本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
<適応菌種>
本剤に感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
<適応症>
敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染
通常、成人にはテイコプラニンとして初日400mg(力価)又は800mg(力価)を2回に分け、以後1日1回200mg(力価)又は400mg(力価)を30分以上かけて点滴静注する。敗血症には、初日800mg(力価)を2回に分け、以後1日1回400mg(力価)を30分以上かけて点滴静注する。
通常、乳児、幼児又は小児にはテイコプラニンとして10mg(力価)/kgを12時間間隔で3回、以後6〜10mg(力価)/kg(敗血症などの重症感染症では10mg(力価)/kg)を24時間ごとに30分以上かけて点滴静注する。また、新生児(低出生体重児を含む)にはテイコプラニンとして初回のみ16mg(力価)/kgを、以後8mg(力価)/kgを24時間ごとに30分以上かけて点滴静注する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
8.1 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。[11.1.1参照]
8.1.1 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
8.1.2 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
8.1.3 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
8.2 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.3 眩暈、耳鳴、聴力低下等の第8脳神経障害があらわれることがあるので、聴力検査を行う等観察を十分に行うこと。[11.1.2参照]
8.4 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.4参照]
8.5 急性腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.5参照]
8.6 AST、ALT、LDH、Al-P、γ-GTP、総ビリルビン等の上昇、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[11.1.6参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 アミノグリコシド系抗生物質、ペプチド系抗生物質又はバンコマイシン類に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、テイコプラニンに対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)
9.1.2 アミノグリコシド系抗生物質、グリコペプチド系抗生物質又はバンコマイシン類による難聴又はその他の難聴のある患者
血中濃度をモニタリングするなど安全性の確保に配慮すること。[7.1、10.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 血液透析患者
血中濃度をモニタリングするなどして必要なトラフレベルの血中濃度の確保に注意すること。透析膜の種類によっては除去される場合もあるが、一般にテイコプラニンは血液透析によって除去されない場合が多い。[7.1、7.2、10.2、16.6.1参照]
9.2.2 腎機能障害のある患者(血液透析患者を除く)
投与量を減ずるか、投与間隔をあけて使用すること。また、血中濃度をモニタリングするなど慎重に投与すること。排泄が遅延し、蓄積する。[7.1、7.2、10.2、16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
肝障害を悪化させることがある。[11.1.6参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。
9.7 小児等
原則として初期負荷用量(小児では10mg/kg 12時間間隔 3回、新生児では16mg/kg)投与終了後の次回投与開始前のトラフ値及びその後1週間間隔でトラフ値の血中濃度をモニタリングするなど、慎重に投与すること。腎の発達段階にあるため、特に低出生体重児、新生児においては血中濃度の半減期が延長し高い血中濃度が長時間持続するおそれがある。[7.1、16.1.3参照]
9.8 高齢者
血中濃度をモニタリングするなど安全性の確保に配慮すること。また、投与前及び投与中に腎機能検査を行い、腎機能の低下の程度により、4日目以降の用量を減量するなど慎重に投与すること。腎機能が低下している場合が多い。[7.1参照]
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 注射液の調製にあたっては、本剤1バイアル〔200mg(力価)〕に注射用水又は生理食塩液約5mLを加えてなるべく泡立たないように穏やかに溶解し溶液とする。この溶解液を100mL以上の生理食塩液等に加えて希釈する。なお、新生児、乳児、幼児及び小児においては、注射用水又は生理食塩液5mLを加えた溶解液から投与量相当分を採取し、生理食塩液等にて適宜希釈して調製する。
14.1.2 大塚糖液5%、マルトス輸液10%との配合については、調製後、速やかに使用すること。
14.1.3 調製後は速やかに使用し、残液は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、ガベキサートメシル酸塩、アムホテリシンB、ミノサイクリン塩酸塩と配合すると白濁・沈殿を生じることが確認されているので、これらの薬剤とは混注しないこと。
14.2.2 セフォチアムと混合すると、本剤の活性低下を来すことが確認されているので、併用する場合には別々に投与すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 米国において感染性心内膜炎・敗血症及び骨・関節感染症を対象とし、高用量を用いた臨床試験〔投与量:6〜30mg/kg(400〜2,000mg)を初日は2回、2日目以降1日1回〕で、トラフレベルの血中濃度が60μg/mL以上を示した症例に血清クレアチニンの異常変動の発現頻度が高かったことから、トラフレベルの血中濃度が60μg/mL以上になった場合には腎障害・聴覚障害等の副作用の発現に注意すること。
また、トラフレベルの血中濃度が20μg/mL以上で、一過性に肝機能検査値が軽度上昇したとの報告がある。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| ループ利尿剤エタクリン酸フロセミド等[9.2.1、9.2.2参照] | 腎障害、聴覚障害を増強するおそれがあるので併用は避けることが望ましいが、やむを得ず併用する場合は、血中濃度をモニタリングするなど安全性の確保に配慮し、慎重に投与すること。 | 腎障害、聴覚毒性が増強される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 腎障害、聴覚障害を起こす可能性のある薬剤アミノグリコシド系抗生物質アルベカシンゲンタマイシンイセパマイシン等ペプチド系抗生物質バンコマイシンアムホテリシンBシクロスポリンシスプラチン等[9.1.2、9.2.1、9.2.2参照] | 腎障害、聴覚障害を増強するおそれがあるので併用は避けることが望ましいが、やむを得ず併用する場合は、血中濃度をモニタリングするなど安全性の確保に配慮し、慎重に投与すること。 | 腎障害、聴覚毒性が増強される。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
気管支痙攣、血管浮腫、呼吸困難、顔面蒼白、発汗、頻脈等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[7.3、8.1参照]
11.1.2 第8脳神経障害(頻度不明)
眩暈、耳鳴、聴力低下等の第8脳神経障害があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.3 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症、紅皮症(剥脱性皮膚炎)(いずれも頻度不明)
11.1.4 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)[8.4参照]
11.1.5 急性腎障害(頻度不明)[8.5参照]
11.1.6 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、LDH、Al-P、γ-GTP、総ビリルビン等の上昇、黄疸があらわれることがある。[8.6、9.3参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 1〜5%未満注1) | 0.1〜1%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
| 過敏症注2) | 発熱、発疹 | |||
| 肝臓 | AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇 | 黄疸、LDH上昇、ビリルビン上昇 | ||
| 血液 | 好酸球増多 | 貧血、白血球減少 | ||
| 腎臓 | BUN上昇 | 血清クレアチニン上昇 | ||
| 循環器注3) | 血圧低下 | 動悸 | 血圧上昇 | |
| 消化器 | 食欲不振、下痢、嘔吐 | 悪心 | ||
| その他 | 痙攣 | 注射部位疼痛、静脈炎、悪寒、頭痛、菌交代症 |
注1)発現頻度は承認時までの成人における臨床試験、小児等における市販後臨床試験及び特別調査、小児、成人における使用成績調査の結果を含む。
注2)海外の報告によれば、使用期間中、そう痒は7日目までに、また、発熱、発疹は14日目まで(特に8〜14日目)にあらわれることが多いので観察を十分に行うこと。また、本剤投与終了後においても遅発性の副作用が発現する可能性が否定できないので、特に外来患者に対しては、発疹、そう痒などの皮膚症状があらわれた場合には、速やかに主治医に連絡するよう指示するなど適切な対応をとること。
注3)ネコを用いたヒスタミン試験において24mg/kg投与で、投与直後にごくわずかな一過性の血圧低下がみられたが速やかに回復した。
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