本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
骨髄抑制により感染症等の重篤な副作用があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]。
なお、本剤の使用にあたっては、添付文書を熟読のこと。
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
再発又は難治性の下記疾患
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫
マントル細胞リンパ腫
通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として120mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、19日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
本剤の投与により骨髄機能が抑制され、感染症等の重篤な副作用が増悪又はあらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと[「警告」、「重大な副作用」の項参照]。
本剤の投与により、リンパ球減少が高頻度にあらわれ、重症の免疫不全が増悪又は発現することがあるので、頻回に臨床検査(血液検査等)を行うなど、免疫不全の兆候について綿密な検査を行うこと。異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うとともにカンジダ等の真菌、サイトメガロウイルス等のウイルス、ニューモシスティス等による重症日和見感染に注意すること。また、本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の兆候や症状の発現に注意すること[「重大な副作用」の項参照]。
生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること
アルキル化剤等の抗悪性腫瘍剤による前治療を有する患者において、本剤による治療後、二次発癌が発生したとの報告があるので、本剤の投与終了後も経過を観察するなど十分に注意すること。
骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増強されるおそれがある。]
感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある(「重大な副作用」の項参照)。]
心疾患(心筋梗塞、重度の不整脈等)を合併する又は既往歴のある患者[心疾患を悪化させるおそれがある。]
肝障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
腎障害のある患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
国内外の臨床経験において、報告されている最高単回投与量は280mg/m2である。
徴候・症状
280mg/m2を投与した患者4例中3例で、投与後7及び21日目に用量制限毒性と考えられる心電図の変化が認められた。この変化は、QT延長(1例)、洞性頻脈(1例)、ST及びT波の偏位(2例)、左脚前枝ブロック(1例)等であった。
処置
過量投与時の特異的な解毒剤は知られていない。必要に応じて支持療法を行うこと。
調製時
本剤が体部に付着した場合には、直ちに石鹸及び多量の水で十分に洗い、眼は水で洗浄すること。
本剤の溶解に際しては、必ず注射用水を使用し、溶解液の希釈に際しては、必ず生理食塩液を使用すること。
投与時
点滴静注に際し、投与液が血管外に漏れると、投与部位に紅斑、腫脹、疼痛、壊死を起こすことがあるので、投与液が血管外に漏れないように投与すること。血管外に漏れた場合は、速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
調製後は、3時間以内に投与を終了すること。
包装開封後もバイアルを箱に入れて保存すること。
調製時には、手袋を着用することが望ましい。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
| 他の抗悪性腫瘍剤 | 骨髄抑制等の副作用が増強することがある。 | 骨髄抑制作用を増強する可能性がある。 |
骨髄抑制
リンパ球減少(
感染症
肺炎(
間質性肺疾患(
間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い
腫瘍崩壊症候群(頻度不明注3)
腫瘍崩壊症候群があらわれ、急性腎不全に至るおそれがあるので、体内水分量を適切に維持し、血液生化学検査(特に尿酸及びカリウム)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な皮膚症状(頻度不明注3)
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
ショック、
ショック
注3:国
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
| 10%以上 | 10%未満 | 頻度不明 注3 | |
| 血液 | イムノグロブリン(IgA、IgM、IgG)低下、CD4/CD8比低下 | 貧血、好酸球増加、発熱性好中球減少症、 |
|
| 心・血管障害 | 静脈炎、 |
不整脈(房室ブロック、洞性頻脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮等)、心不全、心電図T波振幅減少、潮紅、高血圧、低血圧、動悸、脈拍異常、 |
循環虚脱、心筋梗塞、心嚢液貯留、頻脈、心肺不全、出血 |
| 眼 | 結膜炎、眼瞼紅斑、角膜炎、流涙増加、眼充血、強膜出血、眼そう痒症 | ||
| 消化器 | 胃不快感、便秘、下痢、悪心、口内炎、嘔吐 | 腹部膨満、腹痛、口唇炎、口内乾燥、消化不良、おくび、 |
胃腸出血、 |
| 肝臓 | ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、血中ビリルビン上昇、γ-GTP上昇等の肝機能異常 | ||
| 感染症 | 鼻咽頭炎 | 膀胱炎、 |
|
| 代謝・栄養系 | LDH上昇、総蛋白低下、ALP上昇、食欲不振 | 尿中ブドウ糖陽性、クロール上昇、高血糖、カリウム上昇、低カルシウム血症、カリウム低下、ナトリウム低下、ALP低下 |
|
| 筋骨格系 | 関節痛、背部痛、筋肉痛、頚部痛、四肢痛、筋骨格硬直 | ||
| 精神神経系 | 味覚異常、頭痛 | 無感情、浮動性めまい、体位性めまい、知覚過敏、感覚鈍麻、不眠症、気分変化、嗅覚錯誤 | 抗コリン作動性症候群、失声症、運動失調、脳炎、末梢性ニューロパチー、錯感覚、眠気 |
| 泌尿器 | クレアチニン上昇 | BUN低下、BUN上昇、 |
|
| 呼吸器 | アレルギー性胞隔炎、咳嗽、呼吸困難、鼻出血、しゃっくり、胸水、湿性咳嗽、アレルギー性鼻炎、鼻漏、上気道の炎症、口腔咽頭不快感、口腔咽頭痛 | 原発性異型肺炎、肺線維症、肺機能異常 | |
| 皮膚 注4 | そう痒症、発疹( |
ざ瘡様皮膚炎、湿疹、 |
脱毛症、皮膚炎 |
| 注射部位 | 注射部位反応(発赤、 |
|
|
| その他 | 血清アルブミン低下、C-反応性蛋白増加、疲労、倦怠感、発熱、体重減少 | 無力症、悪寒、耳管閉塞、熱感、 |
無月経、不妊症、粘膜の炎症、多臓器不全 |
注3:国
注4:必要に応じて、皮膚科を受診するよう患者を指導すること。
トレアキシン点滴静注用100mg 94995円/瓶
m3.comにご登録済の方
薬剤名検索
薬剤情報提供:一般財団法人日本医薬情報センター 剤形写真提供:株式会社薬事日報社
・薬剤情報・剤形写真は月一回更新しておりますが、ご覧いただいた時点で最新情報ではない可能性がございます。 最新情報は、各製薬会社のWebサイトなどでご確認ください。
・投稿内容の中に適応外、承認用法・用量外の記載等が含まれる場合がありますが、エムスリー、製薬会社が推奨するものではありません。