エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば、乳癌、子宮内膜癌)及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
乳癌の既往歴のある患者[乳癌が再発するおそれがある。]
血栓性静脈炎、肺塞栓症又はその既往歴のある患者[血栓形成傾向が増強するおそれがある。]
動脈性の血栓塞栓疾患(例えば、冠動脈性心疾患、脳卒中)又はその既往歴のある患者(「その他の注意」の項(3)(4)参照)
重篤な肝障害のある患者[代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある。]
診断の確定していない異常性器出血のある患者[出血が子宮内膜癌による場合は、癌の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
妊婦又は妊娠している可能性のある女性(分娩時の頸管軟化の目的で投与する場合を除く)(「妊婦・産婦・授乳婦等への投与」の項(1)参照)
更年期障害、腟炎(老人、小児及び非特異性)、子宮頸管炎並びに子宮腟部びらん、分娩時の頸管軟化
エストリオールプロピオン酸エステルとして、通常成人1回5〜10mgを1週ないし10日間ごとに皮下又は筋肉内注射する。分娩時の子宮頸管軟化には、通常1回10mgを筋肉内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
外国において、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を長期併用した女性では、乳癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなり、その危険性は併用期間が長期になるに従って高くなるとの報告があるので、本剤の投与にあたっては、患者に対し本剤のリスクとベネフィットについて十分な説明を行うとともに必要最小限の使用にとどめ、漫然と長期投与を行わないこと(「その他の注意」の項(2)参照)。
投与前に病歴、家族素因等の問診、乳房検診並びに婦人科検診
肝障害のある患者[代謝能の低下により、本剤の作用が増強することがある。]
子宮筋腫のある患者[子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。]
子宮内膜症のある患者[症状が増悪するおそれがある。]
心疾患・腎疾患又はその既往歴のある患者[ナトリウムや体液の貯留、高カルシウム血症により症状が増悪するおそれがある。]
てんかん患者[体液貯留を起こし、てんかんが増悪するおそれがある。]
糖尿病患者[糖尿病が増悪するとの報告があるので、十分管理を行いながら投与すること。]
骨成長が終了していない可能性がある患者、思春期前の患者(「小児等への投与」の項参照)
乳癌家族素因が強い患者、乳房結節のある患者、乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者[症状が増悪するおそれがある。]
術前又は長期臥床状態の患者[血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがある。]
全身性エリテマトーデスの患者[症状が増悪するおそれがある。]
投与経路
静脈内には投与しないこと。
投与方法
生理的月経の発現に障害を及ぼすような投与を避けること。
筋肉内注射時
筋肉内注射にあたっては組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に注意すること。
神経走行部位を避けること。
注射針を刺入した時、神経に当たったと思われるような激痛を訴えた場合には直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
繰り返し注射する場合には、例えば左右交互に注射するなど、注射部位を変えること。なお、乳・幼・小児には特に注意し、連用しないことが望ましい。
注射器の内筒を軽くひき、血液の逆流がないことを確かめて注射すること。
その他
アンプルカット時の異物混入を避けるため、アンプルのカット部分をエタノール綿等で清拭しカットすること。
ホルモン補充療法(HRT)と子宮内膜癌の危険性
卵胞ホルモン剤を長期間(約1年以上)使用した閉経期以降の女性では、子宮内膜癌になる危険性が対照群の女性と比較して高く、この危険性は、使用期間に相関して上昇し(1〜5年間で2.8倍、10年以上で9.5倍)、黄体ホルモン剤の併用により抑えられる(対照群の女性と比較して0.8倍)との疫学調査の結果が報告されている
HRTと乳癌の危険性
米国における閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(Women's Health Initiative(WHI)試験)の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、乳癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.24)との報告がある
英国における疫学調査(Million Women Study(MWS))の結果、卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を併用している女性では、乳癌になる危険性が対照群と比較して有意に高くなり(2.00倍)、この危険性は、併用期間が長期になるに従って高くなる(1年未満:1.45倍、1〜4年:1.74倍、5〜9年:2.17倍、10年以上:2.31倍)との報告がある
HRTと冠動脈性心疾患の危険性
米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して高い傾向にあり、特に服用開始1年後では有意に高くなる(ハザード比:1.81)との報告がある
HRTと脳卒中の危険性
米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.31)との報告がある
HRTと認知症の危険性
米国における65歳以上の閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(WHI Memory Study(WHIMS))の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:2.05)との報告がある
HRTと卵巣癌の危険性
卵胞ホルモン剤を長期間使用した閉経期以降の女性では、卵巣癌になる危険性が対照群の女性と比較して高くなるとの疫学調査の結果が報告されている
米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、卵巣癌になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.58)との報告がある
HRTと胆嚢疾患の危険性
米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.59)との報告がある
卵胞ホルモン剤を妊娠動物(マウス)に投与した場合、児の成長後、腟上皮及び子宮内膜の癌性変性を示唆する結果が報告されている
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血糖降下剤グリベンクラミドグリクラジドアセトヘキサミド等 | 血糖降下作用が減弱することがある。血糖値その他患者の状態を十分観察し、血糖降下剤の用量を調節するなど注意すること。 | 卵胞ホルモン(主に結合型エストロゲン、合成エストロゲン)は耐糖能を変化させ血糖を上昇させる作用が認められている。 |
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
(頻度不明)
血栓症
卵胞ホルモン剤の長期連用により、血栓症が起こることが報告されている
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | |
| 過敏症 | 発疹等注) |
| 子宮 | 消退出血、不正出血 |
| 乳房 | 乳房痛、乳房緊満感 |
| 投与部位 | 疼痛、発赤、硬結等 |
注)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
エストリールデポー注10mg 334円/管
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