本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリン製剤による速やかな高血糖の治療が必須となるので、本剤の投与は適さない。]
重症感染症、手術等の緊急の場合[インスリン製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない。]
透析患者を含む重度腎機能障害のある患者[本剤の消化器系副作用により忍容性が認められていない。](「薬物動態」の項参照)
2型糖尿病
ただし、食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤及びチアゾリジン系薬剤(各薬剤単独療法又は併用療法を含む)による治療で十分な効果が得られない場合に限る。
通常、成人には、エキセナチドとして、2mgを週に1回、皮下注射する。
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状を有する疾患(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)があることに留意すること。
本剤の適用は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで、スルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤の各薬剤の単独療法、又はスルホニルウレア剤とビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤とチアゾリジン系薬剤、ビグアナイド系薬剤とチアゾリジン系薬剤との併用療法を行っても十分な効果が得られない場合に限り考慮すること。(「効能・効果に関連する使用上の注意」の項参照)
本剤からバイエッタ皮下注に切り替える際には、本剤とバイエッタ皮下注では併用可能な薬剤が異なることに留意すること。(「効能・効果に関連する使用上の注意」の項参照)
本剤はインスリン製剤の代替薬ではない。本剤の投与に際しては、患者のインスリン依存状態を確認し、投与の可否を判断すること。インスリン依存状態の患者で、インスリン製剤からバイエッタ皮下注に切り替え、急激な高血糖及び糖尿病性ケトアシドーシスが発現した症例が報告されている。
投与する場合には、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3〜4ヵ月間投与して効果が不十分な場合には、適切に他の治療薬への切り替えを行うこと。
投与の継続中に、投与の必要がなくなる場合があり、また、患者の不養生、感染症の合併等により効果がなくなったり、不十分となる場合があるので、食事摂取量、血糖値、感染症の有無等に留意のうえ、常に投与継続の可否、薬剤の選択等に注意すること。
本剤の投与を新たに開始する際には効果発現までの期間を考慮すること。空腹時血糖が低下し安定するまでに約3週間かかる場合がある。
本剤中止後も効果が持続する可能性を考慮し、本剤中止後も血糖値の変動や副作用予防、副作用発現時の処置について十分留意すること。本剤は持続性製剤であるため、本剤中止後も有効血中濃度が持続する。(「薬物動態」の項参照)
バイエッタ皮下注から切り替える際には一時的に血糖値が上昇することがあるので留意すること。なお、一般的に血糖値は投与2週間以内に改善がみられる。
スルホニルウレア剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。スルホニルウレア剤による低血糖のリスクを軽減するため、スルホニルウレア剤と併用する場合には、スルホニルウレア剤の減量を検討すること。(「相互作用」、「副作用」、「臨床成績」の項参照)
急性膵炎が発現した場合は、本剤の投与を中止し、再投与しないこと。急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。(「重大な副作用」の項参照)
胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、慎重に対応すること。(「重大な副作用」の項参照)
インスリン製剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤又はジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤との併用については、検討が行われていない。
低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること。また、患者に対し、低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。(「重大な副作用」の項参照)
本剤投与中は、甲状腺関連の症候の有無を確認し、異常が認められた場合には、専門医を受診するよう指導すること。(「その他の注意」の項参照)
本剤の臨床試験において心拍数の増加がみられている。心拍数の増加が持続的にみられた場合には患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
本剤の自己注射にあたっては、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。
投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
添付されている取扱説明書を必ず読むよう指導すること。
糖尿病胃不全麻痺等の重度の胃腸障害のある患者[十分な使用経験がなく、これらの症状が悪化するおそれがある。]
中等度又は軽度の腎機能障害のある患者[十分な使用経験がない。](「薬物動態」の項参照)
肝機能障害のある患者[十分な使用経験がない。]
膵炎の既往歴のある患者(「副作用」の項参照)
腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者[腸閉塞を起こすおそれがある。](「副作用」の項参照)
高齢者(「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照)
次に掲げる患者又は状態[低血糖を起こすおそれがある。]
脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
激しい筋肉運動
過度のアルコール摂取者
症状
バイエッタ皮下注の外国臨床試験において1回100μg(バイエッタ皮下注の最大推奨用量の10倍)が投与された2型糖尿病患者で、重度の悪心・嘔吐及び血糖値の急激な低下が報告されている。
処置
過量投与となった場合には、症状に応じた支持療法を行うこと。
投与時
使用前に専用懸濁用液に濁りが無く浮遊物が無いか確認を行うこと。懸濁後、白色から白濁色になっているのを確認できたときのみ使用すること。
本剤は専用懸濁用液と懸濁後すぐに投与すること。
投与方法
専用懸濁用液及び注射針は付属のものを用いること。
投与経路
必ず皮下投与とし、静脈内、筋肉内には投与しないこと。
投与部位
腹部、大腿部又は上腕部に皮下投与すること。同一部位に繰り返し注射することは避けることが望ましい。
保存時
使用前は凍結を避け、2〜8℃の冷蔵で遮光保存すること。
冷蔵から取出し室温で保存した場合、4週間以内に使用すること。なお、その際には、遮光にて保存し、また、30℃を超える場所で保存しないこと。
エキセナチド量として0.3、1.0、3.0mg/kg/回の用量で本剤を2週に1回投与したがん原性試験において、全投与群のラットで甲状腺C細胞腫瘍(腺腫及びC細胞癌の合計)の発生頻度が増加した(ヒトに本剤の2mgを週1回投与した場合の血漿中曝露量の1.1〜16.2倍に相当)。
甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する、本剤の安全性は確立していない。
タンパク製剤及びペプチド製剤では免疫原性を示すことが知られており、本剤投与により抗体が発現する可能性がある。高抗体価の患者で有効性が減弱する可能性が示唆されている。
なお、ほとんどの患者で、抗体価の程度は時間がたつにつれて低下する。海外の臨床試験では、試験終了時点で低抗体価の患者は約45%で認められたが、血糖コントロールは抗体陰性の患者と同様であった。一方、高抗体価の患者は約5%で認められたが、各々の患者の血糖コントロールにはばらつきがあり有効性を予測できるものではなかった。また、注射部位反応は抗体陰性の患者において発現率が低く、高抗体価の患者において発現率が高い傾向が認められた。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
糖尿病用薬ビグアナイド系薬剤スルホニルウレア剤速効型インスリン分泌促進剤α-グルコシダーゼ阻害剤チアゾリジン系薬剤ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤インスリン製剤 | 糖尿病用薬との併用時には、低血糖症の発現に注意すること。特に、スルホニルウレア剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加する。スルホニルウレア剤による低血糖のリスクを軽減するため、スルホニルウレア剤の減量を検討すること。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」及び「臨床成績」の項参照) | 血糖降下作用が増強される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
血糖降下作用が増強される薬剤β-遮断剤サリチル酸誘導体モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 等 | 血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 | 血糖降下作用が増強される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
血糖降下作用が減弱される薬剤アドレナリン副腎皮質ステロイド甲状腺ホルモン 等 | 血糖降下作用を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。併用時は血糖値コントロールに注意し、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 | 血糖降下作用が減弱される。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
クマリン系薬剤ワルファリンカリウム | バイエッタ皮下注においてワルファリンのtmaxが約2時間遅延したとの報告がある。(「薬物動態」の項参照)ときに出血をともなうINR増加が報告されている。 | エキセナチドの胃内容物排出遅延作用による。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
HMG-CoA還元酵素阻害剤 | バイエッタ皮下注においてロバスタチン(国内未承認)のAUCが40%、Cmaxが28%低下し、tmaxが4時間遅延したとの報告がある。(「薬物動態」の項参照) | エキセナチドの胃内容物排出遅延作用による。 |
日本人及びアジア人を対象とした第III相臨床試験[スルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤及びチアゾリジン系薬剤(各薬剤単独療法又は併用療法を含む)]において、安全性評価対象818例(うち日本人患者556例)中426例(52.1%)に副作用が認められ、主なものは、注射部位硬結161例(19.7%)、悪心104例(12.7%)、嘔吐62例(7.6%)、注射部位そう痒感55例(6.7%)、便秘49例(6.0%)、下痢43例(5.3%)等であった。(承認時)
低血糖
低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、知覚異常等)を起こすことがある。低血糖症状が認められた場合、本剤あるいは併用している経口糖尿病用薬を一時的に中止するか、あるいは減量するなど慎重に投与すること。特にスルホニルウレア剤との併用により、多く発現することが報告されている。(「臨床成績」の項参照)
また、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤で、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されていることから、スルホニルウレア剤と併用する場合には、スルホニルウレア剤の減量を検討すること。低血糖症状が認められた場合には通常ショ糖を投与し、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。
腎不全
腎不全が報告されているので、患者の状態を注意深く観察しながら投与すること。特に、腎障害が知られている薬剤を使用している患者又は脱水状態に至る悪心・嘔吐・下痢等の症状のある患者において、急性腎不全、慢性腎不全の悪化、クレアチニン上昇、腎機能障害があらわれ透析を必要とする例が報告されている。このような場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性膵炎(0.2%)
急性膵炎があらわれることがあるので、急性膵炎に特徴的な症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)に注意し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、膵炎と診断された場合には、本剤を再投与しないこと。非常にまれであるが、壊死性又は出血性膵炎あるいは死亡に至るなどの致命的な経過をたどった症例が報告されている。
アナフィラキシー反応、血管浮腫
アナフィラキシー反応、血管浮腫があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
腸閉塞
腸閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
次のような副作用が認められた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
5%以上 | 1〜5%未満 | 1%未満 | 頻度不明※ | |
精神神経系 | 浮動性めまい | 頭痛、味覚異常、傾眠 | ||
消化器 | 悪心、下痢、嘔吐、便秘、食欲減退 | 消化不良、腹部不快感、腹部膨満 | 鼓腸、腹痛、逆流性食道炎、上腹部痛、胃炎 | おくび |
肝臓 | 肝機能異常 | |||
腎臓 | 血中クレアチニン増加 | |||
代謝異常 | 体重減少 | 脱水 | ||
皮膚 | 発疹、そう痒症、紅斑、脱毛症、蕁麻疹 | 全身性そう痒症、斑状皮疹、丘疹 | ||
注射部位 | 注射部位硬結、注射部位そう痒感 | 注射部位結節注)、注射部位紅斑 | 注射部位疼痛 | 注射部位発疹、その他の注射部位反応 |
その他 | 疲労 |
※:エキセナチドにおける外国での市販後報告による
注)注射部位結節の発現は重合体マイクロスフェア(
-ラクチド・グリコリド共重合体)製剤による特徴として知られている。外国での臨床試験における報告では、ほとんどの結節は無症候性であり、投与の中止に至らず、4〜8週間で改善した。
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持続性
投稿日: 2015/03/20 参考率: 100%(1人/1人)
内科/50代/処方経験あり