<効能共通>
2.1 本剤の成分又はアミド型局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者
<術後鎮痛>
2.2 大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある。]
2.3 注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある。]
2.4 敗血症の患者[敗血症性の髄膜炎を生じるおそれがある。]
○術後鎮痛
○伝達麻酔
<術後鎮痛>
手術終了時に、通常、成人に6mL/時(レボブピバカインとして15mg/時)を硬膜外腔に持続投与する。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により4〜8mL/時の範囲で適宜増減する。
<伝達麻酔>
通常、成人に1回40mL(レボブピバカインとして100mg)までを目標の神経あるいは神経叢近傍に投与する。複数の神経ブロックを必要とする場合でも、総量として60mL(レボブピバカインとして150mg)を超えないこと。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により適宜減量する。
<効能共通>
8.1 まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。なお、事前の静脈路確保が望ましい。[11.1.1、11.1.2参照]
8.2 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。[11.1.1、11.1.2、13.1参照]
8.2.1 患者のバイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸数等)及び全身状態の観察を十分に行うこと。
8.2.2 できるだけ必要最少量にとどめること。追加投与及び持続投与時には過量投与時の発現症状に注意すること。
8.2.3 注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。血管内へ誤投与された場合、中毒症状が発現することがあり、また、くも膜下腔へ誤投与された場合、全脊椎麻酔となることがある。
8.2.4 前投薬や術中に投与した鎮静剤、鎮痛剤等による呼吸抑制が発現することがあるので、これらの薬剤を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい。
なお、高齢者、小児、全身状態が不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと。[9.1.1、9.7、9.8参照]
8.3 注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。[11.1.3参照]
<術後鎮痛>
8.4 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
8.4.1 試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。
8.4.2 麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意すること。
<伝達麻酔>
8.5 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
8.5.1 注射の速度はできるだけ遅くすること。
8.5.2 血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
<効能共通>
9.1.1 全身状態が不良な患者
生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。[8.2.4参照]
9.1.2 心刺激伝導障害のある患者
症状を悪化させることがある。
<術後鎮痛>
9.1.3 中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄・脊椎に腫瘍又は結核等のある患者
硬膜外麻酔により病状が悪化するおそれがある。
9.1.4 血液凝固障害や抗凝血剤投与中の患者
やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと。出血しやすく、血腫形成や脊髄への障害を起こすことがある。
9.1.5 脊柱に著明な変形のある患者
やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと。脊髄や神経根の損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難である。
9.1.6 腹部腫瘤のある患者
投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。仰臥位性低血圧を起こすことがあり、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがある。
9.1.7 重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者
患者の全身状態の観察を十分に行うこと。血圧低下や病状の悪化が起こりやすい。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
中毒症状が発現しやすくなる。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
中毒症状が発現しやすくなる。
9.5 妊婦
<効能共通>
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
<術後鎮痛>
9.5.2 妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること。妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがある。
<伝達麻酔>
9.5.3 子宮頸管傍ブロックへは使用しないこと。子宮頸管傍ブロックにより胎児の徐脈を起こすことが知られている。[5.参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)において、乳汁移行性が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。[8.2.4参照]
9.8 高齢者
投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等慎重に投与すること。一般に麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している。[8.2.4、16.1.4参照]
13.1 症状
局所麻酔剤の過量投与や血管内誤投与又は非常に急速な吸収等による血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に血管内誤投与となった場合には、数分以内に発現することがある。その症状は、主に中枢神経系及び心血管系の症状としてあらわれる。
また、腕神経叢ブロックや坐骨神経ブロック等の伝達麻酔や硬膜外麻酔で、蘇生術が困難及び死亡に至った報告がある。[8.2、11.1.2参照]
13.1.1 中枢神経系の症状
初期症状として視覚障害、聴覚障害、口周囲の知覚麻痺、眩暈、ふらつき、不安、刺痛感、感覚異常があらわれる。また、構音障害、筋硬直、攣縮等があらわれる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。
13.1.2 心血管系の症状
血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。
これらの心血管系の症状は、鎮静下又は全身麻酔下において、中枢神経系症状を伴わずに発生することがある。
13.2 処置
振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。
14.1 薬剤投与時の注意
局所静脈内麻酔(Bier's block)として投与しないこと。
14.2 薬剤投与後の注意
アンプルを複数の患者に使用しないこと。また、残液は廃棄すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
球後麻酔、眼球周囲麻酔に際し、類薬(リドカイン塩酸塩等)で持続性の眼筋運動障害が発現することが報告されている。本邦における本剤での球後麻酔、眼球周囲麻酔に対する使用経験はない。
本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4及びCYP1A2で代謝される。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| CYP3A4阻害剤(ケトコナゾール、エリスロマイシン、リトナビル、サキナビル、ベラパミル塩酸塩等)及びCYP1A2阻害剤(シメチジン、フルボキサミン、キノロン系抗菌剤等) | 本剤の血中濃度が上昇することがある。 | 本剤の代謝には主にCYP3A4及びCYP1A2が関与しているため、CYP3A4及びCYP1A2阻害剤との併用で、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ジゴキシン | レボブピバカインによる中毒症状が発現しやすくなる。 | ラットを用いた研究で、ジゴキシンとの併用により、本剤のラセミ体であるブピバカインの中毒閾値が低下したとの報告がある。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アミド型局所麻酔剤 | 中毒症状が相加的に起こるおそれがある。 | 他の局所麻酔剤との併用で中毒症状が相加的に起こることが考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クラスIII抗不整脈剤(アミオダロン等) | 心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと。 | 作用が増強することが考えられる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 催眠鎮静剤(デクスメデトミジン塩酸塩等)、全身麻酔剤 | 鎮静・麻酔・鎮痛作用が増強し、血圧低下、心拍数低下、呼吸数低下などの症状があらわれるおそれがあるので、併用する場合には投与速度を減速するなど慎重に投与すること。抜管後に他の鎮静剤、鎮痛剤などと併用する場合は、鎮静効果が相加的に増強するおそれがあるので、本剤あるいは他の鎮静剤、鎮痛剤の投与量を減量するなどの注意が必要である。 | 相互に作用(鎮静・麻酔・鎮痛作用、循環動態への作用)を増強すると考えられる。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こすおそれがある。[7.2、8.1、8.2参照]
11.1.2 意識障害、振戦、痙攣(いずれも頻度不明)
意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがある。[8.1、8.2、13.1参照]
11.1.3 異常感覚、知覚・運動障害(いずれも頻度不明)
注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔及び術後鎮痛では膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。[7.2、8.3参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 1%以上5%未満 | 1%未満 | 頻度不明 | |
| 循環器系 | 血圧低下(23.5%) | 徐脈、洞性徐脈、上室性頻脈、心室性期外収縮、ST低下 | 狭心症、期外収縮、頻脈、高血圧、固有心室調律 | |
| 呼吸器系 | 鼻閉、呼吸抑制、酸素飽和度低下 | 喘息、呼吸困難、低換気、低酸素症、呼吸障害、肺出血 | ||
| 中枢・末梢系 | 感覚鈍麻 | 頭痛、頭部不快感、運動機能障害、運動障害、耳鳴 | 浮動性めまい、錯感覚、麻痺、感覚障害、傾眠、昏迷、失神、振戦、運動低下、脳浮腫、脳症 | |
| 消化器系 | 悪心、嘔吐 | 腹痛 | 便秘、下痢、便失禁、吐血 | |
| 血管系 | 出血、総蛋白減少 | 潮紅、静脈炎、末梢性虚血 | ||
| 泌尿器系 | 排尿困難、膀胱膨満 | 乏尿、尿失禁、尿閉、尿流量減少、アルブミン尿、血尿、無尿、ビリルビン尿 | ||
| 皮膚 | そう痒症、多汗症、発疹、紅斑性皮疹、水疱性皮膚炎 | |||
| 血液・リンパ系 | 白血球数減少、低カリウム血症、血液量減少、好塩基球数増加 | |||
| 精神神経系 | 悪寒 | 発熱、激越、不安、無感情、錯乱状態、幻覚 | ||
| 筋骨格筋系 | 背部痛、筋痙縮、筋力低下、四肢痛 | |||
| 肝臓 | AST/ALT/γ-GTP/ALPの増加 | 高ビリルビン血症 | ||
| 腎臓 | 尿検査異常 | |||
| その他 | 処置疼痛、胸痛、注射部位疼痛、疼痛、創部分泌、偶発的針穿刺 |
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