | BUN上昇 | 血清クレアチニン上昇、頻尿 |
| 消化器 | 血中アミラーゼ上昇、舌変色 | 腹痛、下痢、嘔気、嘔吐、食欲不振 | |
| 精神神経系 | 幻覚、譫妄、激越、ジスキネジア | しびれ感、振戦 | |
| 菌交代症 | 口内炎、カンジダ症 | ||
| ビタミン欠乏症 | ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等) | ||
| その他 | 注射部位の疼痛及び硬結 | 頭痛、倦怠感、浮腫、胸痛、味覚異常、血清ナトリウム低下、血清カリウム上昇・低下 |
(注釈)その他の副作用の項に記載の頻度は、原則として点滴用製剤、筋注用製剤各々の調査結果のうち、発現頻度の高い方の値に基づく。
チエナム筋注用0.5g 1296円/瓶
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。
使いやすさ
投稿日: 2015/03/18 参考率: 100%(1人/1人)
麻酔科/60代/処方経験あり