2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 新鮮な心筋梗塞のある患者[基礎代謝の亢進により心負荷が増大し、病態が悪化することがある。]
○粘液水腫性昏睡
○甲状腺機能低下症(ただし、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない場合に限る)
<粘液水腫性昏睡>
本剤を日局生理食塩液で希釈し、通常、成人には、レボチロキシンナトリウムとして、1日目は50〜400μgを緩徐に静脈内投与し、2日目以降は50〜100μgを1日1回、緩徐に静脈内投与する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
<甲状腺機能低下症(ただし、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない場合に限る)>
本剤を日局生理食塩液で希釈し、通常、成人には、レボチロキシンナトリウムとして、25μgから投与を開始し、50〜150μgを維持用量として、1日1回、緩徐に静脈内投与する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
血中濃度が急速に上昇し、経口投与と比べて過量投与に伴う副作用発現のリスクが高まるおそれがあることから、臨床症状、血中甲状腺ホルモン濃度等の患者の状態を観察しながら投与すること。[7.2-7.4参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 狭心症、陳旧性心筋梗塞、動脈硬化症、高血圧症等の重篤な心・血管系の障害のある患者
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。基礎代謝の亢進による心負荷により、病態が悪化するおそれがある。[7.2、7.3、11.1.1、11.1.6参照]
9.1.2 副腎皮質機能不全、脳下垂体機能不全のある患者
副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)をはかってから投与すること。粘液水腫性昏睡等で、本剤の投与が直ちに必要な場合は、副腎皮質ホルモン製剤の併用も考慮すること。副腎クリーゼを誘発し、ショック等を起こすことがある。[7.2、7.3、11.1.3参照]
9.1.3 糖尿病患者
血糖コントロールの条件が変わることがある。[7.2、7.3、10.2参照]
9.5 妊婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 児の状態(血圧、尿量、血清ナトリウム値等)を観察しながら慎重に投与すること。
9.7.2 低出生体重児、早産児では、晩期循環不全を起こすことがある。なお、低出生体重児、早産児のうち、特に極低出生体重児や超早産児では、晩期循環不全を起こしやすく、また、本剤の投与後早期に起こりやすい。小児におけるレボチロキシンナトリウムの静脈内投与に関する報告は少ない。[11.1.4参照]
9.8 高齢者
通常より低用量から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、本剤を投与すると基礎代謝の亢進による心負荷により、狭心症等を来すおそれがある。[7.2、7.3参照]
13.1 処置
換気維持のための酸素投与、交感神経興奮症状に対するプロプラノロール等のβ-遮断剤の投与、うっ血性心不全に対する強心配糖体の投与、発熱、低血糖及び体液喪失に対する処置等を行う。
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤1管(1mL)を日局生理食塩液100mLで希釈して投与すること。
14.1.2 析出が認められることがある。日局生理食塩液の温度が低い場合には溶けにくいので、生理食塩液の温度をあらかじめ常温に戻してから使用すること。また、希釈時によく混和すること。
14.1.3 日局生理食塩液以外の溶解液、輸液、補液及び他剤との混合注射はしないこと。
14.1.4 調製後は直射日光を避け、常温で保存し、2時間以内に投与を完了すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 溶液中に析出等の異物が認められる場合は、使用しないこと。
14.2.2 本剤は点滴静注又は静脈内投与のみとし、緩徐に投与すること。なお、国内臨床薬理試験では、本剤1管を生理食塩液に混和して100mLとし、その90mL(レボチロキシンナトリウムとして180μg)を約20分かけて静脈内投与された。
14.2.3 有効成分が吸着するため、インラインフィルターの使用は避けること。
外箱から開封後は遮光して保存すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| クマリン系抗凝血剤 ワルファリンカリウム等 | クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがあるので、併用する場合にはプロトロンビン時間等を測定しながらクマリン系抗凝血剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。 | 甲状腺ホルモンがビタミンK依存性凝血因子の異化を促進すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 交感神経刺激剤アドレナリン、ノルアドレナリン、エフェドリン・メチルエフェドリン含有製剤 | 交感神経刺激剤の作用を増強し、冠動脈疾患のある患者に併用すると冠不全のリスクが増大するおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること。 | 甲状腺ホルモンがカテコールアミン類のレセプターの感受性を増大すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 強心配糖体製剤ジゴキシン、ジギトキシン等 | 甲状腺機能亢進状態では血清ジゴキシン濃度が低下し、甲状腺機能低下状態では上昇するとの報告があるため、甲状腺機能亢進状態では通常より多量の、甲状腺機能低下状態では通常より少量の強心配糖体製剤の投与を必要とすることがある。併用する場合には強心配糖体製剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。 | 強心配糖体製剤の吸収率、分布容積、肝代謝、腎排泄速度等の増減が関与していると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 血糖降下剤インスリン製剤、スルフォニル尿素系製剤等[9.1.3参照] | 血糖降下剤を投与している患者において、本剤を投与すると血糖コントロールの条件が変わることがあるので、併用する場合には血糖値その他患者の状態を十分観察しながら両剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。 | 糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| コレスチラミン、コレスチミド、鉄剤、アルミニウム含有制酸剤 、炭酸カルシウム、炭酸ランタン水和物、セベラマー塩酸塩、ポリスチレンスルホン酸カルシウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム | 同時投与により本剤の吸収が遅延又は減少することがあるので、併用する場合には本剤との投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること。 | 消化管内で本剤と結合し吸収を抑制すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| フェニトイン製剤、カルバマゼピン、フェノバルビタール | これらの薬剤は本剤の血中濃度を低下させることがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。 | これらの薬剤は甲状腺ホルモンの異化を促進すると考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| アミオダロン | アミオダロンは甲状腺ホルモン値を上昇又は低下させるおそれがあるので、併用する場合には甲状腺ホルモン値に注意し、慎重に投与すること。 | アミオダロンが甲状腺ホルモンの脱ヨード化を阻害することが考えられている。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 経口エストロゲン製剤結合型エストロゲン、エストラジオール、エストリオール等 | 経口エストロゲン製剤は甲状腺ホルモン値を低下させるおそれがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。 | 経口エストロゲン製剤がサイロキシン結合グロブリンを増加させることが考えられる。 |
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 狭心症(頻度不明)
狭心症があらわれることがある。このような場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等適切な処置を行うこと。[7.2、9.1.1参照]
11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、γ-GTP等の著しい上昇、発熱、倦怠感等があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.3 副腎クリーゼ(頻度不明)
全身倦怠感、血圧低下、尿量低下、呼吸困難等の症状があらわれることがある。[9.1.2参照]
11.1.4 晩期循環不全(頻度不明)
低出生体重児や早産児では、晩期循環不全があらわれることがある。特に極低出生体重児や超早産児で起こりやすく、また、本剤の投与後早期に起こりやすいので、血圧低下、尿量低下、血清ナトリウム低下等があらわれた場合には適切な処置を行うこと。[9.7.2参照]
11.1.5 ショック(頻度不明)
11.1.6 うっ血性心不全(頻度不明)
うっ血性心不全があらわれることがある。このような場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬など適切な処置を行うこと。[9.1.1参照]
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 | |
| 過敏症 | 過敏症状 |
| 肝臓 | 肝機能検査値異常(AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等) |
| 循環器注) | 心悸亢進、脈拍増加、不整脈 |
| 精神神経系注) | 頭痛、めまい、不眠、振戦、神経過敏・興奮・不安感・躁うつ等の精神症状 |
| 消化器注) | 嘔吐、下痢、食欲不振 |
| その他注) | 筋肉痛、月経障害、体重減少、脱力感、皮膚の潮紅、発汗、発熱、倦怠感 |
注)発現した場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等適切な処置を行うこと。
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