マスキュラックス

非脱分極性麻酔用筋弛緩剤

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リスト同薬効薬剤
一般名 ベクロニウム臭化物
製造/販売 MSD
剤形/規格
  • マスキュラックス静...
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警告

  • 本剤は、その作用及び使用法について熟知した医師によってのみ使用すること。

禁忌

  • 本剤の成分又は臭化物に対して過敏症の既往歴のある患者

  • 重症筋無力症、筋無力症候群の患者[これらの患者では非脱分極性筋弛緩剤に対する感受性が極めて高い。]

  • 妊婦又は妊娠している可能性のある患者(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

効能・効果

  • 麻酔時の筋弛緩、気管内挿管時の筋弛緩

用法・容量

  • 通常、成人には初回量ベクロニウム臭化物として0.08〜0.1mg/kgを静脈内投与し、術中必要に応じて0.02〜0.04mg/kgを追加投与する。
    なお、年齢、症状により適宜増減する。

注意事項

重要な基本的注意

  • 本剤は呼吸抑制を起こすので自発呼吸が回復するまで必ず調節呼吸を行うこと(ガス麻酔器又は人工呼吸器を使用すること)。

  • 本剤による筋弛緩状態から回復させるには、スガマデクスナトリウム又は抗コリンエステラーゼ剤並びにアトロピン硫酸塩水和物(抗コリンエステラーゼ剤の副作用防止のため)を静脈内投与すること。抗コリンエステラーゼ剤を投与する場合、筋弛緩モニターによる回復又は自発呼吸の発現を確認した後に投与すること。
    なお、それぞれの薬剤の添付文書の用法・用量、使用上の注意を必ず確認すること。

  • 麻酔導入後、本剤にさきがけて気管内挿管の目的でスキサメトニウム塩化物水和物を投与した場合には、スキサメトニウム塩化物水和物の効果の消失(患者の自発呼吸の発現)を確認した後、本剤を投与すること。

  • 本剤による筋弛緩の程度を客観的に評価し、本剤を安全かつ適切に使用するために、筋弛緩モニターを必要に応じて行うこと

  • スキサメトニウム塩化物水和物で過去にアナフィラキシー反応が生じた患者では、同様にアナフィラキシー反応が生じる可能性があるので、注意すること。

  • 筋弛緩作用の残存による呼吸抑制、誤嚥等の合併症を防止するため、患者の筋弛緩が十分に回復したことを確認した後に抜管すること。

  • スガマデクスナトリウム投与後に本剤を再投与する必要が生じた場合、本剤の作用発現時間の遅延が認められるおそれがあるので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。

慎重投与

  • 呼吸困難及び気道閉塞のある患者[換気不全により、患者の自発呼吸の再開が遅れるおそれがある。]

  • 肝疾患、胆道疾患又は腎疾患の患者[本剤の排泄が遅れるため作用が遷延することがある。]

  • 気管支喘息の患者[喘息発作、気管支痙攣を起こすおそれがある。]

  • 電解質異常(低カリウム血症、低カルシウム血症、高マグネシウム血症等)、低蛋白血症、脱水症、アシドーシス、高炭酸ガス血症の患者[本剤の作用が増強されるおそれがある。]

  • 高血圧症の患者[血圧上昇を起こすおそれがある。]

  • 低体温麻酔及び低体温灌流法による人工心肺使用の患者[作用の遷延を起こすおそれがある。]

  • 重症筋無力症、筋無力症症候群の患者を除く神経筋疾患の患者(筋ジストロフィー、筋緊張症候群、先天性ミオパシー、脊髄性筋萎縮症、ギラン・バレー症候群等)又はポリオ罹患後の患者[本剤の作用の増強又は減弱が生じることがある。]

  • 心拍出量の低下が認められる患者[作用発現時間が遅延し、また作用が遷延することがある。]

  • 肥満の患者[実体重で投与量を算出した場合、作用持続時間が延長し回復が遅延することがある。]

  • 熱傷の患者[筋弛緩剤の作用が抑制されることが知られている。]

  • 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

  • 新生児及び乳児(「小児等への投与」の項参照)

過量投与

  • 筋弛緩作用が遷延することがあるので、このような場合には自発呼吸が回復するまで呼吸管理を行うこと。また、筋弛緩モニターを必要に応じて行うこと。

適用上の注意

  • 調製方法

    溶解後は速やかに使用すること。なお、保存を必要とする場合でも24時間以内に使用すること。

  • アンプルカット時

    本品はワンポイントカットアンプル製剤である。アンプルカット時には異物混入を避けるため、カット部分をエタノール綿等で清拭してから、アンプル枝部のワンポイントマークの反対方向へ折ること。その際、カット部分で手指を傷つけないよう十分に注意すること(マスキュラックス静注用4mgの場合)。

  • 配合変化

    静注用全身麻酔薬であるチオペンタールナトリウム、チアミラールナトリウム等の塩基性薬剤と混合すると塩基性薬剤の沈殿を生じるので、別々の投与経路で使用するか、または同一点滴回路を使用する場合は回路内を生理食塩水等の中性溶液を用いて洗浄するなど、混合しないようにすること。

その他の注意

  • 承認外の適応である呼吸管理を目的として本剤を長期にわたり連続投与した際に、筋弛緩作用の遷延、四肢麻痺又はミオパシー等を生じたとの報告がある。また、同様の投与を重症の新生児又は乳児に行った際に、本剤との因果関係は明らかではないが、難聴を生じたとの報告がある。

相互作用

併用注意

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
スキサメトニウム塩化物水和物 スキサメトニウム投与後に本剤を投与すると、本剤の筋弛緩作用が増強されることがある。また本剤投与後、スキサメトニウムを投与すると本剤の作用が増強又は減弱される。 脱分極性の筋弛緩剤との併用により本剤の作用が増強されると考えられるが、減弱の機序については不明である。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
他の非脱分極性筋弛緩剤 本剤と他の非脱分極性筋弛緩剤との投与順により、本剤の筋弛緩作用が減弱あるいは、増強することがある。 作用持続時間の異なる非脱分極性筋弛緩剤を逐次使用した場合、最初に使用した筋弛緩剤の作用が影響する。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
吸入麻酔剤 イソフルランセボフルランエンフルランハロタンエーテル等 リチウム塩製剤 本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。 筋弛緩作用を有する。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カリウム排泄型利尿剤 フロセミドチアジド系 本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。 低カリウム血症により本剤の作用が増強されることがある。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
MAO阻害剤 プロタミン製剤 不整脈用剤 β-遮断剤等 メトロニダゾール カルシウム拮抗剤 シメチジン ブピバカイン 本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。 機序不明
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
抗生物質 アミノグリコシド系リンコマイシン系ポリペプチド系アシルアミノペニシリン系 マグネシウム塩製剤 キニジン キニーネ 本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。また、これらの薬剤を術後に投与した場合、本剤の筋弛緩作用が再発現(再クラーレ化)することがある。 これらの薬剤は筋弛緩作用を有するため作用が増強されると考えられている。再クラーレ化については機序不明である。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
フェニトイン 術中の静脈内投与により本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には注意すること。 機序不明
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
塩化カルシウム製剤 塩化カリウム製剤 本剤の筋弛緩作用が減弱されることがある。 Ca2+及びK+は骨格筋の収縮に関与している。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
プロテアーゼ阻害剤 ガベキサートウリナスタチン 本剤の筋弛緩作用が減弱されることがある。 機序不明
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
副腎皮質ホルモン剤 抗てんかん剤 カルバマゼピンフェニトイン 長期前投与により、本剤の筋弛緩作用が減弱されることがある。 機序不明
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
リドカイン 本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。また、リドカインの作用発現が早まることがある。 機序不明

副作用

副作用発現状況の概要

  • (本項には頻度が算出できない副作用報告を含む。)

  • 総症例7,865例中、副作用が報告されたのは34例(0.43%)で、その主なものは発赤8例(0.10%)、徐脈7例(0.09%)、頻脈4例(0.05%)等であった。〔再審査終了時〕

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

  • (本項には頻度が算出できない副作用報告を含む。)

  • ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー様症状(頻度不明)

    ショック、アナフィラキシー様症状(気道内圧上昇、血圧低下、頻脈、全身発赤等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。

  • 遷延性呼吸抑制(頻度不明)

    遷延性呼吸抑制があらわれることがある。このような場合には、自発呼吸が回復するまで呼吸管理を行うこと。

  • 横紋筋融解症(頻度不明)

    筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

  • 気管支痙攣(頻度不明)

    気管支痙攣を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

  • (本項には頻度が算出できない副作用報告を含む。)

0.1〜1%未満 0.1%未満
循環器 徐脈 頻脈、低血圧
呼吸器 吃逆
過敏症 発赤 発疹

薬価

マスキュラックス静注用4mg
マスキュラックス静注用10mg

評価サマリー

もっとも参考になった評価コメント

エビデンスの確かさ・信頼性

投稿日: 2015/03/03 参考率: 25%(1人/4人)

麻酔科/60代/処方経験あり

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